島津家ゆかり「曲水の宴」 白鳥哲也アナウンサーも挑戦
- 2023年05月18日
白鳥哲也アナウンサーが詠み手として参加
情報WAVEかごしまのキャスターを担当している白鳥哲也です。薩摩藩の島津家の別邸として知られる鹿児島市の仙厳園で、庭のせせらぎに杯を流し、和歌を詠む春の行事「曲水の宴」が行われました。私も詠み手の1人として参加しました。
私が身につけているのは、江戸時代、大大名が正式な晴れの舞台でのみ身につけた装束なんです。このいでたちで、仙厳園の春の恒例行事「曲水の宴」に参加して、和歌を詠んできます!
平安貴族の遊び 曲水の宴
「曲水の宴」は庭に作られた水路の上流から酒を注いだ杯を流し、目の前に流れ着くまでに和歌を詠む、平安貴族の遊びとしても知られる行事です。
1959年に仙厳園の梅林で、曲水の宴に使われた跡が発見され、その後4年半にわたって調査と復元が行われました。この庭は江戸時代中頃(1736年前後と推定)に第21代・島津吉貴によって作られたと考えられています。日本で唯一、江戸時代の姿をとどめる「曲水の庭」なんですって。
1992年に、島津家の文化を後世に伝えたいと、旧宮家や大名家の子孫などを招き、「曲水の宴」が開かれました。今年で29回目を迎えた春の恒例行事となっています。
杯に注ぐのは、鹿児島の焼酎文化を取り入れ、芋焼酎。鳥をかたどった「羽觴(うしょう)」という杯で流します。
去年から詠み手を公募していて、私も応募して参加しました。応募した時には、歌を詠まなければならないことは、忘れていたというか考えないようにしていたというか・・・苦笑。
ことしの歌題は「友」
ことしは「友」という歌題で和歌をしたためます。
大勢の観客が見守る中、慣れない毛筆で、短冊にバランスよく、杯が流れ着くまでにしたためられるのか・・・もうドキドキです。
総文祭への思いを込めて
8人いる詠み手の1人、田嶋吾富さんは鹿児島市の松陽高校の校長で、今年の夏に鹿児島県で開催される全国高等学校総合文化祭「かごしま総文」の実行委員会副会長です。
コロナ禍で全国で交流する機会も少なくなった中で、夏には生徒たちの笑顔が輝く総文になればという思いを込めて詠みました。
つむぐが「紡ぐ」ではなく、「紬ぐ」になっているのは、鹿児島大会のテーマ『47の結晶 桜島の気噴にのせ 紬げ文化の1ページ』をふまえてのことですね。もちろん、大島紬にちなんでの大会テーマであることは言うまでもありません。
将来への熱い思いを詠んだ研修医
公募で参加した1人、小坂真琴さん。鹿児島市内の病院に研修医として勤めています。大学時代からの友人と語り合った、将来への熱い思いを桜島に重ねました。
桜島は鹿児島市内から仰げるので、そこで一緒に過ごした時間を思って詠みました。将来については、悩みも多いので、お互いによく相談しています。
会場には、招待客としてその友人、細谷直史さんの姿も。
かなり2人で語り合うことがあったので、そういうことを思い返しながら、歌を聴いていました。
高校時代の友人との思い出を和歌に
そして、私は、高校時代に友人がかけてくれた励ましの言葉を思い出しながら詠みました。
高校時代、生徒会活動の運営で悩んだ時に、友人が「おまえの言っていること、やろうとしていることは何も間違ってないよ」の一言に救われました。30年経っても、折に触れ、思い出されます。
曲水の宴を終えて
ようやくコロナ禍が落ち着き、季節の移り変わりを楽しむ心のゆとりも生まれたことしの春。
いにしえの装束に身を包み、和歌に向き合った1日は、地域の歴史と自身の来し方に思いを寄せる、良い時間となりました。