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全国から福島町に集う!道外から来た高校生たちの今

  • 2023年10月18日

高校を存続させるため、全国から入学者を募集し始めた福島商業高校。
 最初の代がこの4月に入学し、福島町で暮らし始めました。
高校生たちはどんなことを感じているのでしょうか。取材してきました。 

全国募集開始までの道のりはこちらから
全国の生徒募集中 北海道福島町の高校は存続危機を脱せるか

来年10人を下回ると、募集停止に
福島商業高校。福島町に唯一ある高校です。
しかし今、その唯一の高校が危機的状況にあります。
北海道の基準で、来年の入学者が10人を下回ると、募集停止になってしまうのです。

この局面を打開するため、福島商業高校が始めたことがあります。
それは、入学者を全国から募集することです。

今年4月、全国募集を開始してから初めての代が入学しました。
新1年生9人のうち、4人が道外からの入学。東京から3人、熊本から1人がやってきました。

その一人である塚田良(つかだ・りょう)さん。東京から来ました。
中学のときの東京の授業との差に、びっくりしたことがあるそうです。

福島商業高校1年生 塚田良さん
「東京だと40人のクラスでも先生は1人だったけど、今の授業は9人のクラスに先生が2人とかって、びっくりしたんですよね。単純になんか。この人数で2人つくかみたいな(笑)」

万全の状態で学生を迎え入れるための「寮」
4人が暮らしている学生寮は、「新潮学舎(にいじおがくしゃ)」といいます。
学生の全国募集開始に合わせ、今年2月に完成したばかり。
この寮の名前は、「津軽海峡の激しい潮の流れのように、福島町に新しいうねりを起こしてほしい」という願いを込め、福島町教育委員会教育長の小野寺則之(おのでら・のりゆき)さんが名付けました。

ということで、さっそく中におじゃましてみましょう。とっても綺麗!開放的です!こちらは「コミュニティラウンジ」といって、いわば寮のリビングのような場所です。

朝食・夕食はほぼ毎日、地元の方が来て作っています。
そのほかにも、勉強スペースがあったり、個室が完備されていたり。
福島商業高校に通う学生たちは、この寮を月額30,000円(食事代込み)で利用することができます。
全国からの学生を迎え入れるため、町が準備を進めてきたことがよくわかります。

初めての北海道で、初めての寮生活、大変なことはなんでしょうか?

東京から福島町に来た 塚田良さん
「手伝いとかじゃなくて、自分で全部やらないといけないっていう、そういうところで親任せとかできなくなって、自分でやるところですかね。」

中学生のときは家で食器洗いとお風呂洗い担当だった塚田さん。
洗濯や掃除などはすべて、自分でやらなければいけなくなりました。

家事などの自立が大変な一方で、規模感の小さな高校に通うメリットも感じているそう。

東京から福島町に来た 笠井紗羽(かさい・さわ)さん
「先生とか先輩とかとの距離も近くて、授業とかでわからないことがあったら気軽に質問できたりするし、とってもいい雰囲気だと思います。」

さらに、共同生活だからこそ、楽しいこともあります。
夕食後の時間は、トランプ・フライングディスク・・・みんなで集まって遊ぶのが習慣になっています。

家事も遊びも、何をするかは学生たちに委ねられています。放課後の時間、何をどのくらいの時間するのかも自分で決めなければいけません。
この「すべて自分で考えて行動する」ことが、今の生活に刺激を生むポイントなんだとか。

東京から福島町に来た 髙橋豊奈(たかはし・ひろな)さん
「東京じゃ絶対に体験できない環境とか、慣れていく道のりみたいなのが楽しいです。」

学生を実際に受け入れた今、小野寺教育長も積極的に学生と接しています。
この日も新潮学舎に来ていました。

福島町教育委員会教育長 小野寺則之さん
「どんどん少子高齢化や人口減少が進んでいくと、町に活力がなくなってしまうと思っているんですよね。なんとしても高校は残したいっていうのが、町民全員の悲願で。福島町に来てくれてありがとうという感じです。これからもハウスマスターや我々が優しく包んで、元気に育ってほしいな」

新潮学舎から、新たな「うねり」を起こす学生
こんな新潮学舎で暮らしている塚田さん。福島町に来てから、ある挑戦を始めました。
それは・・・

高校の体力測定でタイムを計測したところ、クラスで一番速いタイムを記録したんだそうです。おめでたい!
この出来事がきっかけとなり、公式大会で一度タイムを計ってみたいと考えるように。まずは寮で、自力で特訓してみることにしました。

夕食前の時間を利用して、寮で週三回ほど特訓しています。
特訓の成果か、タイムはぐんぐん縮んでいっているそうです。
撮影の裏側で計っていたタイムは、50mで6秒ちょっとでした。確かにとても速い・・・

練習のパートナーは、ハウスマスター(寮監)の古市太介(ふるいち・たすけ)さん。
寮に常駐して学生と接しています。
東京にいたときは大人を巻き込んで新たな挑戦をしたことはなかったという塚田さんにとって、古市さんとの特訓は新しい試みです。

塚田良さん
「一緒にやってくれてるっていうと、やっぱりこっちのやっている方も楽しいですし、それでやっぱり競い合えるので、競い合った方がお互い速くなるかなと」

今の生活を経て、さらに福島町でやってみたいことが生まれたといいます。

塚田良さん
「体育の先生で、ちょっと昔足が速くて陸上部だった人とかいるので、人数が少ない中でもやっぱり一緒に走ってみたいなっていうので、社会人の大会誘って、リレー出たいなって思っています。古市さんも一緒に4人で。」

古市太介さん
「そのときは僕もリレーのメンバーとして頑張りたいです。塚田くんが一番速いので、やるとしたら一番遅くならないように頑張ろうってモチベーションですね(笑)」

新天地で初めての共同生活を送っている学生たち。
福島町での暮らしを通して、新たな楽しみや目標を見つけ始めていることがわかりました。

【取材後記】報告:NHK函館放送局ディレクター 高橋葉
学生たちがいきいきと福島町で生活しているエネルギーを、取材している私もいただいた感覚です。
一人一人の声が届きやすい環境だからこそ、学生たち自身が楽しいと思うことを追求できるのだと思います。これからもどんどん新たな挑戦をしてほしいです!
高校生のみなさん、古市さん、取材へのご協力ありがとうございました。

(後日談)
塚田さんは、現在福島商業高校にある部員1名の陸上部に所属し、本格的に練習を重ねています。
8月26日(土)、27日(日)に北斗市で開催された大会に出場!私も応援に行きました。
初めての挑戦だったこともあり、思うように結果が出せなかったようですが、「帰ったら早速特訓だ」と意気込んでいました。
これからも応援しています!

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