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経営委員会後の会長任命記者会見発言要旨

 

2022年12月5日(月)(第1413回)森下委員長、村田代行

 

【森下委員長】

 本日、指名部会を開催し、現会長の業績評価および、その他の候補者の推薦を確認し、次期会長任命の最終候補者としてリコー経済社会研究所の稲葉延雄氏を決定しました。

 

 引き続き、経営委員会を開催し、全員一致で稲葉氏を次期会長に任命することを決定しました。任期は、令和5年1月25日から3年間です。

 

 稲葉氏は昭和49年より日本銀行にお勤めになり、システム情報局長、考査局長、理事などを歴任されるとともに、その後、株式会社リコーでは、取締役やCIOとして、コーポレートガバナンスを推進されるなど、同社の経営にあたられました。

 

 経営委員会が稲葉氏をNHKの次期会長にふさわしい方だと判断した理由は、次期会長の資格要件を満たしていることを委員全員が認めたこと。自主性・自立性が必要とされる日本銀行において、長年にわたり日本経済の発展に貢献するとともに、理事として金融システムの安定化に向けた政策決定に寄与されるなど、豊富な経験、幅広い知識・見識があること。民間企業で環境が激変する中での経営の経験があり、リーダーシップを発揮し、人をまとめる力、人の意見を聞く力、組織風土を改善する力があり、前田会長の進めてきた改革を引き継ぐことが期待できること。組織の活性化を図り、現場との対話を重視した安定的な運営ができること。公平・公正を重んじる公共メディアという観点を強く意識しており、NHKのガバナンス強化に期待が持てること。以上により、公共放送、公共メディアのNHKの会長としてリーダーシップを発揮していただける方だと判断しました。

 

 放送をとりまく環境が激しく変化する時代です。NHKは、来年度実施する受信料の値下げによる還元、衛星波の削減をはじめ、改革の継続や、次期経営計画の策定、放送センター建替えなど、推し進めなければいけない課題がいくつもあります。

 

 稲葉氏には、これまで前田会長のもとで行っている、これらの諸課題への取り組みや改革を引き継ぎ、役職員の皆さんとのコミュニケーションを図り共に力強く進め、視聴者・国民の皆さまに信頼され、必要とされるNHKを作り上げていただきたいと思います。

 

 私たち経営委員会も、同じ思いで責任を果たして参りたいと思います。

 

 

【以下質疑応答】(A.は断りがない場合は森下委員長)

<選考過程>

Q.全員一致で議決されたという事で間違いないか。

A.12名全員だ。

 

Q.経営委員会の席上に稲葉さんを実際にお迎えして、お話を伺ったのか。

A.指名部会ではなく、経営委員会に来ていただいて、稲葉さんにNHKの会長をやっていただけるかということと、どういう考えか、決意、方法をお聞きして、経営委員全員からいろいろな質問をさせていただき、確認した。

 

Q.今日の指名部会で、実際に議論をされた方は、稲葉さんお一人だったのか。

A.複数あった。

 

Q.前田会長も含まれるのか。

A.含まれる。

 

 

<内部からの任命>

Q.内部昇格でなく外部から次期会長をお迎えする理由は。

A.基本的に内部、外部という考えは最初からない。5つの次期会長の資格要件の一番最後に、社会環境の変化、新しい時代の要請に対して、的確に対応できる経営的センスを有することがある。この条件があるので、我々としてはどういう人が必要かというときに、時代に合わせてNHKをどういうふうに持っていけばいいのか、経営できる人、そういう観点で検討している。中だろうが外だろうが、あまり意識していない。放送分野の専門であれば、ある意味、越したことはないが、現在の前田会長のように、いろいろなところで大活躍されて、経営者として成果を上げてきた方は一定期間勉強すれば、十分その企業のことが理解できると思う。

 

 

<稲葉氏の評価>

Q.稲葉さんならば大丈夫だとか、お任せできると感じた部分や、印象に残ったことは。

A.稲葉氏は次期会長の要件を満たしていることのほか、公共性をしっかりと認識されていた。日本銀行も自主自律の立場だったということで、非常にそれを意識されているということ。もう1つは放送業界もインターネットを含めて変化があるので、執行部、現場の職員と一緒なって、改革に取り組みたいということだった。経営委員全員が、この方にだったらNHKを任せられるのではないかという認識を持った。

 

Q.稲葉さんは72歳で、前田会長の5歳年下ということだが、若返りを図ったのか。

A.経営委員会では、特に若返りとかそういう要素を議論していない。次期会長に求める5つの要件を満たしているか、適任かということで、特に年齢について議論はなかった。

 

Q.決定の理由の中で、日本銀行の出身で、公共性ということを重視されているということがあったが、デジタル時代の公共放送の在り方を考える上で、そういう時代の変化に対応する資質をどのように評価したのか。

A.経営委員からのいろいろな質問に対し、稲葉氏がおっしゃっていたのは、民間会社で12年間役員を務められていて、技術の最先端をいく会社で、身をもって改革の経験をしてきたと。NHKにとっても、これからのインターネット時代にいろんな意味で変わっていかないといけない、その時にイノベーションなど新しいものをどんどん取り入れながら、改革していくべきだということだった。そういう意味では民間会社での経験がすごく生きるのではないか。

 

 

<前田会長の評価>

Q.前田会長の業績評価をどのように行ったのか。前田会長の続投ではなく新しい会長を迎える理由は何か。

A.まず経営委員全員が現会長の評価を順番に1人ずつ述べて、前田会長が大変大きな改革を推進されて、大きな成果を出されているということについては、ほとんどの委員がそういう評価だった。ただ、3年間、改革をやって、次は改革を仕上げていくという意味で、いろいろな問題を修正しながらやっていかないといけないので、次はそういう改革マインドをもった別の方がやるのが適切ではないかという意見だった。

 

Q.事業の一貫性の観点から考えると、前田会長がそのまま続投したほうがよいのではないか。

A.現会長の評価について、経営委員全員の意見を確認した。非常に大きな改革なので当然改革で問題も出るので、直しながら、改革を進めていくという意味では新しい観点で別の方がやった方がいいだろうということだ。むしろ今のままでいくと、自分で直すのはなかなか難しいところも考えられる。

 

以上