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第1175回
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平成24年10月26日(金)公表
  ※4 その他(1) 平成25年度予算編成について は平成25年2月15日公表

日本放送協会第1175回経営委員会議事録
(平成24年10月9日開催分)

第1175回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1175回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成24年10月9日(火)午後1時30分から午後4時55分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 作 田 久 男 石 原   進
    上 村 達 男   大 滝 精 一 北 原 健 児
    幸 田 真 音   竹 中 ナ ミ 松 下   雋
    渡  惠理子  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 冷 水 理 事 石 田 理 事
  木 田 理 事 新 山 理 事 久保田 技師長
  板 野 理 事 福 井 理 事  

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   事>

 議事に先立ち、経営委員による経営委員会を開催し、放送と通信の融合について、執行部と意見交換を実施。
 続いて、浜田委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1174回(平成24年9月25日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成24年10月12日に公表することを決定した。

 

 

付議事項

1 会長報告(資料1)(資料2)

 

2 議決事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の設置計画について(資料)

 

3 報告事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ中継放送局の開局について(資料)

 

4 その他

 (1) 平成25年度予算編成について(資料)

 

 

 

議事経過

 

1 会長報告(資料1)(資料2)

 (松本会長)

 日本時間の先週10月2日の火曜日、NHKが放送した東日本大震災直後の緊急ニュースが、世界の優れたテレビ番組に贈られる「国際エミー賞」のニュース部門で最優秀賞を受賞しました。NHKは3か年経営計画の最大の柱をライフラインとして、いかなる災害時でも放送を出し続けるための放送機能の強化に取り組んでいます。先般の台風の際にも、台風の移動とともにNHKのニュースの視聴率も各地域を移動していくというように、NHKが頼りにされていることを実感しました。昨年から世界的にもいろいろな評価を受けていましたが、今回、「国際エミー賞」の受賞という形で、NHKの災害報道に対する姿勢、危機管理の対応が評価されたということですので、内部は大変エンカレッジされています。詳細は、放送総局長の石田理事が報告します。
 (石田理事)
 今、会長から話がありましたように、昨年の3月11、12日の放送を40分ぐらいにまとめたものを「国際エミー賞」の参加作品として提出しました。ちょうど国会中継を放送しているときに緊急地震速報が表示されるところから始まります。東北地方に大きな地震が発生するので注意してくださいと呼びかけて、結局、国会中継時もかなり揺れていたため、その後テレビ画面がNHKの地震速報のスタジオに切り替わるところからの2日間のニュースをまとめています。2日間全部を提出するというわけにいきませんので、少し短くした形にまとめたものが評価を受けたということです。「国際エミー賞」は、世界のおよそ50の国と地域のおよそ500の放送機関が加盟する「国際テレビ芸術科学アカデミー」が主催しており、アメリカ以外で制作された優れたテレビ番組に贈られるものです。受賞は、ニュース、ドキュメンタリーやエンターテインメント、子ども・青少年、ドラマ、コメディー、最優秀男優・女優など20部門に分かれます。このうち、「ニュース部門」と「時事問題部門」の授賞式が、現地時間の10月1日、日本時間の2日の午前にニューヨークで開催されました。「ニュース部門」は、昨年1年間の報道を対象にしており、最終選考に残った4つの放送局のうち、東日本大震災の発生当日と翌日を伝えたNHKの緊急ニュースが最優秀賞に選ばれました。ほかにノミネートされていた作品は3つです。1つ目はブラジルのテレビグローボの報道で、多くの被害者を出したリオデジャネイロの大雨・洪水被害を伝えたニュースです。2つ目は、中東のアルジャジーラ英語チャンネルの報道で、リビアの反政府勢力が首都トリポリを制圧するまでの一連のニュース、3つ目は、ロシアのニュースチャンネル「ロシア・トゥデイ」の報道で、米国で始まった経済格差への抗議行動が世界各地に波及したニュースです。それらに加え、NHKの東日本大震災のニュースがノミネートされ、NHKが最優秀賞に選ばれました。選考では、巨大地震の発生直後からヘリコプターや各地に設置したロボットカメラの映像を使って津波からの避難を呼びかけ、国内だけではなく世界に災害の状況を刻々と伝えたことが評価されました。授賞式が行われたニューヨークのイベントホールのリンカーンセンターには、報道局の松坂千尋編集主幹らが出席しました。資料の裏面に授賞式の写真を掲載しています。また、授賞式では、米国内の「ニュース部門」「時事問題部門」の発表が同時に行われたため、会場には、アメリカ国内の主要放送局の社長や幹部、ジャーナリストら400人以上が参加しました。松坂編集主幹が、受賞スピーチで、「NHKは、今後も震災からの復興や原発事故の報道を続けるとともに、災害時に被害を少しでも減らすための放送をいっそう進めていきたい」と挨拶した際、会場からは大きな拍手が寄せられました。出席者からは、「発生直後から各地の現場の生中継映像を伝える報道力に驚いた」「地震・津波・原発事故と次々と起きる事態を冷静に伝え続けていたことに感銘を受けた」との言葉が寄せられました。NHKは、昨年「時事問題部門」で、NHKスペシャル「奇跡の生還〜スクープ チリ鉱山事故の真実〜」が「国際エミー賞」を受賞するなど、「国際エミー賞」を過去に受賞したことはありますが、「ニュース部門」での受賞は今回が初めてです。先ほど会長から台風報道に関する話がありましたが、付け加えると、NHKの報道にとって、災害報道を含む緊急報道と選挙報道は大きな柱です。9月30日の日曜日に台風18号が日本列島を縦断し、NHKは15時から総合テレビの大部分の時間を台風報道にあてました。日曜でしたので、大河ドラマ「平清盛」は定時に放送しましたが、「NHKスペシャル」はニュースを延長したため30分遅れで放送し、「サンデースポーツ」は台風ニュースに吸収して放送しました。各地の視聴率は、名古屋では18時45分のニュースが35.1%、「NHKニュース7」は1時間に延長し、前半は29.9%、後半は22.7%でした。関東地区でも、18時45分の首都圏ニュースは26.5%、「NHKニュース7」の前半は26.0%、後半は22.1%でした。台風は徐々に北に移りましたので、仙台では、21時の特設ニュースの視聴率が23.4%というように、多くの視聴者に見ていただきました。NHKの災害報道に対する視聴者の期待は大変大きいと思っていますので、引き続き、ハード・ソフトの両面で災害報道の強化に努めていきたいと思っています。

 (石原委員)

 「国際エミー賞」の受賞に向けては、作品を応募する形で、今回は、東日本大震災の報道が非常にすばらしかったことから、NHKが選考委員会に応募したということですか。応募しないと対象にならないわけですよね。また、資料に掲載されているニュース映像には日本語のテロップが映っていますが、作品は日本語なのですか。

 (石田理事)

 NHKが参加作品を提出します。資料に「NHKの過去の参加・受賞作品」を記載していますが、本選までいかなくて、アジア地区予選で落選したものもあります。また、当然英語の字幕を付けています。

 (石原委員)

 NHK内で、ことしはどの番組を参加させるかについて、選考するわけですね。

 (石田理事)

 はい、そうです。

 (石原委員)

 何点か出すのですか。各部門にそれぞれ1つずつ出すのですか。

 (石田理事)

 資料に記載しているように、これまでこれだけの作品を応募しています。

 (石原委員)

 資料に書いてある作品が応募したものですね。分かりました。

 (石田理事)

 ドラマや「大科学実験」などの科学番組、2012年は料理番組やNHKスペシャル「ミラクルボディー」など、いろいろな作品を提出しています。今回この日に表彰されたのは、「ニュース部門」と「時事問題部門」の受賞作品です。

 (石原委員)

 これだけの作品を参加させても、表彰されるのは1つくらいということですね。

 (松本会長)

 それだけ立派な賞だということです。

 (石原委員)

 そういうことですね。

 (竹中委員)

 表彰を受けた作品を私たちも拝見することは可能ですか。

 (石田理事)

 経営委員の皆さんにご覧いただけるよう準備します。

 (竹中委員)

 ありがとうございます。

 

 

2 議決事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の設置計画について(資料)

 (久保田技師長)

 地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継局の設置計画について、審議をお願いいたします。設置に向けての諸条件が整った地区に、地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局を設置したいと考えています。内訳は、地上デジタルテレビジョン中継放送局が4地区、ラジオ中継放送局が3地区、FM中継放送局が2地区です。各都道府県における地区名等は、資料の表のとおりです。また、(参考1)の地図には今回設置計画を行う地上デジタルテレビジョンの局所の位置を、(参考2)にはラジオ中継局の位置を、(参考3)にはFM中継局の位置を示していますので、こちらも併せてご覧ください。地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画4地区のうち1地区は新たな難視対策です。アナログ放送のときは視聴が可能でしたが、デジタル移行後、新たに難視聴になった地区です。残る3地区は、ローカル難視用の対策を目的に設置する中継局です。2地区が平成24年度、残り2地区が平成25年度に開局する予定です。
 続いて、ラジオ中継放送局の設置計画についてです。提案の3地区とも離島における効率的な置局が可能になることから、FM放送用の周波数を用いてラジオ放送を行う計画になっています。3地区のうち1地区については、ラジオ第1の夜間における外国電波混信の改善を図るため、鹿児島県大島郡喜界町の喜界島に設置したいと考えています。開局については、平成25年度の予定です。この計画により、喜界島及び奄美大島北部の約5,100世帯において、夜間の外国電波混信が改善されます。残り2地区については、ラジオ第1・第2の難聴改善を図るため、東京都小笠原村の父島・母島に設置したいと考えています。開局については平成24年度の予定です。この計画により、父島では約1,000世帯、母島では約240世帯の難聴が改善されます。なお、東京都小笠原村の父島・母島の2地区については、FM放送の難聴改善を図るため、FM中継放送局も設置したいと考えています。ラジオ中継放送局と設備を共用し、平成24年度の開局を予定しています。
 予算については、今回ご提案する設置計画局所にかかる経費は、地上デジタルテレビジョン中継放送局の4地区で約1.7億円、ラジオ中継放送局およびFM中継放送局の5地区で約3.2億円を見込んでいます。
 お手元の資料に、(参考4)として地上デジタルテレビジョン中継局の開局数とカバー率の推移について整理したものを付けています。電波カバー率は、平成24年9月末で98.1%になっています。設置計画については、今回提案の4地区を加えると、これまでに2,187地区の提案を終えました。なお、新たな難視地区やデジタル混信地区等の対策中継局については、現在も検討を進めており、諸条件が整いしだい、設置計画の提案を考えていきます。
 今回、この設置計画が承認されましたら、各中継放送局の免許申請手続きなどの準備に入っていくことになります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 (石原委員)

 資料(参考4)の棒グラフを見ていると、例えば平成19年度は、累計344局のうち224局が開局してカバー率が93%になっています。また、24年度9月末は、合計2,149局でカバー率が98.1%になっていますが、1つの局を開局するためにかかる建設費はどこもほぼ同じと考えていいのですか。

 (久保田技師長)

 建設コストは、それぞれの局の条件によって変わります。例えば、同じ送信出力でも、設置する場所が非常に不便なところにある場合は、少し大げさですが輸送のためのモノレールを作る、あるいは、局舎をほかのところと共用する、借用する、独自で建てるなどのいろいろな条件によって建設コストは異なります。

 (石原委員)

 そういう地理的条件は分かるのですが、基本的には同じ機械なのですか。

 (久保田技師長)

 機械は同じものです。

 (石原委員)

 そうすると、一つの認識として、93%までのカバーは344局でできたけれども、98.1%にまで上げるためには2,149局が必要だったということですか。

 (久保田技師長)

 19年度93%のカバー率に含まれている局は、規模の大きい局になります。規模の大きいところの機械は大きくなります。

 (石原委員)

 機械が大きくなるとコストは高くなりますよね。

 (久保田技師長)

 コストは高くなります。

 (石原委員)

 単価は違うのですね。

 (久保田技師長)

 はい、違います。

 (石原委員)

 どれくらい違うのですか。

 (久保田技師長)

 今回開局する局のように、カバー世帯が数100世帯〜1,000世帯規模のところは数百万〜数千万です。また、一番大きい規模の東京スカイツリーのタワー建設経費は約600億円で、そこに設置したNHKの放送設備は、総合とEテレ合わせて40億〜50億円の規模です。今回設置計画でご説明した中で、一番小さな規模の中継局の建設コストはおよそ600万円です。局の規模によって価格が違います。私が最初に申し上げたのは、同じ規模の局でも設置条件によってトータルコストが変わってくるということです。

 (石原委員)

 資料に開局数だけ記載してもしようがないですね。状況は分かりました。

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局およびラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (久保田技師長)

 地上デジタルテレビジョン中継局およびラジオ中継放送局の開局についてご報告します。まず、地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局についてです。設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタル中継放送局のうち、ことし4月1日から9月末までの期間に4県で4局が開局しました。今回の4局については、いずれも新たな難視地区を解消するための対策中継局です。各局の送信出力やチャンネル、申請世帯数などは、それぞれお配りした資料のとおりです。また、各地域の中継局の設置場所については、(参考1)の地図をご覧ください。平成24年9月末までに、累計で2,149局の地上デジタル放送局が開局し、全国の視聴可能世帯のカバー率は98.1%になっています。今回、地上デジタル中継局の4局の建設にかかった経費はおよそ1.5億円です。
 続いて、ラジオ中継放送局の開局についてご報告します。設置計画に基づいて建設を進めてきた高知県の早明浦ラジオ中継放送局が5月に開局しました。この局は、高知県内の本山町、土佐町における夜間外国波混信の対策のために設置したラジオ中継放送局です。送信出力や周波数、申請世帯数などは、それぞれお手元にお配りした資料のとおりです。設置場所については(参考2)の地図をご参照ください。

 

 

4 その他

 (1) 平成25年度予算編成について(資料)

 (福井理事)
 平成25年度予算編成の考え方についてご説明します。8月28日の経営委員会では、25年度予算編成の基本的な考え方と予算編成のスケジュールをご説明しました。その時に、受信料の増収や経費削減の強化などにより、経営計画の47億円の赤字を解消させること、東海・東南海・南海地震による被害想定が拡大されたことを踏まえて、公共放送の機能強化の拡充等に取り組むことについて、ご了承いただきました。
 本日は、前回いただいたご意見を踏まえまして、25年度の具体的な収支構造案と予算編成にあたって検討すべき課題についてご説明します。
 資料の1ページをご覧ください。25年度予算編成の考え方をまとめています。8月28日にご説明した基本的な考え方をより具体的に整理し、お示ししています。考え方の1点目として、25年度は3か年経営計画の2年目として、経営計画を着実に推進していきます。2点目として、経営計画に定めた公共放送の機能強化をはじめとする重点事項を確実に実行していきます。また、これに加えて、23年10月の経営計画策定後に公表された南海トラフの巨大地震による被害想定が見直されたこと等の後発事象に対応するため、新たな施策を実施するほか、26年度に計画をしている事項のうち、早期に実施をすることが必要な事項の前倒しを行います。3点目は、ことしの10月からの受信料の値下げにより、25年度は通年化で減収影響が大きくなりますが、予算編成にあたっては、受信契約数の増加等により、経営計画を上回る受信料の増収を図ります。一方、支出面においては、重点事項に経営資源を重点的に配分するとともに、経費の削減を強化し、効率的な事業運営をいっそう徹底していきます。以上の取り組みにより、経営計画の策定時に想定した47億円の赤字を解消し、収支均衡予算を編成することにします。
 次に、2ページをご覧ください。1ページでご説明した予算編成の考え方を踏まえて、25年度の収支構造案を経営計画との比較でお示ししています。受信料は、経営計画に対し42億円の増収になる6,221億円を見込んでいます。事業収入全体では、40億円程度の増収となる6,490億円程度を想定しています。一方、事業支出は、経費の削減を強化することで10億円程度抑制し、収入と同程度の6,490億円程度を想定しています。以上により、事業収支差金がゼロになる収支均衡予算を編成し、経営計画に対して47億円の収支改善を行います。この収支構造をベースに、今後、事業計画の内容と科目ごとの予算額を固めていきます。なお、表の一番右側にあるとおり、24年度予算との比較においては、受信料は値下げの通年化により48億円の減収を見込んでいますが、固定資産の売却による特別収入の増等により、事業収入全体としては、24年度とほぼ同規模を想定しています。また、事業支出についても同規模を想定し、事業収支差金は24年度と同じくゼロとして、2年続けて収支均衡予算を編成します。
 3ページからは、予算編成にあたって検討すべき課題をまとめています。まず、3ページは、受信料収入の予算規模についての考え方です。25年度予算を策定する前提として、24年度は増収の確保に向けた全局的な取り組み等により、営業業績は堅調に推移しています。ページ左側の表の青色部分のとおり、24年度の見込みは、契約総数の増加は45万件、未収の削減は20万件、衛星契約の増加は予算の72万件に対して3万件上回る75万件を見込み、営業目標を達成する見通しです。これらを踏まえて、25年度の営業目標は、3か年経営計画の達成に向けて経営計画どおり、契約総数の増加で48万件、未収の削減で16万件、衛星契約の増加で69万件の目標を見込んでいます。この契約件数の増加等の見込みを踏まえて、ページ右側の棒グラフに受信料収入の見込みを立てています。まず、24年度は、先ほどご説明したとおり、営業目標を達成できる見通しであることに加えて、23年度の営業業績が24年度予算編成時における見込みを上回ったことなどにより、24年度予算に対し42億円の増収になる6,311億円を見込んでいます。この24年度の営業業績を踏まえて、25年度は経営計画どおりの営業目標を織り込み、25年度の受信料収入の予算規模は、経営計画に対し42億円の増収になる6,221億円を想定しています。
 4、5ページは、25年度の重点事項の想定です。4ページの最初の枠囲みに記載していますが、重点事項については、経営計画に織り込んだ25年度の計画を着実に実施していきます。そのうえで、23年10月の経営計画策定時以降に公表された南海トラフの巨大地震による被害想定の見直し等に対応するため、新たな施策を実施するほか、26年度に計画している事項のうち、早期に実施することが必要な事項の前倒しを行います。次の(1)〜(4)は、経営計画に織り込んでいる25年度の重点事項です。そのうち、5ページの(4)の@経費削減については、収支均衡予算を編成するために経営計画で織り込んでいる80億円の削減を上回る経費削減を行います。また、A営業改革については、地域スタッフ体制を見直して、外部の法人委託化を拡大することや住所変更情報等を活用した契約・収納方法の開発等の取り組みをいっそう推進して、受信料の増収と経営計画で見込んだ25年度の営業経費率11.8%を目指します。
 次に、6ページをご覧ください。25年度の建設費です。まず、経営計画で定めた699億円の計画を着実に実施します。そのうえで、南海トラフの巨大地震による被害想定の見直し等を踏まえて、新たな施策や早期に実施が必要な26年度計画の前倒しを行います。具体的には、新たな施策として、地震や津波による長時間停電に備えた放送所の非常用電源設備の整備や、放送会館の浸水対策の強化等を7億円程度で実施します。また、福岡放送局への新中型ヘリの配備など、26年度に計画していた事項の前倒しを8億円程度で実施し、合計で公共放送の機能強化に係わる設備投資を15億円程度増額します。以上により、建設費は総額714億円規模で実施します。
 最後の7ページは、今後の予算編成スケジュールです。8月28日の経営委員会でご説明した内容と変わりありませんが、予算編成方針以降、審議していただく議題の具体的な内容を記載しています。

 (北原委員)

 東日本大震災の発生後、今後東海地震かどうかは分かりませんが、渋谷の放送センターに大きな被害があったときに備えて、さいたま放送局に首都圏の取材・伝送を継続できる体制を整備することや大阪放送局に本部の代替機能を持たせることになっていました。それに加えて、中央防災会議での南海トラフの巨大地震における被害想定を踏まえた機能の強化が必要になってきます。25年度の予算で、新たにどのくらいの経費が発生するのですか。

 (福井理事)

 公共放送の機能強化については、経営計画では78億円を想定していましたが、今は新たな施策で計画の前倒しで約90億円に拡充することを検討しています。

 (上村委員)

 受信料を値下げして、機能強化も行わなければならないことから、契約増加による134億円の増収で赤字を解消し、収支均衡予算にするということですが、赤字の解消は本当に至上命題なのかという感じがします。私1人の意見かもしれませんが、本来持っているミッションを最大に実現していただきたいと思っています。そのために最終的に赤字になったとしても、それをもってけしからんということにはならないと思うのです。重大な過渡期ですので、収支均衡予算が望ましいのですが、それが至上命題というように受け止めて無理をする必要はないのではないかと、個人的には思います。

 (福井理事)

 至上命題ということではなく、もともと経営計画では赤字を47億円としていましたが、今回受信料の増収を42億円見込んでいます。さらに、経営計画では経費の削減を80億円としていましたが、もうすでにいろいろ取り組んでおり、さらに上積みできる見込みですので、基本的には公共放送の機能を充実しても収支均衡にできるという試算をしています。

 (松本会長)

 至上命題という点で言えば、経営計画で決めたことをきちんと実行するということです。経営計画は3年間ですので、収入については、できる限り前倒しで増収を図ることが必要で、「プロジェクト810」の取り組みもあり、効果を上げつつあると思っています。それと同時に、経営資源の効果的活用という意味で、経費削減を行います。それらを踏まえて、当初26年度で実施予定のものも前倒しするということです。特に機能強化については、もともと早く行いたいということでしたので、工事期間や材料調達の問題もあり、そう簡単にはいかないのですが、前倒しできるものはできるだけ行うということです。また、公共放送としての機能をきちんと果たすためには、南海トラフの巨大地震による被害想定の見直し分を新たに追加するということです。そういうことを通じて、公共放送の使命を果たすことが重要だと思います。もう1つ大事なことは、これらを行う一方で質は落とさないということです。質は守りながら、経営計画3年間の収支計画の前倒しを進め、機能強化もできる限り早く実施するということだと思います。

 (作田代行)

 経費削減の規模は80億円強とおっしゃったことについて、1つ質問があります。24年度の経費削減はどれぐらいを予定しているのかということと、80億円のざっくりとした中身について、変動費と固定費に分けると大体どんな比率になるのでしょうか。

 (福井理事)

 まず、80億円の中身を固定費と変動費という考え方でお示しするのは非常に難しく、個別に費用ごとに洗い出しています。80億円の中には人件費も当然入っています。それ以外についてはほとんどが変動費にあたるものです。固定費にあたるものとしては、例えば営業関係で地域スタッフの経費がありますが、これも当然削減する予定です。24年度予算では、経費削減の規模は120億円です。

 (作田代行)

 先ほど、松本会長がおっしゃったことに関連しますが、業務の棚卸しの中には、職員は今よりも質の高い仕事を行うという絶対譲れない意図があるのだと思います。そういう中で、外に出せるものは委託するというような方向に行くでしょうし、一方で、それを通じて質が落ちてはいけないわけです。NHKにおける業務の棚卸しは、プライオリティーの低い仕事からスクラップ、もしくは外注するということを、どれだけ説明し切れるかということだと思うのです。それでも、人を減らすという課題が残ります。これらはある程度利害に反するところが出てくると思いますが、そこをきちんと了解してもらえるかどうかだと思います。

 (松本会長)

 今のお話は、非常に大事な議論だと思います。NHKの歴史をずっと見てみますと、以前もお話ししたかもしれませんが、かつて、1万7,000人ぐらいいた職員が今は約1万人に減少し、逆に、業務量は放送時間数で3倍になっています。増えた分はまず職員の努力、それを上回る部分は外部に出ています。人を減らせ減らせという流れに沿って、仕事が外に出ていかざるを得ないということです。今お話しになられたように、それが外に出ていい仕事なのかどうかということは重要なことです。このようなことを続けていると、NHKがきちんとした仕事をするために必要な人材を確保することができなくなります。私が今考えているのは、NHKが公共放送として、全国のネットワークを今後とも維持し、かつ、将来もきちんと役割を果たすためには、どこかに歯止めが必要ではないかということです。すなわち、現在職員数は、約1万人ですが、まず、その程度のところを固定するということだと思います。そして、全国の放送局のネットワークを今後ともきちんと維持する、また、その人員から逆に仕事を見て、外に出した仕事の中で本体に取り戻すべき仕事とそうでないものをきちんと検証し、トータルとして、継続して安定的に公共放送の役割を果たしていくということが必要だと思うのです。このまま流れに任せているとどんどん変なことになると思います。ここで歯止めをかけて、きちんと整体させなければいけないと思っています。

 (浜田委員長)

 全体的な意見というか感想をお伝えします。3か年経営計画では、25年度の収支は赤字でしたが、収支均衡を目指すという考え方が出されており、これは経営努力を多として評価すべきであろうと思っています。4項目からなる重点事項が出されましたが、これも経営委員会と執行部との間で、認識が共有化された内容だと思っています。
 そのうえで、現時点で考えていることを少し述べさせていただきます。「国際放送の強化」および「放送と通信の融合」という2つのテーマについては、経営委員間での合意形成を図ったうえで、その取り扱いについて近いうちに執行部と話し合いができればと思っています。

 また、人件費については、衆参両院、総務大臣から、説明責任を果たすことが求められていると私は思っています。一方で、給与等の処遇は、従業員にとって最大の労働条件ですので、慎重に取り扱うべきかと思いますが、ある意味では、NHKは来年3月までに提出すべき宿題をいただいたと考えるべきだと思っています。そこについては、執行部としての考え方、方向性を整理していただければと思います。

 

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成25年2月12日    

浜 田 健一郎

 

渡  惠理子