ウィンタースポーツシーズン到来！スキージャンプを魅力的に中継します。 ～ちょっとだけ中継の裏側を紹介～

北海道の冬には魅力的なスポーツが盛りだくさん。NHK北海道も全国へ向けウィンタースポーツの発信に力を入れています。今シーズン最初は10月29日に生中継を予定している「NHK杯ジャンプ大会（兼　全日本スキー選手権大会）」です。ドローン撮影やハイスピードカメラを駆使した多角的な映像表現と臨場感あふれる音声表現で、「“迫力ある”そして“分かりやすい”」スキージャンプ中継をお届けします。今回はそのちょっと裏側、どのように映像や音声が創られているかを紹介します！

さまざまな視点からの映像表現

ドローン撮影

この時季の大倉山は“紅葉の帳”。美しい景色の中を選手が飛行する映像の撮影にドローンで挑戦します。ただし、そう簡単にはいきません！安全にドローンを飛行させ撮影できるか？事前に操縦訓練や撮影訓練を行い、本番に臨みます。

機体の選定、操縦者とカメラマンのコンビネーション、被写体との距離感、地上まで映像が届くのか、確認することは山ほど！　
10月中旬、ドローン撮影テストを行い、そのすべてをクリアしました。あとは本番の天候を祈るばかり…。

ハイスピード撮影

「一瞬のできごと」をスローモーションで鮮明に見せるための撮影手法をハイスピード撮影と言います。スキージャンプ中継では、選手がジャンプ台を飛び出す瞬間やテレマークを決め着地する瞬間などの撮影に、ハイスピード撮影を行っています。

時速90kmで滑り降り飛び出していく選手を、安定した画角や的確なピントでフォローしながら撮影するのは至難の業。しかし、飛び出す位置や、飛行姿勢へ移行するタイミングは、大ジャンプにつながるか否か、最も重要なポイントなのです。カメラマンとしては腕の見せ所！

クレーン撮影

選手がスタートして滑り降りるところをアプローチと言いますが、このアプローチの傾斜ってどれくらいか分かりますか？大倉山ジャンプ競技場では、最大斜度35度で設計されています。スキー場で35度の傾斜といえば超上級者コースにあたります。スタート前の選手の緊張感とともに、この傾斜を効果的に映像表現するために、小型カメラを取り付けたクレーンを使用しています。滑る…というより、落ちると表現したくなる映像ですよ。

臨場感を追い求めた音声

マイクポジショニング

大倉山ジャンプ競技場の全長は368.1ｍ、標高差133.6ｍ。そのあらゆるところにマイクを設置しており、NHK杯ジャンプ中継で使用するマイクは全部で33本！選手のスタートから着地まで、その瞬間瞬間の音を収音して音量調整しています。もちろん競技音だけでなく、お客さんの歓声やアナウンサーの実況とのバランスを取りながら、聞きやすくも迫力と臨場感MAXを目指して創り込みます！

ジャンプ台とスキー板が擦れる音や台から飛び出す瞬間の音を収音するために、アプローチにはいくつものマイクを配置していて、選手が各ポジションのマイクを通過するごとに音の上げ下げを行っています。ジャンプ台を飛び出す付近だけでも４本のマイクを使用しており、正確かつ複雑なオペレーションが求められる、まさに職人技なんです。

また、選手が着地するエリアにも複数のマイクを配置していますが、選手がどこに着地するのかをリアルタイムで判断するのは非常に難しく、確実に着地音を収音するために、音声マンが手持ちマイクを飛行してくる選手へ向けてフォローしています！特にヒルサイズ※に迫る大きなジャンプを見せてくれた選手の音を逃すわけにはいきません。ヒルサイズ付近から山方向に間隔をあけて音声マン3名態勢の布陣です。

※選手が安全に着地できる限界の地点

マイクに取り付ける風よけ（風防）は、冬の積雪期には目立たないように白色のものを使用するなど、ちょっとした工夫も！

スキージャンプは天候や風など自然条件の影響を受けます。時にはその影響を受けないように、時には風を利用して大ジャンプにつながるように、一瞬の中で選手たちには高度な技術と勇気が求められます。また、美しい飛び出し姿勢を追求し、風を切って滑空する姿は見る人々にとって非常に魅力的なスポーツです。

NHK北海道ではこの魅力的なスキージャンプを余すことなく全国へ向けて発信していきますので、どうぞご期待ください。

札幌放送局メディアセンター　八戸　聡明