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  4. 親子で目指す全国初勝利

ボクシングで15歳以下が出場する全国大会進出を決めた、北海道東部、釧路市の中学生。元ボクサーの父親の指導を受けて日々練習に励んでいます。現役時代、父親はあと一歩で全国大会出場を逃しました。親子で全国大会初勝利を目指す姿を追いました。

積極的に前へ!鈴木陽介選手

釧路市の中学2年生、鈴木陽介(すずき・ようすけ)選手。13歳。15歳以下の選手が出場するボクシング全国大会36キロ級の、北海道代表です。積極的に前へ出る、攻撃的な戦いが持ち味です。陽介選手は、7月15日の全国大会へ向けて「練習でふだんやっていることを試合に出して、自分のボクシングをしっかりして勝ちたいです」と意気込みを話してくれました。

きっかけは父

ボクシングの衣装を着て写真に写る幼少の陽介選手。父親に連れられ、2歳からボクシングジムへ通っていました。ジムに通うなかで自然とボクシングにひかれ、小学4年生からはじめました。

指導は 父・康敬さん

陽介選手を指導するのは、父親の鈴木康敬(すずき・やすたか)さん。44歳です。仕事のかたわら、週6日、ジムで練習を指導しています。

中学時代、目標を見失っていた康敬さん。人生を変えたのが、中学校2年生から始めたボクシングでした。

康敬さんは「北海道で一番なりたいっていう気持ちで目標ができて頑張れました、人間的に成長ができた」と話します。

果たせなかった夢を息子に

康敬さんは現役時代、前に出る攻撃的な戦いで、高校3年生のときに全道大会で準優勝。しかし、全国大会へはあと一歩及びませんでした。現役を引退した現在は、陽介選手をサポートしています。夢は「日本一になって欲しい」。期待をかけています。

競技人口少ない釧路地方

陽介選手が練習している北海道東部の釧路地方。ボクシング競技者が少ないことが悩みの種です。同じジムには中学生の選手はわずか2人です。体格の差も大きく身長で20㎝以上、体重も20キロ違います。階級制のボクシング、体格差があると実践形式の練習は難しくなります。

練習で陽介選手(青のシャツ)は10キロ以上重い、高校生に相手をしてもらっています。
安全を考えて、赤いシャツの高校生は、左手だけを使います。満足した練習が出来ない状況です。

実践練習・厳しい現実

全国大会を前にした7月1日、陽介選手は札幌市へ向かいました。全道の有望選手が集まる練習会に参加するためです。体格の近い選手と実践の練習ができる、貴重な機会です。

陽介選手は、一階級上の39キロ級で北海道代表の選手と、練習試合を行いました。青のシャツの陽介選手。積極的に前へ出たところ、打たれてしまいました。動揺しわれを失い、さらに前へ出ます。しかし、単調な攻めを読まれてしまい、連打を受け、なすすべはありませんでした。陽介選手は今のままでは通用しないことを感じました。試合を終えて、康敬さんは、「気持ちが焦って前にいくので冷静な判断が必要。ひとつずつ課題を直すようにしたい」と話しました。

父のアドバイス

現役時代の戦いが、息子の姿と重なる康敬さん。さらに一歩進むために、あえて自分の負け試合を見せました。がむしゃらに攻める康敬さんでしたが、相手の的確なパンチを受け、完敗でした。試合を見たあと、康敬さんは「いつどんなときがあっても試合の時は平常心、カッとあがってしまったらダメ。常に頭で考えて冷静な判断をしないと」と伝えます。陽介選手は「やっぱり相手を観察しなきゃダメ。いま前に出るべきか見極めないといけない」と納得していました。

全国大会に向けて

大会まで、1週間あまりとなったこの日、ジムに親子の姿がありました。康敬さんは身振り手振りを交え、パンチを打つとき、前後左右に動くことを指導します。攻撃を単調にしないためです。陽介選手は、動きを繰り返し、確認していました。

全国大会での勝利に向かって、父と息子の思いはひとつです。康敬さんは、「練習の成果が少しでも出たら、いい結果につながっていくと思っています」と話してくれました。陽介選手は「お父さんの分まで、全国行くからにはしっかり頑張りたいです」と意気込みを語ってくれました。

父と息子で初勝利

康敬さんは7月セコンドにつくための資格を取得しました。全国大会の試合でアドバイスするためです。7月15日に茨城県水戸市で行われた全国大会。結果は見事、目標の初勝利を果たしました。陽介選手は「目標を達成できてうれしい、もっともっと練習を頑張っていきたい」と話していました。康敬さんは「全国大会でレベルの高い選手を見たので、もっと攻撃のバリエーションをつけられるように指導していきたい」とさらに上を目指していました。

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