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石川県輪島市 輪島塗 若手「塗師屋」の再起

  • 2024年03月29日

能登半島地震では、輪島市の伝統工芸・輪島塗の店や工房も大きな被害を受けました。
輪島漆器商工業協同組合によると、103ある加盟事業者のすべてが地震で被害を受け、ほとんどの店が事業を再開できていないということです。

職人たちをまとめて作った漆器を全国で売り歩く、輪島塗の顔役ともいえる「塗師屋」(ぬしや)の老舗を受け継ぎ、再建を誓って動き始めた若い経営者を追いました。

必ず復興すると誓って

輪島塗を作って全国で売り歩く「塗師屋」、田谷昂大(たや たかひろ)さん(32)。
創業200年の老舗に生まれ漆器販売に携わってきましたが、地震で仕事ができなくなりました。

田谷さん
輪島全体が壊滅的な状態だったので、輪島塗はもう作れないと思った

店舗や工房が被害を受け、商品や職人道具も多くが失われました。

従業員や職人も被災する中、いち早く店の再建を宣言して社長に就任。
若い自分が周りを引っ張っていこうと片付けを始めました。
輪島塗を支えてきた職人たちを雇い続けるためにも、無事だった漆器を売り、資金を得ようと考えたのです。

必ず復興すると公言した
周りに言わないと心が折れてしまいそうだと思って
自分でやると言ったからにはやるしかない

先頭に立って動き出した田谷さんの姿を見て、職人たちも避難所などから手伝いに来てくれるようになりました。
地震で傾いた倉庫から無事だった輪島塗を運び出します。

制作に半年かかる貴重なお椀や皿が無事に残っていました。

久しぶりに集まった仲間たちの笑顔を見て、田谷さんは復興への思いを新たにしていました。

みんなで前へ

今月、田谷さんは東京で行われたイベントでの、輪島塗の展示販売にこぎつけました。
能登の地酒などとともに、輪島塗を手に取った客に職人たちの繊細な技術を感じてもらいます。

 

輪島塗のおわんでお召し上がりいただく
周りが熱くならない 輪島塗は口当たりがすごく良い

そして今回、田谷さんは初めて、販売会に職人を誘いました。
腕を振るう機会を失っている職人の技を、大勢の前で披露してもらうことにしたのです。

職人
仕事は2か月ぶりです 輪島にいても何もすることがない
人前に出るのは恥ずかしいけど、どんな形であれ仕事ができる
誘ってもらえてうれしかったです

 

田谷さんは輪島の復興に向けて職人たちとともに歩み始めました。

輪島塗に携わる人はみんな思っていると思うのですが
世界で一番質の高い漆器を作っているという自負がある
自分たちの1歩は小さいですが、周りの人がみんな頑張る、前向きになるということで
すごく大きな1歩になると思っています

👇動画でご視聴いただけます(2024年5月31日まで)

 

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