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真狩高校発「ラミッカ」に行ってみっか!

  • 2022年12月20日

本格的な冬がやってきましたね。「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当リポーター、坂井里紗です。札幌も一面雪景色!冬靴、手袋、マフラーが欠かせなくなりました。全身もこもこの「塊」になって歩いています。家では、はんてんに毛布を羽織ってストーブをつけずに大我慢大会をしていたのですが、先日さすがにこの寒さに負けて、今やガンガン暖房を使っています…。しかし、「寒い、寒い」と文句はいいつつ、北海道の冬には楽しみもありますよね!イルミネーションにウインタースポーツにワカサギ釣り…なんといっても、もうすぐクリスマス♪ことしはサンタさんに何をお願いしようかな…。26歳だけどまだ来てくれるかな…。おいしいお菓子なんていいよな…。お菓子ほしいな…。

というわけで、今回はクリスマスを前に行われるお菓子の販売会の話題です!準備の真っ最中に伺いました!舞台は、人口約2000人の後志の真狩村です。羊蹄山のふもとに位置していて、農業が盛んな村です。この日の天気は、雨。残念ながら羊蹄山は見られませんでした。
でもでも、とっても素敵な方々に出会えましたよ!伺ったのは村唯一の高校真狩高校です。全校生徒66人のこの高校には、農業や食について学ぶ「農芸科学科」があるのが特色です。

春から秋にかけては、授業の一環として学校の畑で野菜を栽培しています。

お邪魔したときは、3年生がちょうど英語の授業を受けていました。ディスカッションでの時間には、高校生らしく和気あいあいとした雰囲気でした。

♪キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。次の授業は製菓室。ということで伺うと…みなさんパティシエ姿に!

びしっと決まっています。話を伺うと…。

「私たちは、野菜製菓コースです。」

北海道唯一の「野菜製菓コース」。お菓子作りを学びます。使うのは、主に自分たちで育てた野菜や地元でとれた野菜です。さらに自分たちが作ったお菓子の販売会もしています。それが「ラ・ミッカ」。月に1回程度、道の駅や公民館で開いています。彼らが作ったお菓子は地元の人たちに大人気なんだそうです!

今回の「ラ・ミッカ」は今月23日。クリスマス直前です。そして、新型コロナの影響で思うように活動ができなかった3年生にとって最後の「ラ・ミッカ」になります。生徒たちも特別な思いで臨みます。

佐藤ひなたさん
「1年生の入ってすぐ2か月くらい臨時休校になってしまって、販売会ができるっていうところも真狩高校の魅力だと思って楽しみに入学していたので、コロナでできなくなった時にショックを受けました。その後、状況も落ち着いてきて販売会が再開できるときには、やっぱりできてよかったなっていう、うれしい気持ちになりました。」

楢山奏明くん
「将来は、ケーキ屋さんを経営して、お客様に商品を届けられたらなと思っています。販売会を通して、自分で作った商品をお客様に届けたいっていう気持ちがあったので、コロナ禍の影響はあったのですが、ラ・ミッカが再開して販売できたときはすごくうれしかったです。最後の販売会になるので、今まで以上に気合を入れて丁寧に作りたいなと思っています。」

葛西瑛斗くん
「自分たちの作っているものをPRできる機会であり、授業で学んでいることを生かせる大事な販売会なのでそこができなかったのはやっぱり悔しかったですね。ラ・ミッカができるってなったときは、『よっしゃー!』っていう気持ちと、やっと自分たちのやっていることがいろんな多くの人にPRできることがとても喜ばしかったですね。」

この日は、お菓子作りが行われました。ホールケーキの練習も。甘いのが苦手な人でも食べられるよう、甘さは控えめです。

吉田瑞希さん
「側面をきれいにするときに、力入れてしまうと削れてしまうので、力加減が難しいなって思います。上にクリームを塗るときにちょっと多めに塗ってから、下に垂らして、側面をきれいにしていくっていう感じで作っています。」

また、クリームをしずく型にするデザインもコツがいるんだそうです。

「搾るときに少し浮かせて優しく絞ります。」

もちろん、作っているのはクリスマスケーキだけじゃありません。こちらのチームは、丁寧に作ったクリームを生地に塗っていきます。

そして生地を巻いていって…

出来上がったのは、「きなこかおる ずんだろーる」です。地元の小学生と一緒に育てた大豆を使っています。道内のお菓子を競うコンクールでは最優秀賞を受賞しました。私もいただきましたが、きなこがかかっていて、ほんのり、ずんだの塩味がアクセントになっていて、「和風ロールケーキ」という感じでとってもおいしかったです!

さらにこちらは、早川凪さんが、職人技を発揮します。地元産小麦で作ったパンに慎重に焼き印をつけていくと…。

その名も「バッカンロール」。麦わらの麦稈(ばっかん)ロールをイメージして作られています。中はふわっとやわらかく、小麦のさわやかさが香るおいしいパンです♪

ほかにも作っているのは、酸味がある野菜「ルバーブ」とイチゴジャムを混ぜたものをチョコレートでコーティングするお菓子です。ルバーブは生徒たちが育てました。どうして野菜とチョコレートを掛け合わせようと思ったのか聞いてみました。

加藤田彩音さん
「真狩村の地元食材を使いたいっていう思いから、チョコに入れればみんなおいしく食べてくれるんじゃないかと思い、作り始めました。自分たちで考えてガナッシュにして試行錯誤を繰り返しながら作り上げました」

となりでチョコレートを混ぜまくっている生徒たちを発見しました。温度を調整しながらチョコレートを混ぜていく繊細な作業なんだそうです。「コツを教えられるほどうまくないですよー!(笑)」と謙遜しながらも明るく答えてくれたのは小出妃菜さんです。

小出妃菜さん
「少しでも温度が違うと型から外れなかったり、手で持っただけでとけてしまったり。この作業が一番大事な作業です。すごく練習しました。2年生になって1年以上やっているんですけど、ずっと失敗していました。練習していく中でこのくらいで固まるっていう目安と感覚でやっていくっていう感じですね。でも楽しいです。小さいころからチョコレートが好きだったので、それを自分で作れるっていうのがやっぱりうれしいし、楽しいです。」

このチョコレート、工夫もたくさんしています。色味をきれいに見せるため、ルバーブとイチゴのジャムに赤い色のフランボワーズを混ぜたり。

細かく刻んだルバーブを入れて味を強調したり、食感を楽しめるようにしたり。レシピを少しずつ変えながら試行錯誤を重ねて作ったといいます。

そして、いよいよチョコレートの型にルバーブとイチゴのジャムを流しこんでいきます。この作業も大切な工程なんです。生徒どうし、声を掛け合いながら協力して作っていきます。

加藤田彩音さん
「多すぎるとルバーブとイチゴジャムがあふれてしまいますし、逆に少なすぎると、チョコレートの蓋が厚くなってしまって、食感が硬くなってしまうので、ちょうどいい量を入れるのを心がけています。」

思いのこもったお菓子。完成したのが、こちら。ルバーブのほかにも、カボチャやにんじん、サツマイモ、ハスカップ、ゆり根をチョコレートでコーティングしています。どれも自分たちで作った野菜や地元の野菜です。見た目もそれぞれの野菜をイメージしてデザインしています。まさに、見た目も味も食感も楽しめるチョコレートです。

いただくと…。とってもおいしい!!!!
噛んだ瞬間、ルバーブといちごの酸味が、ふわーっと中からはじけて、その酸味とチョコレートのハーモニーが最高です!チョコレートのパリッとした食感とルバーブのシャリッとした食感も楽しめました。チョコレートと野菜ってこんなに合うんですね…!しあわせ…。

生徒のみなさんがお菓子にかける情熱を強く感じました。

佐藤ひなたさん
「最後の販売会がクリスマスなので、みんなの幸せな場面に寄り添うことができるということで実習を通してしっかり作っていきたいと思っています。また、販売する上でも、笑顔を絶やさずしっかりと自分たちの作ったお菓子を売り出せるようにしたいと思っています。食べて、しあわせな気持ちになってほしいなと思います。」

葛西瑛斗くん
「3年間の集大成で、みんなで作り上げた大事なケーキ屋スイーツなので、お客様にちゃんと届けれるようにしていきたいです。」

真狩高校のみなさんが思いを込めて作っているお菓子については、19日(月)午後6時40分からの「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」でご紹介しました。1週間ほど「NHK北海道NEWS WEB」でもご覧いただけます!

取材後記

取材にご協力いただいたのは、農業を担当する進木澄人先生。実は、真狩高校のラ・ミッカは、2019年「わが村は美しく」で大賞を受賞しています。それからずっと「ラ・ミッカの取材がしたい!」と進木先生と話を進めていました。進木先生も「生徒も喜ぶと思います!」と承諾してくださっていたのですが、長く続いたコロナ禍で幾度となく断念していました。今回、念願かなってようやく取材に伺うことができ、それも3年生にとって最後の「ラ・ミッカ」の活動中にお邪魔させていただきました。先生方、生徒のみなさん、あたたかく迎えてくださってありがとうございました。「もっとこうしようよ!」「いいんじゃない!」と話し合いながら、楽しく和気あいあいとしながらもお菓子に向かって真剣に向き合う姿に心を打たれました。お菓子が好きという気持ちがたくさん伝わってきました。「ラ・ミッカ」は今月23日(金)に真狩村の公民館で行われます。クリスマスケーキの販売受付はすでに終わってしまいましたが、紹介した「ずんだろーる」や「バッカンロール」、「野菜のチョコレート」などは販売する予定です。愛情たっぷりのお菓子。食べた人はきっとしあわせなクリスマスになることと思います。

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2022年12月20日

前回は余市町で初めて開かれた「余市スタイルまつり」について取材しました。余市のワインと町特産の食材を使った料理とのマリアージュを楽しむイベントです♪余市町が大好きになる、とってもおいしいイベントでした!!
今夜は地元ワインで乾杯しない?

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