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Do!|#21 Noheji Shota

  • 2022年12月23日

第21回に登場するのは、札幌放送局で主にイベントを担当する野邊地職員。今年の10月には、BSプレミアムの番組「魔改造の夜」の全国初のイベントを札幌局にて企画し、多くのお客様に足を運んでいただきました。運営の裏話や、これまで担当した北海道や東京でのイベント、事業への思いについて聞きました。

[Photo By 出羽 遼介]
[聞き手 新田 光将]

※感染対策を十分とったうえで撮影しています

野邊地 章太 -Noheji Shota-  
2006年入局。
北海道・北斗市出身。釧路局、札幌局、北見局、NHKプロモーションの出向を経て、2020年より2度目の札幌局に勤務。
趣味は漫画、アニメ、ゲーム、料理、アウトドア、ドライブと幅広く。特技は料理(肉を焼くこと、煮豆、刺身)。

<目次>
1.番組のコンセプトをカタチに
2.大切なのは、お客さんの好奇心をくすぐる目線
3.自分が楽しくなければ響かない

「魔改造の夜」~魔改造倶楽部“モンスターマシーン”大集合~ 

2022年10月15日~11月6日に、BSの人気番組「魔改造の夜」で超一流のエンジニアが魔改造したマシンの実機と番組映像を展示。会期中には関連イベントとしてNoMaps2022のオンラインカンファレンスのほか、魔改造されたマシンを実際に動かしてみるワークショップミニイベント「挑戦!ペンギンちゃん大縄跳び!」も実施。

「魔改造の夜」とは…日本が誇る超一流のエンジニアが、謎の組織・魔改造倶楽部が主宰する夜会で、おきてやぶりの超改造で生まれた怪物マシンを戦わせる技術開発エンタメ番組。

1.番組のコンセプトをカタチに

――魔改造の夜のイベントを企画されたんですよね。

「魔改造の夜」という番組は僕自身もともと好きで、SNSでもよく話題になる番組の1つでした。
(放送内容について)やばいですよね。これをNHKで放送しているんだっていう感想がTwitterでも溢れていたと思いますし、番組を見ると、期間も予算も限られた中でどうやってすごいものを作ろうっていう技術の結晶みたいなところがあるじゃないですか。

――私も番組見ました。イベント開催のきっかけは何だったんですか。

NoMaps(※)の時期に合わせて何かやろうと打ち合わせをしていた時に、NoMaps事務局の方も「魔改造の夜」がすごい好きだという話になって。最初は番組に関するトークイベントもいいなと思いましたが、やっぱり実物を見たいと思っていたので、展示にできたらいいなと。番組プロデューサーにイベント展開の相談してみたら、ちょうど番組もそういう機会が欲しいと思っていたということだったので、話が進んで展示させてもらうことになりました。

※NoMapsとは…北海道を舞台に、新しい価値を生み出す大きな枠組み。クリエイティブな発想や技術によって、次の社会・未来を創ろうとする人たちのための交流の場。

――ではNoMaps実行委員会事務局の方とのお話の中で生まれたイベントだったんですね。

タイミングが合ったというのもありますし、番組プロデューサーが番組に参加しているエンジニアの人たちも喜ぶと言ってくれたのが大きいかなと思います。借用のやり取りや調整もとてもスムーズで、逆にこういうものもあるので展示しませんか?などアイデアもいただきました。

――なるほど、いろんな方と調整されていたんですね。

そうですね。そこは過去に担当した展覧会での経験が役に立ちました。
以前大河ドラマの展覧会をやったのですが、その時は博物館の人などと期間や借用条件、展示や輸送の注意点など50~60項目におよぶやり取りをしたんです。
今回の「魔改造の夜」展はいろいろな人に「ありがとう」と言ってもらえましたが、自分なりにも丁寧に対応できたかなと思います。エンジニアの方にとっては自分の子ども同然のモンスターマシンだったりするし、自分たちのチームが育てて作り上げたものだから、ぞんざいに扱われて壊れちゃったらっていう心配もある中でお貸しいただけたので。
安全かつ綺麗に展示できたと思いますし、それが「魔改造の夜」のコンセプトに沿ったものにできたのも満足しています。
番組チームとも何度も打ち合わせをして、番組のストーリーやコンセプトに沿った展示演出にしようという話になりました。番組「魔改造の夜」自体も、魔改造倶楽部っていう謎の組織が、夜な夜な秘密の倉庫で開いている夜会というストーリーで展開してますし。

――オープニングで毎回そのくだりが紹介されていますよね。

ストーリー上は、「魔改造の夜」の主宰がいて、魔改造されたモンスターマシンたちはその人が収集しているコレクションなんです。だから、本当に美術館の一室にあるような雰囲気を大事にしようと番組の方も思っていたし、僕も絶対にその方がいいと思っていました。
普通に研究室に置いてあるようにあったら、あまり面白くないと思ったので。養生テープで継ぎはぎだらけのマシンなんだけど、なんだかとても豪華なケースに入ってるみたいな。

――だから、高級感のある展示にされていたんですね。

文化財っぽくしたいなと思って。そうすることで「おおっ!」てなるじゃないですか。単なるフリーマーケットに出ているような感じになってしまったら、すごい損だし、もったいないと思ったので。
そこは最初から番組側と気持ちが一致していたので、チラシや会場の壁面デザインなどとかすべて、札幌のデザイン会社ではなく番組のコンセプトを知っている番組のデザイナーに頼みました。

――なるほど。

それがうまくお客さんにも伝わってTwitterでも「すごかった」って言ってくれる方がたくさんいらっしゃったので、嬉しかったですね。

2.大切なのは、お客さんの好奇心をくすぐる目線

――続いて学生時代のお話やこれまで担当した業務について伺います。学生時代はどんな勉強をしていましたか。

大学院では考古学の研究をしていました。考古学って、ただ掘るだけではなくて、発掘したものを測定して報告書にまとめたりするんですが、父親が発掘調査員をやっていたので、そのための色々な道具が家にあったんです。私は出身が函館の隣町の北斗市なのですが、家の近くの畑に縄文土器が落ちていて、そういった環境や趣味としても好きだったっていうのもあり、考古学を専攻していました。

――考古学とNHK。なかなか結び付かないイメージですが、なぜNHKを選んだのでしょうか。

大学や博物館の就職も目指しましたが、ネガティブな言い方をすると、そこまで一つのことを一生突き詰めていける自信がなかったっていうのはあります。私自身、興味が移ろいやすいというか、面白いことだったら、何でも挑戦してみたいという性格がありました。自分が面白いと思っているものを、みんなにも面白いでしょって紹介できる仕事につければいいなと。それが、就活を始めた時に最初に浮かびました。
また、NHKでは展覧会などのイベントを開催していると知っていて、そういうことに興味がありましたし、考古学の研究もそういう場所で活かせるのではないかと思いました。

――入局後、主に事業の仕事に携わられていますが、事業とはどんな仕事をするのでしょうか。

事業では、主に番組や経営のPRをするためのイベントを企画し実行します。
ほかにはみなさんおなじみの「のど自慢」などの公開番組とか。もちろんステージ上の番組内容のところは制作担当者が作るんですが、出場者、観覧者を募集したり、当日会場で運営や受付をするのも事業の仕事ですね。

――イベントを通してNHKの番組や公共的価値を伝えるのが事業の仕事なんですね。入局後は具体的にどんな仕事をされていたのですか。

僕は初任地、釧路局だったんですけど、職員数が少ないので事業も編成もやっていました。当時は、地上デジタル放送の普及のために「地デジキングダム」っていう謎解きイベントを企画したり、その後の札幌局では、東京から巡回された「恐竜展」に関連した街なかの化石を探すスタンプラリーイベントを札幌市内で行いました。

――これまでの仕事で一番印象に残っているイベントはありますか。

東京のNHKプロモーションにいた頃に担当したもので、上野の国立科学博物館で開催された「深海展」です。
JAMSTECってご存じですか?海洋研究開発機構という国立機関で、深海展はこの団体組織と国立科学博物館、NHK、読売新聞などが一緒に主催し、作品の選定を専門の先生方と一緒に考えていました。
深海展は1回目が2013年頃にあって、担当したのは第2弾だったんですよね。第1弾はダイオウイカが大ブームだったのですが、今回は目玉を何にするか考えていたら、JAMSTECがやり取りしている深海漁師の方人から、6メートルぐらいのサメが上がったから、研究用の標本にしないかという話があって。「オンデンザメ」って言うサメで。
とりあえず見に行こうと、すごく大きな冷凍庫を見に行ったら、そのサメがゴロンといて(笑)早くしないとどんどん劣化するからって、すぐに会議をして展示することが決まりました。そこでは、大きなホルマリン漬けにする工程も関わらせてもらいました(笑)

――イベント開催の経緯は?

深海をテーマにしたNHKスペシャルの大型企画番組と連動しての開催でした。番組の内容がまだ決まっていない段階から、イベントをやることは決まっていたので、NHKスペシャルのディレクターともすり合わせをして展示内容を決めました。第1弾は、発光生物にするという話になったので、じゃあ光る深海生物を集めるか!って。でも発光生物もホルマリン漬けにしているから光らない、さあどうするって(笑)
しかも、深海生物って小さい魚が多いので、どうやって展示しようと…。

――え、どうしたんですか?

展示物と一緒に生きている姿を映像で見せました。「デメニギス」って知っていますか?
頭が透明で中身が見える深海魚、謎の魚がいるんですけど。
(写真を見せながら)大きい魚に見えるしょ。でもとっても小さくて。映像だと大きさが分からないから、そこはもう正直に逆手にとって展示しました。SNSでは、「本当はデメニギスちっさ!(笑)」という声もありました。

――そうなんですね(笑)

そういう話って聞くと、面白いですよね?でも研究している人にとっては、それが当たり前のことだから。
「それ面白いっすね」って、我々が言わないと、「そうなんだ」って気づかないので、我々みたいな人たちが必要なのかなって。展覧会をやっている時に思いました。

――そういうことを伝えるのが、事業の醍醐味なんですね。

そうですね。ほかにも専門の先生たちが面白いっていうところも確かに面白いんだけど、時には専門的すぎて何が面白いのか伝わりにくいっていうことも実際あったりして。「だったら先生、こっちの方が子供たちも面白いかもしれないですよ」という感じで、イベントではディレクターだけじゃなく、専門家の方ともすり合わせをして、作っていました。

――番組を企画制作するディレクターと、イベントを企画運営する事業とで、違いを感じる部分はありますか。

似ているかもしれないですけど、番組制作の方がより専門的な目線が必要なのかなと自分は思っています。やっぱり楽しむだけじゃなくて、「より深く知りたい」、「新発見が知りたい」と思ってテレビを見ている人も多いと思うから、 より事実を深堀する力が必要なのかなと。ディレクターは僕からしたら憧れですね。
一方でイベントは、専門的すぎると刺さらない人たちが出てくるとも思っているので、僕みたいに「面白くないっすか?」ぐらいの(軽い)目線が あった方が、楽しかったりすることもあるのかなと。もちろん深く刺さるイベントも当然あるし、それが必要なテーマもありますけどね。

――確かにそういう一般の人に寄せた目線も、すごく大事なのかもしれないですね。

そうそう、事業の仕事はお客さんを置いてけぼりにしない、繋ぎ役みたいなイメージなのかもしれないなと、最近特に思うことが多いです。

3.自分が楽しくなければ響かない

――改めて、事業の特徴として感じる部分はありますか。

一貫しているのは、人(お客様)と会うってことだと思います。
番組を放送するのとは、また少し違った目線というか…番組は家でテレビをつければ見られると思いますが、イベントは少なからず着替えて外に出て、交通費を払って、その会場に来てもらう必要があります。だから、それを踏まえて来たいと思ってもらえるくらいの企画にしないといけないのかなと思っています。
お客さんにより能動的に動いてもらわなきゃいけない。参加した人の一生に残るものにできればよいなと思っています。

――イベントを作る上で、心がけていることはありますか?

やっぱり自分が楽しくないと、お客さんも楽しくないかなと思うので、無理して自分の引き出しにあまりない分野をイベントにしようとしても、難しいかな…と。
専門家になる必要はないけど、自分がイベントにしようと思っているもののこれがよかったとか、番組のここが面白かったっていうのを、お客さんに「ここよかったよね」っていう内容にしてイベントにするのが、一番心がけていることですかね。

――自分が面白いと思うことを大切にされているんですね。

そうじゃないと、結局何も分からずじまいで終わっちゃうような気がして。結果的に多くの人が来たとき、その逆で全然集まらなかったときなど、その理由もわからなくなっちゃうかなって。自分が面白いと思ってお客さんが来なかったら、それは世間が面白いと思ってることと自分の感覚がずれているんだなって思えるし、自分が面白いと思っていることで、たくさん人が来たら、「あ、やっぱりみんなも面白いんだ」って気づけます。

――なるほど。確かにそうですね

楽しい、それはエンジョイだけじゃなくて知的好奇心って意味でもあると思いますが、トークイベントとか、講演会みたいなのも、絶対自分も好奇心を持てる内容でやろうと思っています。新しいことをやるんだったら、まず自分でちょっと触れてみるっていうことも心がけています。

――この仕事をしていて、1番 嬉しいと思う瞬間はいつですか。

お客さんから直接「面白かった」って言ってもらえるっていうのが 1つの醍醐味なのかなと思っています。どんな仕事でも、そうやってリアクションをもらう機会って意外と少ない気がしますので、貴重ですよね。

――事業の仕事を通して、身についたスキルや成長はありますか。

元々あったものだけど、「楽しさの仕組みを知りたくなった」というのはありますよね。
はやっているものとかは、なんではやってるのかなって。
ゲームが多いですが、「なんで同じことの繰り返しなのにハマって続けてしまうんだろう、シーズン続けて自分がやっているゲームは何が面白いのかな」とかね。どういう仕掛けを入れてきてるのかなとか考えちゃうことが、以前よりも多くなったかなと思います。昔は楽しいなで終わっていたけど、何が楽しいかをすごく考えるようになりました。

――それは、どうしてですか。

仕事に活かせるから、かなと。どんな仕事も同じだと思いますが、好奇心を持って何かを見るのは、絶対マイナスになることはないと思うので、何にでも活きるのではと思います。

――最後にゲームのお話が出ましたが、野邊地さんの趣味や好きなことは?

いやぁ、僕は本当にミーハーなんですよ(笑)。その時その時でハマるものが全然違って。
面白いと思ったものは手を出しちゃう方で、漫画やアニメ、ゲームに触れる機会はたくさんあるから、友達とかと話して、面白そうだなと思ったことを突き詰めていっていますね。
最近だとコロナ禍で外食の機会が減ったので、お酒のつまみとか自分で作りたくなっちゃって。レシピ本を買って鱒(マス)の味噌漬けや煮豆とか作っています(笑)。当然レシピ見ながら作るから同じ分量で砂糖とか塩とか使うんだけど、煮豆は毎回違う味になって…めっちゃ難しい。毎回作りすぎて、もう家族誰も食べてくれなくなりました(笑)

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