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2021年9月 旭川市長選挙 自民支援の今津氏が初当選 事実上の与野党対決構図

  • 2021年9月27日

新人どうし、事実上の与野党対決の構図となった旭川市の市長選挙は9月26日に投票が行われ、自民党が支援した元衆議院議員秘書の今津寛介氏が初めての当選を果たしました。

旭川市長選挙の開票結果です。
▼今津寛介(無所属・新)当選 8万3836票
▼笠木薫(無所属・新) 5万5103票
新人どうし、事実上の与野党対決の構図となった旭川市の市長選挙は、自民党が支援した今津氏が立憲民主党が支援した笠木氏を破り、初めての当選を果たしました。

今津氏は旭川市出身の44歳。
父親の今津寛 元衆議院議員の秘書を経て、前回・3年前の市長選挙に立候補して敗れ、今回が2度目の挑戦でした。

今回の市長選挙は、前の市長が次の衆議院選挙に立候補するため辞職したことに伴うもので、今津氏は市政の転換を掲げ自民党の全面的な支援を受けたほか、公明党の地域支部、日本維新の会、それに新党大地の推薦も得て選挙戦を展開しました。
そして、新型コロナウイルスのワクチン接種の加速化や、いじめの相談を受け付けるホットラインの設置、それに生活道路の除雪の回数を倍増させることなどを訴えました。
その結果、自民党の支持層を固めたほか、公明党の支持層や無党派層からも幅広い支持を集め、初めての当選を果たしました。
投票率は49.45%で、前回・3年前の選挙に比べて1.97ポイント高くなりました。

今津氏は「市長という重責に身の引き締まる思いだ。市政の停滞や閉塞感を打破してほしいという有権者の思いの結果だと思う。市民との対話を重ねながら、スピード感をもって、まちの発展に寄与していきたい」と述べました。
一方、笠木氏は「私の力不足でこうした結果になり、1票を投じていただいた皆さまに心からおわび申し上げたい。敗因にはいろいろあると思うが、有権者は変化を求めて投票をしたのではないかと受け止めている」と述べました。

衆院選の前哨戦制す 今津氏の勝因は

事実上の与野党対決の構図となった今回の選挙。次の衆議院選挙の前哨戦として注目を集めました。
今津氏を自民党が、笠木氏を立憲民主党がそれぞれ組織を挙げて支援。次の衆議院選挙にそれぞれの党から立候補する予定の2人も参戦し、選挙戦は与野党が激しくぶつかり合う総力戦となりました。
結果、自民党が支援した今津氏が勝利。敗れた笠木氏を支援した立憲民主党にとっては3万票近い大差を付けられての惨敗となりました。

今津氏は支援を受けた自民党の支持層を固めたほか、無党派層からも幅広く支持を集めました。NHKの出口調査で見てみますと、自民党を支持していると答えた人は全体の48%。今津氏は、この自民党支持層の80%台後半の支持を固めました。さらに公明党支持層から70%余りの支持を得たほか、無党派層からもおよそ60%の支持を集めました。
今津氏は、前回・3年前の選挙以降、街頭演説を700回以上行って知名度の向上に努めてきました。こうした活動が幅広い支持につながった要因の1つだと言えます。

一方の笠木氏は、支援を受けた立憲民主党の80%台後半、共産党支持層も80%台後半の支持を得た一方で、無党派層からの支持はおよそ40%にとどまりました。
笠木氏が前の市長の後継として立候補を表明したのはおよそ2か月前。市民に浸透を図るには足りなかったということが言えます。

今回の選挙では、今の市政を転換するのか、それとも継承するのかが争点の1つになりました。出口調査によりますと、前回・3年前の市長選挙で今津氏に投票した人の90%余りは今回も今津氏に投票したと答えました。

一方、前回、前の市長に投票した人のうち、市政の“継承”を訴えた笠木氏に投票したのは60%台半ばで、30%台半ばに上る人は市政の“転換”を訴えた今津氏に投票したと答えました。市政の刷新を求めた市民の声が今回の結果の背景にあることがうかがえます。

投票にあたり、旭川市の女子中学生が死亡し、いじめの有無が調査されている問題を考慮したか、尋ねました。
「大いに考慮した」が37%、「ある程度考慮した」が39%、「あまり考慮していない」が16%、「全く考慮していない」が9%でした。(※四捨五入の関係で和が100になりません)

「大いに考慮した」「ある程度考慮した」を合わせると76%で、このうち60%余りは今津氏に投票していました。
一方、「あまり考慮していない」「全く考慮していない」を合わせると24%で、この内訳は今津氏、笠木氏それぞれおよそ50%でした。

今津氏はこの問題を投票で「考慮した」層の一定の受け皿になっていたとも言えます。

秋の政治決戦へ 与野党の攻防に注目

次の衆議院選挙の北海道6区に自民党から立候補する予定の元道議会議員の東国幹氏は今回の市長選挙で今津氏を支援しました。
東氏は「多くの市民が停滞する市政に変化を求めた結果で、次の衆議院選挙にとって励みになる。選挙は1回1回が勝負であり、有権者に納得してもらえるような戦いをしていきたい」と述べました。
一方、北海道6区に立憲民主党から立候補する予定の前の市長の西川将人氏は、今回の市長選挙で笠木氏を支援しました。
西川氏は「自分は笠木さんに市長選挙への立候補をお願いした立場であり、この結果を申し訳なく思う。今回の選挙結果を分析した上で、次の衆議院選挙に向けてしっかりと態勢を整えたい」と述べました。

自民党道連の伊東良孝会長は札幌市で記者団に対し、「今津氏の若さや、この4年間、毎日、街頭に立ち政策を訴える真摯な姿が旭川市民の共感を得られたのだと思う。前の市長による市政が、市民から見て『変わってほしい』『新しい方向に進んでほしい』ということもあったのではないか」と述べました。
また、次の衆議院選挙について、伊東氏は「主要都市である旭川市とその前哨戦となった士別市の市長選挙でいずれも自民党が支援した候補者が勝利したことは政治に対する信頼や将来への希望を感じていただいたということだと思う。北海道6区のみならず、全道的にも自民党に対する期待感が高まってきていると考えており、その期待に応えていかなければならない」と述べました。
立憲民主党道連の梶谷大志幹事長は旭川市でNHKの取材に対し、「前の市長による市政は15年にわたり市民に評価されていたと思うが、それをしっかりと受け止めていける後継候補としてつながっていかなかった。相手候補は捲土重来を期して準備期間があった一方、こちらは準備不足だったことは否めず、党としても相手と対峙する形をつくるのが難しかった」と述べました。
また、次の衆議院選挙について、梶谷氏は「市長選挙はあくまでも無所属の候補者どうしの戦いで、市政の課題について市民がどう選択するかだが、衆議院選挙は当然、政党どうしの戦いになる。立憲民主党として政権公約を掲げ、国政や地域の課題をしっかりと把握したうえで選挙戦に臨みたい」と述べました。

次の衆議院選挙も北海道6区では与野党の激しい攻防が展開される見通しです。
戦略の練り直しを迫られることになった立憲民主党は、今度は正真正銘、政党どうしの戦いになるとして、課題把握に努め立て直しを図りたいとしています。
一方、今津氏の勝利に沸く自民党は「党への期待感は高まっている」として意を強くしています。北海道6区での戦いに向けて立憲民主党を支えてきた基盤の切り崩しを図りたい考えです。
間近に迫った次の衆議院選挙。秋の政治決戦をめぐる与野党の攻防が注目されます。
(旭川放送局 内匠彩果記者)

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