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釧路の踏み間違え事故から1か月 対策は

  • 2023年11月16日

釧路市の病院の駐車場で高齢ドライバーが運転する車に親子がはねられ、幼い女の子が死亡した痛ましい事故から1か月。事故の原因はブレーキとアクセルの踏み間違いだったと見られています。同じような事故を防ぐために何ができるのか、取材しました。 (釧路放送局記者 中山あすか) 

「踏み間違え」事故で4歳の女児死亡

10月17日に釧路市立病院の駐車場で、車に親子がはねられ、4歳の女の子が亡くなった事故。77歳のドライバーは、根室市から妻の運転する車で訪れていて、妻が降りて運転を交代した直後に事故が起きました。警察の調べに対し、「親子が歩いているのを見てブレーキをかけようと思ったが、誤ってアクセルを踏んでしまった」と話しています。

高齢ドライバーの「踏み間違え」事故 その後も相次ぐ

道内ではその後も、ブレーキとアクセルの踏み間違えによる事故が後を絶ちません。
10月23日には、室蘭市で70代の女性が、病院の駐車場で精算のために身を乗り出した際に間違えてアクセルを踏んでしまう事故がありました。

さらにオホーツク地方の遠軽町でも10月26日、80代の女性が運転する車がレンタルショップに突っ込む事故が起きました。

ドラレコ映像 事故の様子は

相次ぐ高齢ドライバーの事故。警察は踏み間違えの危険性を伝えるため、動画投稿サイトYouTubeの「北海道警察公式チャンネル」で、事故の様子が写ったドライブレコーダーの映像を公開しています。
映像には、高齢のドライバーが運転する車が、駐車場をゆっくりと発進したあと、わずか数秒の間に急加速する様子が。「あれ?」と動揺したドライバーの声も記録されています。車はスピードの制御ができないまま、立ち木や駐車中の車の間をすり抜けて直進し、建物の柱に衝突。間一髪で車を避けた歩行者の様子も確認できます。

安全運転や免許返納 取り組み進める自治体も

道内の自治体の中には、より安全な運転や、運転免許の返納を促すための対策に乗り出しているところもあります。
高齢ドライバーの事故を防ぐ方策の1つが、「サポートカー」の普及です。

「サポートカー」は
▽前方の車や人を検知して 自動でブレーキがかかる機能のほか、
▽ブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでも、急発進しないように制御する装置などを備えている車です。

道内では、以下のような自治体が、65歳以上の高齢者に対して「サポートカー」の購入に補助を出しています。
▽秩父別町…最大10万円を補助
▽三笠市、新得町…最大5万円を補助
また、ブレーキとアクセルの踏み間違えによる急発進を防ぐ装置は、今使っている車に「後付け」で設置することも可能です。こうした装置は、車用品店などで、数万円ほどで購入と取り付けをしてもらえます。
これに対しても、秩父別町は最大4万円、三笠市も3万円を補助しています。富良野市でも同様の装置の取り付け費用の8割、最大7万2000円を補助しているということです。

このほか、根室市では免許を返納した75歳以上の人に対して年間およそ1万3000円分のタクシー乗車券を3年間支給する取り組みを行っています。

地方の生活者からは、免許返納に不安の声も

警察は、高齢ドライバーの事故が相次いでいることを受けて、運転に不安がある場合は、運転免許の返納も検討するよう呼びかけています。免許返納は各地の警察署や運転免許試験で手続きを行うことができ、警察では、アクセスしづらい地域に返納に関する相談や申請手続きに応じる臨時窓口を設ける取り組みも行っています。
また、相談専用電話「#8080」(しゃ-ぷ・はればれ)では、ドライバーやその家族から運転にまつわる相談を受け付けています。こちらでは、免許返納の相談だけでなく運転する際のアドバイスを受けることもできます。

一方で、街の人に話を聞いてみると、免許を返納した場合への不安の声も聞かれました。

50代女性
「車がないと不便で、やっぱり生活するためにおいて必要不可欠だと思います」

70代男性
「返納しろって言うんだったら、公共交通機関をちゃんと充実させて言いなさいって」

義父が免許を返納した60代女性
「免許を返納すると家にいることが多くなるじゃないですか。行動範囲が狭くなってね」

事故を防ぐため 自分なりの対策を

地方で暮らしている人にとっては、運転をやめることが難しい場合も少なくないと、取材をしていて改めて感じました。
しかし、誰でも運転操作を間違える可能性があり、特に高齢になって操作ミスをしやすくなるのは当たり前のことです。交通事故は、被害者も加害者も深く傷つけ、いつ当事者になるか分かりません。
ドライバーの皆さんには、前述した警察の相談専用電話を活用したり、お住まいの自治体の補助を参考にしたりしながら
▼集中して運転する
▼薄暗い時間帯の運転や長距離の運転を控える

など、自分の状況に応じた対策を可能なことから取り入れてほしいと思います。

2023年11月16日

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