函館の老舗洋食店 愛される味と地元とのつながりを守り続ける
- 2023年6月14日
道南エリアで100年以上の歴史をもつ老舗を深掘りし、道南の新たな魅力をお届けするシリーズ、「ぐるっと道南 老舗めぐり」。今回は、北海道屈指の観光地、函館市にある老舗にお邪魔しました。
市内中心部の坂の上にあるこちらが、144年の歴史を誇る老舗洋食店です。
5代目代表の若山豪さんです。
明治12年から創業しているレストランは、いつも大勢のお客さんでにぎわっています。
その多くのお目当てが、カレーライス。濃厚で奥深い味わいとやさしい口当たりが特徴です。
100年を超える歴史を紡ぐ店。カレーライスが誕生したのは、明治時代、函館の港に出入りする外国船を相手にパンの販売をしていた創業者が、外国人だけでなく日本人にも親しまれるメニューとして考えたのが始まりでした。
若山豪さん(5代目代表)
「函館の方にお料理を出さなきゃならないとなった時に、日本人の方は西洋料理そのままは食べませんので、西洋料理とごはんを掛け合わせる必要が生じたんですね。」
そんな老舗の味に欠かせないのが、受け継がれてきた秘伝のだし“ブイヨン”です。牛や鳥の骨、ハーブや野菜などを、およそ6時間。じっくり煮込んで作ります。
大正時代、東京のホテルで修行した当時の2代目代表が持ち帰った製法を守り続けています。
若山豪さん(5代目代表)
「ブイヨンをしっかり作って、それをベースにカレーを作るというのを守り続けているので、現代においては、懐かしさにつながっているのかなと思いますね。」
140年以上の長い歴史の中には危機もありました。とりわけコロナ禍では、主力の観光客が途絶え、営業停止。しかし、急場をしのいで始めたテイクアウトが、函館の人たちに支えられ、コロナを乗り切ることができたといいます。
去年地元向けに、新商品のカレーパンを開発しました。
老舗の歴史を担う5代目は、函館の町への感謝を胸に、歩み続けています。
若山豪さん(5代目代表)
「144年間、常に函館の方々、お客様が支えてくださったから、ここまでこれたという思いはすごく強くて。ご恩を返せるように、これから頑張っていかなければという思いがあります。」
開港の時代から愛される味を守る洋食店。函館に老舗あり!