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北のことばお兄さん あなたの疑問に答えます!⑥

  • 2023年12月28日

音更町出身の伊林です。お寄せいただいた、あなたの疑問にお答えする第6回です!
 今回は▼「美人なお姉さん」などといった“な”は、本来「美人“の”」ではないか? についてです!
 (*この記事は3分半程度で読めます) 

Q 「美人“な”お姉さん」「大人“な”表現」などといった“な”が気になる。本来“の”だと思うのですが? (札幌市北区 70代・女性)

A ご指摘のとおり本来は「美人の―」ですが、名詞には形容動詞的な使い方もあるため、時に俗な表現として「美人“な”お姉さん」になる、ということです。

「美人」は名詞で、ご存じのとおり“美しい女性”という意味です。国語辞典を見てみます。

【三省堂国語辞典】
びじん[美人]
顔かたちの美しい女性。「絶世の―・―の〔俗に『―な』〕女性・―画」(⇔不美人)

この辞典は「美人“な”女性」という表現を、俗な使い方としています。
では、俗な表現とはいえ、なぜ「美人な―」が使われるのでしょうか。国立国語研究所が同様の疑問についてウェブサイトに掲載しています。

「ことばの疑問 『格別の/格別な事情』どちらが正しいですか」(2018年11月7日)では、「格別な事情」という表現でもそこまで不自然に感じない理由として、“物事の状態や様子を表す名詞には形容動詞としての用法もあるから”とします。
そして“形容動詞は「元気な子ども」「静かな部屋」のように、「○○な」という形で後ろのことばを修飾します”と説明しています。

さらに、研究所は“「○○の」と「○○な」、どちらにするか迷うような、ゆれのあることばには、たとえば「共通の」「共通な」、「人気の」「人気な」など、二字漢語(※漢字2文字のことば)のものが思い浮かびます”とします。
また、名詞につながる「格別の」と「格別な」をデータベースで調べたところ「格別の」が134件、「格別な」が37件あった(2018年3月時点)ということです。
研究所は“実際に使われている数は「の」のほうが上回っているが、やはり使用上の「ゆれ」がある”としています。

「美人なお姉さん」は、文法的には本来の表現とはいえないものの、俗語的に使われることがあります。ただ、改まった場では注意したほうがいいかもしれませんね。

2023年も「北のことばお兄さん」をご覧いただきましてありがとうございました。
2024年は1月4日(木)から放送します。1月の新作は、網走で撮影した「『確信犯』の意味」「『潜入』!?」「させていただく」の3本です!

“ちょっと人に話したくなることばの知識”をお届けするミニ番組「北のことばお兄さん」
放送は、(月)~(木)の午前5時59分から1分です。
これを見れば、「『○○○』って、本当はこういう意味なんだよ!」と思わず人に話したくなること間違いなし!

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