NHK札幌放送局

Do!|#08 Takamura Keiichi

札幌局広報スタッフ

2022年10月31日(月)午後6時00分 更新

なぜその番組を作ったのか?コンテンツに込めたメッセージとは?NHK北海道の職員、作り手たちの情熱や想いに迫るインタビューシリーズ「Do!」。
今回は、国際報道から身近な疑問まで幅広く取材をする篁慶一記者。なぜ室蘭局から国際問題を取り上げているのか、そして、取材活動で大事にしている想いを聞きました。

〔Photo By  粟島 暁浩〕
〔聞き手 佐々木 航(NHK札幌拠点放送局 技術)・野原 梨沙(NHK札幌拠点放送局 アナウンサー)・早川 裕貴(NHK札幌拠点放送局 映像取材)〕

篁 慶一 ‐Takamura Keiichi-
2005年入局 青森放送局、北九州放送局、沖縄放送局、報道局国際部、国際放送局を経て室蘭局メディア部記者(2020~)。国際報道から地域のニュースまで幅広く担当する。趣味は、釣り。


Ⅰ.北海道から国際報道を発信。

国際関連の仕事が多いんですね。報道局国際部と国際放送局…。どのような違いがありますか?

ー国際部は、主に国内の視聴者に向けて国際的なニュースを発信しています。一方で、国際放送局は日本に関心がある海外在住の方や、日本で暮らす外国の方に向けたニュースを主に英語で発信しています。「NHK  WORLD」とも呼ばれています。私はどちらの部署でも、主に中国や台湾の取材をしてきました。
【NHK WORLD内 篁記者の記事一覧】

室蘭局に来てからも、国際問題について取材していますよね。ウイグル問題を取り上げたWEB記事、読みました。

ー国際部・国際放送局時代に特に力を入れて取材したのが、ウイグルの人たちに対する人権問題です。日本に住む多くのウイグル自治区出身者から「家族と連絡が取れない」という訴えを聞いたことが、取材のきっかけでした。異動したからといって、この問題に関心が無くなるわけではありませんし、どこにいても追い続けたいと思っています。

参考記事:【日本とウイグル、紡いだ絆
(大規模な強制収容など、イスラム教を信仰する少数民族への深刻な人権侵害が指摘され、欧米が批判を強める中国の新疆ウイグル自治区。北海道で暮らすウイグルの人などを取材した)

室蘭局から国際問題を取り上げるのは、意外でした。

ー全国にあるNHKの中で一番小さい局で、そこから国際問題は確かに…(笑)
でも、地方にいるからといって国際問題と繋がらないことはないし、地方だからできる取材もあると思っています。実際、日本とウイグルの交流の立役者の1人は、北海道の方でしたし。


Ⅱ.遠いようで遠くない、国際報道。

英語とか中国語で取材することもありますか?

ー国内取材であれば、日本語で取材に応じてくれる方が多いのですが、海外の方に連絡することもあるので、その時は片言の英語や中国語で必死にコミュニケーションを取っています。ウイグル語は話せないので、通訳をお願いすることもあります。

海外の現地に取材に行くこともありますか?

ー沖縄や東京にいた時は、中国や台湾、フィリピンに出張して取材する機会がありました。中でも、2019年の香港の区議会議員選挙で、民主派の圧勝を目のあたりにしたことは強く印象に残っています。ただ、中国では言論や報道の自由が厳しく制限されていますし、新疆ウイグル自治区などでは外国メディアの自由な取材も難しいのが現状です。そうした状況の中では、日本で取材をして情報発信することもとても重要だと考えています。

現地の状況がわからないと、取材しにくいのでは?

ー確かに取材は難しいです。特に、ウイグルの人権問題については、日本国内や海外で得られた証言を鵜呑みにして良いのかという不安もあります。その一方で、危険を冒してでも過酷な状況を伝えたい、知ってほしいという思いにはしっかりと向き合いたいと思っています。取材を尽くすとともに、根拠となり得る映像、音声データ、公的な資料などをさまざまな方法で入手して、放送できるかどうかを慎重に判断しています。

「国際問題はどこか遠くで起こっていることではない」と考えさせられました。

ーそうですね。例えば、民主主義を求める人たちへの締め付けが強まる香港では、イギリスなどの海外に移住する人が増えています。その中には、北海道に来た方もいます。まだ取材の途中ですが、そうした方の存在を伝えることで、今、世界で何が起こっているのかを知るきっかけになるのでは、と考えています。

北海道に来てから、他にも、そういう取材はありましたか?

ー国際政治史が専門の北海道教育大学の中国人教授(当時)が、一時帰国した際にスパイ容疑で拘束された問題を取材し、家族の不安などをリポートやWEB記事で伝えました。中国当局が恣意的に拘束した可能性も指摘されていて、日中の学術交流や「学問の自由」に影響が出ていることも知ってほしいと思いました。
参考記事:【2年前、中国で消えた父】


Ⅲ.自分も生活者であり、自分は「よそ者」。ありのままの視点で。

一方で、篁さんの記事には生活者目線のものも多いように感じます。

ー私も北海道で暮らす生活者の1人ですから。意識しているのは、「よそ者」としての視点です。転勤が多いことのメリットを挙げるすれば、他地域との違いに気づきやすいことです。自分が生活していて、「あれ、変だぞ」と思ったことや、妻との何気ない会話から、取材のテーマが見つかることもありますよ(笑)
ゴミ袋の記事のように、自分の驚きをきっかけに取材を進めると、そこから地方の実情が見えてくることもあります。
参考記事:【1枚120円!北海道のごみ袋が高いんです】

身近な気づきを大切にしているのでしょうか?

ーそうですね。駆け出しの頃は、警察などの行政機関の動きを一早く伝えることの重要性をたたき込まれてきました。もちろんその点は、理解できますが、視聴者が知りたいこと、NHKが伝えるべきことはそれだけなのか、という疑問も感じてきました。どうしたら視聴者に共感してもらえるのかは常に悩んでいますが、まずは、自分の足元で起こっている小さな問題にも当事者意識を持ち続けたいと思っています。


Ⅳ.一過性の取材で終わらない。

取材するうえで大事にしていることは何ですか?

ー当たり前ですが、自分が取材したことには責任を持ちたいです。取材して、放送を出して、はい終わり、とはしたくない。一度取材した人や地域の取材はどんな形であれ継続し、伝えていくことが大切だと考えています。

「発信して終わり」、「転勤したら終わり」ではないんですね。中長期的に取材内容に携わっているんですね。

ー自信を持って「出来ている」とは言えませんが、その気持ちは大切にしています。例えば、4年間勤務した沖縄は、今年で本土復帰50年となります。沖縄は日本全土で考えるべき多くの問題を抱えていて、私が転勤した後もその状況は変わっていません。北海道で沖縄の問題を伝えるにはどうすればよいのか、今も考え続けています。

たしかに「転勤」については、いい面と悪い面、ありますよね。

ーNHKの記者は、「突然取材に来て、何年かしたら転勤して、後は知らんぷりして関係も終わり」って思われることも多いんです。私が「そうじゃないんです」と口でいくら言っても、なかなか信用してもらえないんですよね。だからこそ、取材を継続して、形にしていかなければと思っています。それが記者の責任だし、信頼関係をより深めることにつながると信じています。

最後に、「報道」の仕事についてどう思っていますか。

ー微力かもしれないけど、無力じゃないと思っています。取材してニュースで放送したり、WEB記事を書いたりしたって、もちろん社会は簡単には変わりません。でも、それを見たり読んだりした自治体職員や議員の方が「これは問題だ。何とかしたい」と言ってくれることもあります。報道を繰り返すことで、実際に制度が変わったこともありますし、取材相手から「救われた」と言われることもあります。そういう瞬間は嬉しいですし、やりがいを感じます。


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