ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. なんか見ささる
  4. 函館のサクラ 開花発表のひみつ

函館のサクラ 開花発表のひみつ

  • 2024年4月17日

函館もいよいよサクラのシーズン。みなさんは函館のサクラの「開花日」がどのように決められているか知っていますか?その舞台裏を詳しくお伝えします!

なぜ、五稜郭公園に「標本木」がある?

サクラの開花発表について教えていただくのは、函館地方気象台の伊藤洋さん。技術専門官として函館のサクラの観測を担当しています。

気象庁の指針では、サクラの開花発表は基準となる「標本木」を定めて行うと決められています。函館の場合、五稜郭公園の中に標本木があり1953年から観測を行っています。

伊藤洋さん

「原則は、気象官署の構内にあるサクラの木を観測することになっていますが、気象台の付近であれば公園内などのサクラでも良いということになっています。五稜郭公園は、気象台から5km未満の場所で標高差も50m以内ということもあり、観測に適しているんです。」

そんな五稜郭公園の標本木には、意外と知られていない”ひみつ”が多くあると伊藤さんは言います。

ひみつ①:標本木の特徴は”場所”にあり!

公園に1500本以上ある桜の中で標本木はただ1つ。その特徴は、木が生えている場所にあります。

例えば、建物の近くにあるサクラは標本木には適しません。建物から出る熱や太陽光の反射などの影響で、自然な状態よりも早く咲いてしまうことがあるためです。

一方で、現在の標本木の場所は五稜郭公園の北側にある裏門橋のそば。周りを堀に囲まれ建物の影響を受けづらいので、観測に適しています。

ひみつ②:以前、標本木は3本あった!

そんな標本木ですが、実は以前は全部で3本ありました。

伊藤洋さん

「今の標本木の両隣のサクラも、2010年までは標本木として観測されていました。3本のうち1つでも開花の基準を満たしたら『開花日』としていたんです。」

2010年までは、標本木の本数について全国的な決まりがありませんでした。その後2011年に気象庁の指針が改正され函館の標本木も1本になり、残りの2本は標本木に病気や不測の事態があった時のための「副標本木」となりました。

ひみつ③:観測の方法にも細かい決まりが!

開花の発表のための観測の方法も、気象庁の指針で細かく決められています。例えば、木の幹から生えている花は「胴咲き」と言って、枝についている花よりも早く咲くと言われることから開花の基準には使えません。

また、花は1輪だけではだめで5~6輪が咲いたら開花日というルールもあります。そのため、気象台の職員は大量にあるつぼみの中から咲いている花を複数探さなければいけません。

伊藤洋さん

「先輩から聞いた話ですと、4輪まで花は観測できたけれども後1輪がどうも見つけられなかった。ただ、20~30分観測していたら、その1輪も見つけられて開花を発表できたというエピソードを聞いたことあります。」

正確な観測のために、様々な工夫や決まりがある函館のサクラの開花発表。みなさんもぜひサクラのシーズンの間に、五稜郭公園の標本木をたずねてみてください。

NHK函館放送局トップページへ戻る

ページトップに戻る