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能登・七尾が舞台の「君ソム」聖地巡礼 高校の天文台が人気

  • 2023年07月04日

七尾市など能登半島を舞台にした作品
『君は放課後インソムニア』が映画化され
6月に全国公開されました。
映画化でさらに盛り上がる地元を取材しました。

(金沢放送局 記者 安藤健人)

待ちに待った映画の公開

全国公開中のこちらの映画。
地元の反応を取材しようと向かった七尾駅で
さっそくポスターが見つかりました。

原作は能登半島を舞台に、不眠に悩む高校生の男女の心の交流を描いた人気コミックです。

地元の
高校生

いろいろと地元が登場して親近感がわきました。
天文ドームのシーンが一番印象に残りました。

40代女性

本屋さんや図書館で宣伝されていて気になっていました。
見てみたいです。
地元が出るとやっぱりうれしいし、みんなに知ってもらいたいですね。

秘密の天文台に迫る!

主人公たちが通う高校のモデルとなった七尾高校です。

全国でも珍しく天文台があるこちらの高校。
作品がきっかけで天文部員も増えていて、
現在はおよそ30人が活動しています。

七尾高校の天文ドーム

作品の象徴的なシーンでは
夜、眠れない2人の主人公が
天文台で仮眠を取る様子が描かれています。

安藤

ここで昼寝することは?

3年生

ないです。
暑いので(笑)

部員の皆さんがこの部活に入った理由は?

2年生

『インソムニア』の舞台になったことを聞いて素敵だなと思って。
漫画は全巻持っています。
天文ドームは漫画の中のそのままで感動です。

2年生

中学生の時に「重力波」というものに出会ったんです。
重力波のすごさについて書かれた
本をたくさん読んで大好きになりました。
中性子星や1等星、2等星など
いろんな星を自分の目で見てみたいなって思って
天文部に入りました。

さまざまな思いで集まった部員の皆さん。
ふだんはどのような活動をしているのでしょうか。
3年生の部員たちが去年、およそ1年間かけて進めてきた研究を紹介してもらいました。

研究を行った3年生の部員たち

太陽の光を抑えて
「昼間でも星が観察できるようにできないか」
          という研究をしています。

望遠鏡のレンズにかぶせる筒状の道具「フード」。
このフードには太陽の光を吸収する
植毛紙」(しょくもうし)という素材を内部に用いていて、
レンズの前方に取り付けると、
太陽の光がフードの中で反射してレンズに入るのを
通常よりも抑えることができるといいます。

これにより、夜間の活動が難しい
高校生の天文研究の幅が広がる可能性があるということです。

安藤

作品のなかでは、天文台を一般公開する行事も計画されていましたね。

顧問
中村先生

何かアイデアがあればぜひやりたいですね。何か考えてよ!

2年生

...わかりました!!

「聖地」の人たちからも喜びの声

映画化を機に、作品の人気は街なかにも広がっています。
主人公2人が夜の市街地を散策するシーンで登場する薬局店の店主夫婦です。

薬局店主夫婦

映画を見て、あの頃の青春時代がよみがえって幸せな気分で帰ってきました。

映画の公開が、七尾を覚えてもらうためのいい機会になってほしい。

こちらは市内中心部にある老舗の喫茶店。映画のロケ地にもなりました。

店主の窪丈雄さんは作品の大ファン。
店内には作品にまつわるポスターやアイテム、それに作者直筆の色紙などがずらりと並んでいます。

作品ゆかりの地の写真の数々

七尾市の人たちに作品により関心をもってもらおうと、
舞台となった場所を見つけ出しては、SNSで発信してきました。

左から順に日本語版、ドイツ語版、英語版

最近では聖地巡礼に訪れる外国人も増えているということです。
窪さんは海外からのお客さんにも楽しんでもらおうと、外国語版の漫画も集めています。

これがきっかけで七尾が元気になればいいなという思いはあったんですけど、
なかなか七尾の人に気づいてもらえずもどかしかった。
映画の公開後は、映画を見た人たちの話が聞けるようになりすごくうれしいです。

映画が後押しする街のにぎわい。
市の魅力をPRする取り組みも進められています。

地元企業が開発したARアプリ

こちらは七尾市で聖地巡礼を楽しんでもらおうと
地元の企業が開発したスマートフォンのアプリ。
作品に登場する場所を訪れてアプリを起動すると、
主人公たちのキャラクターが映った写真を撮ることができ、聖地巡礼をより楽しむことができます。

窪さん

作品を通していろんな方が七尾市に注目してもらえる。
街にとってもすごくいいことです。

 七尾市の作品ゆかりの場所を紹介する「ファンマップ」
 

このアプリが使える撮影スポットは、
窪さんなど地元のファンと七尾市とが協力して制作した
「ファンマップ」でも紹介されています。

現在も、
地元のファンや企業、そして自治体が連携しながら、
作品の効果を地域の活性化につなげていく議論が進められています。

今後の広がりにも注目です。

  • 安藤健人

    NHK金沢 記者

    安藤健人

    2022年入局
    出身地 石川県金沢市

    初任地の名古屋放送局を経て、
    現在、金沢放送局で警察取材を担当。

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