ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ほっとニュースweb
  4. 北海道の小学校はどうして集団登下校がないの?

北海道の小学校はどうして集団登下校がないの?

  • 2023年6月26日

今回、シラベルカに次のような投稿が届きました。
「北海道では、どうして小学校の『通学班』登校が全くないのでしょうか?」

 20年以上も前の話ですが、小学校の6年間は毎朝集団登校で通学していた私(福島県出身)としては、本当に北海道では集団登下校している学校がないのか気になり、調べてみることにしました。(札幌局カメラマン 佐藤寿康) 

道内の179市町村すべてに電話取材

実際に集団で登下校をしている小学校は北海道にあるのか?道内の通学状況を調べるため、179すべての市町村の教育委員会に電話をかけて調査してみることにしました。
すべての教育委員会から回答を得るのにかかった日数は5 日間。どの教育委員会の担当者からも丁寧に返答いただきました。

その結果、クマが出没した場合や天候悪化の場合などには多くの小学校で集団登下校を実施していることがわかりました。また、新入生が入学する4 月に限定して集団登下校を行っていたり、訓練として年に数回集団登下校を行っていたりする小学校があることがわかりました。しかし、1年を通して集団登下校を行っている小学校はほとんどありませんでした。

集団登下校が少ないのには北海道ならではの理由が…

なぜ北海道では集団登下校をする小学校が少ないのか。北海道の教育の歴史について研究している藤女子大学の大矢一人教授に話を聞きました。

藤女子大学 大矢一人教授

大矢教授
「本州ではもともとの道路に安全を守るためのガードレールを作ってそこに歩道を作るのが一般的だが、北海道は豊かな土地というか、道路幅が広くて歩道の設置率も高い。とすると、集団登下校しなくても大丈夫じゃないかということがあったのではないかと思われます。また北海道はパイオニア精神のような傾向があって、ある程度自由に好きなようにさせるという気持ちが学校なり保護者なりにあるのではないかというふうに思います。」

また北海道ではスクールバスを導入している小学校が多いことも1つの要因ではないかと教えてくれました。

大矢教授
「もともと小さい学校がすごく多いのが北海道の特色で、北海道の小学校では統廃合が非常に進んでいる。統廃合すると遠距離通学の子どもたちが増える。だからその通学のためにスクールバスというのが活用される。」

ついに集団登下校をしている小学校が!

179の市町村に電話取材を続けるなかで、1年を通して集団登下校をしている小学校にたどり着きました。道南の七飯町にある峠下小学校です。全校児童は19人。通学区域が広く交通量が多い道路もあることから、安全を確保するために集団で登下校を行っています。

学校の許可を得て、小学校から一番遠いグループの集団登校に同行させてもらいました。同行した集団登校の班は5人。待ち合わせ場所に集まったあと、1列に整列して歩き始めます。高学年の児童が列の先頭と後ろを歩き、その間に低学年の児童を挟むような形で安全に配慮して通学します。

先頭を歩く班長は6年生。時折後ろを振り向いて列が乱れていないか確認しながら、低学年の児童がついてこられるようペースを考えて歩いていました。国道の横断歩道でも左右の安全を確認して先導する班長。およそ20分かけて無事学校に到着しました。

6年生の班長

6年生の班長
「みんなが横に飛び出したときに注意するよう工夫しています。
今まで事故に遭ったことないので、それはいいと思っています。」

峠下小学校 落合太教頭

落合教頭
「特に低学年はですね、お兄さんお姉さんのよき姿を見て育っているところもありますので、下級生上学年隔たりなくコミュニケーションをとりながら教育活動を進めている良さがあると思います。」

ボランティアの見守りで安全確保する小学校も

集団での登下校はしていなくても、安全を確保するための取り組みを行っている小学校もあります。このうち、札幌市の多くの小学校では、児童の安全確保のために地域の人たちが
ボランティアで見守り活動をする「スクールガード」という取り組みが行われています。
登下校の際に、交差点に立って見守りを行ったり、大雪の日には歩道の除雪を行ったりしています。

スクールガードとして活動するボランティア

スクールガード
「雪がふぶいているときとかしんどいなと思いますけど、子どもたちもそういうときは大変危険な状況で学校に通うので、より頑張って立って安全を確保してあげたいなと思います」

取材後記

今回の取材を通して、道内では集団登下校を全くしていないわけではないことがわかりました。ただ、数年前までは集団登下校をしていたものの、新型コロナの感染拡大で密になることを心配して集団登下校を見直した小学校もあり、統廃合以外でも集団登下校をしている学校が減っていることを実感しました。集団登下校を実施しているにせよしていないにせよ、通学の安全を確保するには学校・地域・行政などが連携して取り組みを続けていくこと、車や自転車を運転する人は通学路などでより注意して運転することが大切だと感じました。

投稿はこちらから

シラベルカトップページ

ページトップに戻る