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どうしたら若い世代が投票にいく?若者団体に聞いてみた!【投票率考えてみた。】

  • 2021年11月1日

NHK札幌放送局の若手職員と北海学園大学の学生で立ち上げた、「投票率考えてみた。」。
今回は、「NO YOUTH NO JAPAN」という若者団体で、Instagramを担当している石井佑果さん(画面中央・上)と事務局の足立あゆみさん(画面中央・下)にオンラインインタビューでお話を伺いました!特に発信に力を入れているInstagramについて、ピクトグラムを用いた工夫あふれる投稿や、気をつけていることをお聞きすることができました。 (書き手:北海学園大学法学部・桑原健人/齋藤もなみ) 

Instagramのフォロワーは8万人超!わかりやすくポップに伝える

「NO YOUTH NO JAPAN」は、大学生を中心とした団体で、2019年7月に行われた参議院選挙を期に発足しました。若い世代の投票率向上と、政治参加する若い世代を増やそうと活動していて、Instagramに力を入れていることが特徴です。2021年10月末現在のフォロワー数はおよそ8万人。その活動の輪は着実に広がっています。選挙がない期間も、わかりやすくポップな画像とともに、様々な社会課題の現状を伝えています。

(NO YOUTH NO JAPANのInstagramより)

 

社会問題への関心が、政治参加への一歩に

「NO YOUTH NO JAPAN」は当初から若者の投票率向上を目標にして活動しています。しかし、発足からの1年間、政治について発信していく中で、政治のことを身近に感じている人が少ないと感じたそうです。そこでまずは様々な社会問題について発信をおこない、若者に興味関心をもってもらい、そこから政治にまで興味が広がってほしい、という思いで活動を続けています。若者が何か一つ興味のある話題に触れることで、「『例えば環境問題に関心を持つことで、環境問題を重視する政党や候補者に投票してみよう』というような気持ちになってほしい」とのことです。団体のメンバーは、大学生を中心に約70名。中には社会人や高校生、海外在住の日本人も含まれています。活動は全てオンラインでしていて、普段はInstagramの運営以外にも4つのチームに分かれて活動しています。

Instagramを大切にするワケ

なぜTwitterなどのSNSではなく、Instagramに注力しているのでしょうか。最大の理由は、団体が発足した際、Instagramで政治の話題の発信に注力している団体がなく、可能性を感じたからということでした。若者が多く利用しているInstagramで、楽しくポップに、そしてかわいくてシェアしたくなるような投稿を心がけていると担当の石井さんは話します。また、選挙期間以外には、季節の話題に合わせた社会課題を発信しています。

例えば、7月は夏休みに入る直前のため性教育に関する投稿を、2月にはバレンタインから関連付けて食品ロスの問題を扱いました。

(いずれも画像提供:一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN)

そのほか、投稿時に気を付けていることは、デザインの色使いです。色調がわかりやすいだけでなく、オレンジとブルーの色は、どの政党もメインカラーとして使っていないということで、団体の中立性を表現しているといいます。特定の政治思想に基づいた主張ではなく、若い世代の政治への興味のきっかけづくりを大切にしているため、中立性を守ることや現状をわかりやすく伝えることに注力しているということです。

石井さんも、もともと政治への興味が強かったわけではありませんでした。1年生の時は、貧困問題を解決したいと思っていたそうですが、ある日、貧困は一方向だけでは解決できないと実感したことから団体に入ったそうです。そこから、投票の重要性を学んできました。

石井さんは、「昔の私自身もそうだったように、政治に興味がない人は、そもそも選挙で何を決めるのかもわからない。例えば選挙の仕組みについて一から丁寧に解説することにも力をいれている」と話していました。

衆院選に向けて-。『#だから選挙いかなきゃ』

今回の衆議院選挙に向けては「#だから選挙いかなきゃ」というキャッチフレーズを使った様々なキャンペーンを行っています。例えば、Instagramでは新しいアカウントを開設し、事前に募集したU30世代の皆が投票に行く理由を、1枚絵として投稿し紹介しています。このキャンペーンでは、「投票に行こう!」とただ呼びかけるのではなく、なぜ行くのか若い世代1人1人の意思表示を大事にしているといいます。

そのほかの取り組みとして、投票や政治の話をもっとカジュアルにしてほしいという思いからTシャツプロジェクトも行っています。Tシャツの柄は、「平等」、「環境」、「平和」、「生活」の4種類をテーマとし、なぜ自分は投票するのか、自分が大事にしたいものを4つのテーマから1つ選んでもらっています。

環境に配慮し、長く着てもらえるよう「2021」といった時期を限定するような言葉は入れないよう工夫したほか、イラストの人物達の髪や肌の色など多様性にも配慮しました。Tシャツを着ることで、「これなんなの?」と友達に聞かれ、そこから気軽に政治や選挙の話をしてもらえたらとの思いが込められています。実際のインタビューでは、石井さんは「平等」、足立さんは「平和」のTシャツを着ていました。

「どんな理由でも投票に行っていい」と伝えたい

「普段抱いている何気ないもやもやした思いだけでも、投票に行っていいんだと気づいている人が少ないのではないか」と石井さんは指摘します。その上で、より多くの若者が「どんな理由でも投票に行っていいのだ」と気づくきっかけを作っていきたいということです。政治の深掘りは、他のメディアが担っている部分もあるので、自分たちは若い世代のきっかけ作りを重点的に頑張りたいということでした。環境問題やジェンダーなど何かしら関心がある分野をきっかけに政治に興味を持ってもらい、投票に行ってほしい-。活動の積み重ねで「私たちが生きたい社会」をかたち作るために、周りの人々を巻き込みながら、「社会問題を解決するのが当たり前」、「投票に行くのが当たり前」となるような社会を目指して活動をしていきたいということでした。

学生の目

「NO YOUTH NO JAPAN」は、選挙に行くきっかけ作りをとても大切にしていると感じました。普段政治や選挙に関心がない人たちにどうしたら興味を持ってもらえるか、インスタグラムや様々なプロジェクトを駆使してきっかけを与えているのが印象的でした。特にインスタグラムの画像は1枚の画像に伝えたい情報を凝縮して盛り込んでおり、政治のことを全く知らない人でもとても見やすく、私自身も参考になりました。また、画像での発信の際にはあくまでも論点解説にとどめ、特定の主義主張に偏らないことで、幅広い人に発信を見てもらい、見た人自身が自分で考え、判断してほしいという意図がよく伝わってきました。(桑原)
Instagramで、若い世代の政治について、ピクトグラムを用いて解説した投稿がわかりやすく、政治家の似顔絵も可愛く面白い投稿だなあと感じていた「NO YOUTH NO JAPAN」。
そのインスタの中の人に話を伺い、特に中立性という点には、想像以上に気を配られていてデザインや色みにもその配慮が見えたことが興味深かったです。(齋藤)

2021年11月1日

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