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函館・道南をSNSで発信し続ける22歳

  • 2024年4月3日

今年1月、函館市の人口は、24万人を割りました。 23万人台となったのは、およそ50年前、函館市が亀田市と合併する前の1973年以来です。 中でも若い世代の人口流出が課題となっています。 そのような中、この春大学を卒業した函館ゆかりの若者たちはどんな進路を選んだのでしょうか? 今回は、函館出身でこの春札幌で社会人となった方を紹介します。

函館市に残った方の様子はこちらから

東京にいながらも道南を発信

道南各地のいろいろな場所がずらりと載っているこのアカウントは、SNSでフォロワー4000人を誇っています。
その内容は、飲食店の紹介だけでなく、函館の方言や地元の歌紹介まで多岐にわたっています。

このアカウントを運営しているのは、函館出身の3人です。
3人は高校まで函館で暮らしましたが、みな大学進学を機に函館を離れて東京へ。
この春、社会人となりました。

その一人、坂下桃妃(さかした・ももか)さん。
東京にいながらもほぼ毎日の投稿を続けていくために、長期休みは函館に帰省して1日3軒以上のお店を毎日訪ねて写真を撮りためる生活だったそうです。

坂下桃妃さん
東京に行って、「どこ出身なの?」って聞かれたときに「函館です」って答えると、「いいところだね」「観光で有名だよね」っていう話をしてくれるので、そういうふうに思ってもらえる場所なんだなというのが誇りでした。

なぜ札幌で就職?

坂下さんは、函館の企業を探し、エントリーシートを出すなど選考にも臨んでいました。
しかし実は、就職が決まったのは札幌の会社でした。

坂下桃妃さん
現実的に収入などで諦めたっていう部分があります。札幌も考えてはいたので、函館の給与と比較したところ、私が見たのだとひと月あたりで4~5万円くらいは変わってきたなっていう印象です。

坂下さんは、周囲の大人から「若いうちに都会に出た方がいい」というアドバイスを受けました。

坂下桃妃さん
もう函館を知り尽くしている部分はあるので、そこから新しい挑戦をしようとなると難しいというのを言われて。あーそうなんだ・・・という思いで、函館ではなく札幌に住むことにしました。

函館 若者減少の実態

函館で就職するのが難しいと考えているのは、坂下さんだけではありません。
市の調査によると、卒業後、函館で働きたいと思わない大学生はおよそ47%。そう思う人の倍近くにもなっています。

函館で働きたくない理由には、

①就職先の選択肢が少ない
②都会で暮らしたい
③初任給や勤務体系など,希望条件に合う会社が少ない

といったことが挙げられています。

函館市は、人口減少の主な原因のひとつに「若年層をはじめとする転出超過」を挙げています。これについては、函館市の「活性化総合戦略」の中でも20~29歳の市外への転出超過数を減らすことが目標になっています。
しかし、去年1年間の函館市の転出超過数832人のうち、20~29歳は432人と、半数以上を占めていて、なかなか難しいのが現状です。

函館を離れてもできること

一方で、SNSで道南を発信する活動は、今後も続けていく予定です。
離れた場所からでも、函館のためにできることがあると考えています。

坂下桃妃さん
自分の住んできた街だし、好きな街なので、ずっと変わらず続いていってほしいという思いがあります。そのために、自分ができることで楽しめることができればいいなって思っています。

【取材後記】報告:高橋葉
今回函館に戻らなかったのに、アカウントの運営を続けていくという決断から、道南愛がビシビシと伝わってきました。
坂下さんはよく同級生たちと「いずれは函館に戻りたい」という話をするそう。函館が嫌いになった…わけではないのに、若者が残れない・戻れない現状があることがわかりました。
若者がいったんいなくなることは仕方ないと受け入れるのであれば、「どうすれば本当に戻ってきてもらえる街になるか?」を市民一人一人が考えなければならないと強く感じました。

函館市に残った方の様子はこちらから

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