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サケと共に歩む地域を伝えたい!標津町のローカルガイド

  • 2023年7月14日

標津町で漁業の現場などを案内する「ローカルガイド」として活動する女性がいます。最も伝えたいのは、この地域で1万年続くサケと共にある暮らし。そこに込められた思いとは。(中標津支局・原田未央 )

秋の漁に向けて準備が進むサケ番屋を訪ねて

標津町で行われたサケ番屋の見学ツアーです。案内するのはガイドの齋藤智美さん。標津町を拠点に漁業をメインとしたガイドツアーを行っています。この日は関東の写真家などが参加。番屋では秋の漁に向けて定置網の補修などの作業が行われていて、齋藤さんは参加者に定置網の仕組みなどを紹介しました。

被災地ボランティアを通じてひかれた“漁業”の魅力

海がない埼玉県出身の齋藤さんが漁業に惚れ込んだのは10年前。被災地ボランティアとして岩手県釜石市で3か月間、養殖カキの漁業者の手伝いに携わったことがきっかけでした。

齋藤智美さん
「漁師や浜の暮らし、山の暮らしとか全然出会ったことがなくて。でもそこには生きる上ですごく大事なもの、知ったら人生が本当に豊かになるようなものが広がっていた」

1万年サケと共にあった暮らしを伝えたい

齋藤さんは5年前、夫のふるさと標津町に移住。釜石市とはまた異なるサケやホタテといった生産現場のエネルギッシュな風景に感動したといいます。漁業の面白さを伝えようと、2021年、ガイド会社を起業しました。

齋藤さんが最も伝えたいこと。
それは1万年もの間サケと共にあったこの地域の暮らし。

根室海峡沿岸のサケにまつわる1万年に及ぶ歴史や文化は「『鮭の聖地』の物語~根室海峡一万年の道程」として、文化庁から日本遺産に認定されています。ガイドとしてこうした目に見えない価値を伝えることが、この地域での人々の営みが続いていくことにつながると考えています。

齋藤智美さん
「サケを軸にした暮らしが続いてきているというのは、本当に壮大で魅力的で。だからこそ、この先にもこの場所を次世代につなげたい」

サケ茶漬けで学ぶ歴史と文化

この日は、フランスから訪れた観光客がガイドツアーに参加しました。現代につながるサケと人の暮らしを伝えたい。それを実現するプログラムの1つがサケ茶漬け体験です。サケは標津産で、江戸時代から続く加工法の「山漬け」にしたものです。
お茶漬けに使う出汁は、根室地方で生産されたサケ節や羅臼昆布、ホタテ貝柱、しいたけの4種類です。参加者は山漬けや出汁に使われた素材の製法などの解説に耳を傾けながら、風味や旨味を堪能します。
サケ茶漬けをじっくりと味わうことでこの地域の食文化、歴史、産業への理解を深めるプログラムになっています。

フランスから訪れた観光客
「とてもおいしい。ただ座って読んだり聞いたり食べたりするだけじゃなくて、質問したり発見したり、本当にたくさんのことを学びました」

観光客と地域のつなぎ役に

目指すのは「観光客と地域のつなぎ役」。齋藤さんはサケだけではなく、ホタテやエビなどの漁業見学ツアーや加工体験を行っているほか、今後は標津町の基幹産業の一つ、酪農にちなんだプログラムも計画しているということです。

齋藤智美さん
「観光客と地域の間に入って、お互いの人生が豊かになるような、この地域を好きになってもらえるような、愛してもらえるような方々を丁寧に案内したい」

(2023年7月14日)

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