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  4. 流氷観光船“おーろら” 化粧直し支える人たち

オホーツク海の流氷を砕きながら進む人気の観光船、“おーろら”。冬のシーズンの営業を3月末で終了し、流氷によって傷んだ船体を北海道東部の釧路市にある造船所で修繕します。
道東最大のドックでおーろらの化粧直しを支える人たちに密着しました。
(釧路局・早川裕貴)

“おーろら”釧路港に到着

午後9時、釧路港に流氷観光砕氷船おーろらが姿を見せました。船体の修繕のため、網走を午前4時頃出発。知床半島と納沙布岬をまわり、およそ17時間かけて到着しました。

道東最大のドックでの作業

北海道東部、釧路市にある、昭和43年創業の造船所「釧路重工業」。観光船や漁船など年間20隻ほどの船を修繕しています。道東最大のドックを持つ釧路重工業。道内では大型の観光船である全長45メートルのおーろらを修繕します。

今回の修繕期間は、2週間ほどです。およそ20人が作業にあたります。修繕作業をするためにはドックの底に準備した台座へ、船をしっかりと設置する必要があります。そのためドック内の水を抜きながら、船を台座のある場所に正確に配置しなくてはいけません。経験が必要な、重要な作業です。この作業を統括するのはドックマスターの野戸豊(のと・ゆたか)さんです。漁船や調査船などで船長や航海士を長く務め、ドックマスターを5年前から担当しています。

野戸豊さん
「船も大きいし、ドックの幅もそんなにないので、ぶつかって船を傷つけないように気をつけて、センターにうまい具合に乗るようにします」

作業はドックマスターの腕の見せどころ。慎重に作業を行います。

排水作業開始

ドック内のおよそ1万2千トンの水を5台のポンプを使い海へ勢いよく排出します。

ドックマスターは、船の上からは水面下の台座が見えません。ドックにあらかじめつけておいた目印を頼りに、船の位置を目視で確認します。作業員に指示を出し、船の前後や左右につけられたロープの張り具合を調整し、位置を決めていきます。

水を抜いてしまうと船は動かせなくなります。作業員が協力して、念入りに船の位置の修正を重ねていきます。

ドック内の水はおよそ4時間かけ排出され、おーろらの船底があらわになります。

船の修繕作業

ドックマスターを中心とした作業員全員の力を合わせた結果、総重量491トンのおーろらの中心が、幅1.4メートルほどの台座に無事着地しました。

おーろらは全体で30個の台座で船体を支えられます。実は、船体の寸法や形状から台座の位置や形を調整するのも、ドックマスターの仕事の一つです。おーろらの入港前にすでに準備をしていました。

ことしは流氷が多く、1月中旬から3月末までのうち72日間おーろらを運行しました。そのためいつもよりペンキが激しく剥がれてしまいました。年に2回行われる修繕作業、春は船底の清掃や、船体の塗装などを重点的に行います。

釧路重工業の原洋(はら・ひろし)代表取締役は「おーろらの整備期間は短いので、集中的に従業員全員一丸となって作業を行います。安全に操業できる態勢を船主さんに保証するということが我々の使命です」と話します。

短い期間で行われるおーろらの化粧直し作業。舞台裏にはドックマスターの経験に支えられた技や、作業員が一致団結し作業に向かう姿がありました。

あとがき

修繕作業が終わるとおーろらは釧路を出港し、オホーツク海側のウトロ港へ移動します。
大型連休が始まる前の4月下旬から、知床半島の観光船として運航する予定です。

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