子どもたち見守る苫小牧の「百年桜」
- 2024年5月14日
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全校児童18人の苫小牧市の樽前小学校には、開校当時から100年以上咲き続けるエゾヤマザクラがあります。「百年桜」として地域で親しまれるこの桜が満開となる時期に、子どもたちが楽しみにしている行事があります。(室蘭放送局 上野哲平カメラマン)
開校から100年以上 校庭に立つ百年桜
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「だるまさんが転んだ!」、苫小牧市西部にある樽前小学校の校庭に子どもたちの楽しそうな声が響いていました。春になると、校庭の中心に立つエゾヤマザクラのまわりでは子どもたちの遊ぶ姿が見られます。
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桜のそばにはその歴史を紹介する案内板が立てられています。卒業生が作ったこの案内板には、樽前小学校が1922年に開校した時、「先生の指導により、子どもたちが裏山から掘り、植えた」と記されています。この地域では「百年桜」として親しまれています。
地域の人が丹念に手入れ
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長い年月を経て、大きな枝が折れたり、幹の内部が腐って空洞になったりするなど、桜には傷みが目立つにようになってきています。こうした中、地域に住む人たちが、樹木医のアドバイスを受けながら支柱を立て、枯れた枝を切るなどして、桜の手入れに取り組んでいます。
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手入れを行っている樹木医・金田正弘さんによりますと、エゾヤマザクラの寿命は長くても100年くらいだそうです。年々弱くなってきた百年桜ですが、3年前に手入れを本格的に始めてから、以前に比べて花が多く咲いたり、新しい根が生えてきたりしていて、手応えを感じているといいます。
樹木医 金田正弘さん
「われわれが手を貸すことによって百年桜がもっと延命できるんじゃないかと考えています。非常に樹木の生命力っていうのを感じます」
また、桜の世話をしている人の中には樽前小学校の卒業生もいます。50年近く前に卒業した鴻野一朗さんは、この桜は学校や子どもたちにとって欠かせないもので、できるかぎり残していきたいと話します。
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卒業生 鴻野一朗さん
「百年桜は樽前小学校のシンボルだと思いますので、残していければと思います。自分たちが過ごしてきた同じ環境を子どもたちに残してあげたいです。いろいろな行事ごとに写真の後ろにこの桜が写っていることになると思います」
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満開の百年桜の下で給食
5月はじめ、満開となった百年桜の下にすべての子どもたち、それに教員が集まって給食を食べました。毎年恒例の「お花見給食」です。子どもたちは、年に一度のこの日を楽しみにしていて、「桜を見ながら食べるからいつもよりおいしい」、「毎年きれいに咲いています」などと声を弾ませていました。
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2学期からは同じ敷地内にできる新しい校舎に移動することになっていますが、今後も百年桜を見ながらの給食を続ける予定だということです。
また満開の時期にはライトアップも行われ、地域の人も百年桜を楽しんでいました。
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取材後記
校庭の真ん中に立つ桜があると聞き、取材を始めました。取材をしていて印象に残ったのが、遊ぶ時も給食の時も高学年が低学年の面倒を見る仲のよさです。また、地域の人たちは、百年桜の手入れをしながら、桜だけでなく、樽前小学校の子どもたちを優しく見守っているのだと感じました。6月には百年桜が立つ校庭で、小学校の子どもたちと地域の人が参加する運動会が行われるそうです。地域の人たちに支えられた百年桜とともに、子どもたちが元気に過ごして、成長していってほしいと思いました。
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「ほっとニュース北海道」で5月9日に放送しました👇
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