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  4. 国内最大の群生地でミズバショウが見頃

暖かい日が続いた4月の網走市。景色も、モノクロだった冬から、色鮮やかな春へと移り変わりました。網走で桜より先に春を感じさせる植物と言えば…そう、ミズバショウです。暖かさに誘われ、例年よりも早く、見頃を迎えました(網走支局・佐藤公哉)

4月、網走市は暖かかった…というより、暑いと感じる日までありました。網走市の4月の最高気温の平年値は9.1度なんですが、ことしは最高気温が20度を超える日がなんと4日もあったんです。平均気温も平年よりも3度以上高くなっていて、かなり暖かかったということがわかると思います。

暖かさを感じていたのは人間だけではありません。網走湖畔のミズバショウの群生地では、例年よりも1週間から10日ほど早く花が咲き始め、4月中旬には見頃を迎えました。ミズバショウというと「夏が来れば思い出す~ はるかな尾瀬 とおい空」「水芭蕉の花が咲いている 夢見て咲いている水のほとり」という歌詞が、メロディーとともに思い浮かびませんか?この曲のタイトルは「夏の思い出」。そう、「夏」なんです。ただ実際は夏まで見頃が続くことはあまりなく、歌詞に出てくる尾瀬でも見頃は5月下旬から6月上旬ごろ、北海道では4月が見頃で、道内では春の訪れを告げる花として広く知られています。

話を戻します。ミズバショウは成長が早いのか、朝に確認したあと、夕方に再び見ると、大きくなっているのがわかるほどです。撮影に行くときも天気を見ながら予定をたてますが、チャンスを逃すとあっという間に緑の葉が大きくなってしまい、白い仏炎苞が大きな葉に隠れてしまいます。とはいえ、網走湖畔のミズバショウの群生地は国内最大級。咲く場所も何か所にもわかれているので、早咲きから遅咲きまで、長く楽しむことができます。

4月中旬、早朝の網走湖畔。国道に面しているとは思えないほど、鳥のさえずりが響き渡ります。ことしはクマゲラやウグイスなど、たくさんの鳥の声を聞くことができました。こうした「音」もだいご味のひとつ。日中は車通りが多く鳥のさえずりがかきけされてしまうので、早朝に訪れ、目と耳の両方で楽しむのが私のおすすめです。

ミズバショウは湖のほとりでかれんに咲いていました。水面から照り返す春の日差しを浴びて、キラキラと輝いていました。4月上旬にまとまった雪が降ったせいか水が多く、ミズバショウはまるで池の中に咲いているようでした。近年は水が少なく、土に咲いているような年があったのがうそのようです。私は素人なので、どのくらい水があるのがベストなのかはわかりませんが、ミズバショウのまわりを流れる水音が、より一層、春の訪れを感じさせてくれます。ミズバショウの花言葉の1つは「美しい思い出」です。これは先ほど紹介した曲「夏の思い出」に由来しているとされています。湖畔を訪れた人たちは早速、「夏の思い出」ならぬ「春の思い出」をつくろうと、花を写真におさめていました。

私が毎年、取材で訪れるのは網走市呼人の線路寄りの場所。ここはもともと私有地でした。しかし近隣の土地が売りに出され、開発によって自然が減っていくのを見かねた地元住民などでつくる市民グループが、全国から募金を集めて2003年に買い取った場所なんです。土地はその後、網走市に寄付されましたが、現在も自然を守るため、市民グループが手弁当で環境保全活動を行っています。ただ市民グループは高齢化が進み、今後も保全活動が続けられるか、懸念されています。倒木の処理や、用水路に詰まった落ち葉やゴミの処理などはなかなか大変なようですが、このすばらしい景色が見られるのも、こうした地道な活動があってこそ。うまく次の世代に引き継げるとよいのですが…。

網走市呼人では、遊歩道でもミズバショウが見られ、散歩コースにはうってつけです。また網走市では網走湖だけでなく、濤沸湖周辺でもミズバショウが見られます。網走湖畔よりも1週間ほど見頃が遅く、またお花が小さいのも特徴のようで、網走湖と濤沸湖を見比べてみるのもおもしろいかもしれませんね。

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網走湖畔の国内最大級の群生地でミズバショウが見頃

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