ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. デジタル戦略チーム
  4. Do!|#04 Kadowaki Riku

Do!|#04 Kadowaki Riku

  • 2023年2月27日

なぜその番組を作ったのか?コンテンツに込めたメッセージとは?NHK北海道の職員、作り手たちの情熱や想いに迫るインタビューシリーズ「Do!」 第4回では、3roomsなどドラマを手掛ける門脇ディレクターに話を聞きました。

〔Photo By 出羽 遼介〕
〔聞き手  齋藤千夏(NHK札幌局広報)〕
 ※感染対策を十分にとったうえで撮影しています

―3つの部屋で同時進行で繰り広げられるドラマ「3rooms」をつくろうと思ったきっかけは何ですか。

札幌局では、2020年度も3ROOMSを制作していて、斬新なつくりで、話題になったんですよね。その制作にも関わっていたので、またやりたいなぁと。そして今年度、さらにブラッシュアップした3roomsのシーズン2を企画・制作しました。

―どういう部分を担当したのでしょうか?

主に演出です。キャスティングも担当しました。ただ、コロナ禍での撮影だったので、撮影現場の人数を減らす必要もあって、セットなど美術も大道具・小道具さんではなくディレクターが自分たちで作ったりと、いろいろやりました。

―コロナ禍での撮影で、苦労した点はありますか?

いちばんは、撮影現場のスタッフの人数を極力少なくしたことです。カメラマンがいなかったので、カメラを置きっぱなしにして、自分で横にしたり、縦にしたり。あとは、スマホで撮影しているかのように、三脚を外して手撮りにして、そのカメラに役者が手を添えるかたちにするような工夫もして撮影しました。
現場には役者さん1人、監督、照明、システム、FD(フロアディレクター)の5人ぐらいの体制でしたので、普段とは違うかたちでかなり大変でしたね。
一般的に、ドラマ撮影するときは、この3倍ぐらいの人数が現場にいるはずなんですが…(笑)
2020年度の3ROOMSの撮影の時は、役者さん3人、演出、美術、カメラマン、音声、照明など10人以上はいましたし…。
ちなみに、演出面では、前回の3ROOMSでは‘‘スマホの画面からのぞき込む‘‘演出だったので、テレビ画面の構成をスマホの形にしたのですが、今回は特にスマホにはこだわらず、シンプルに、‘‘日常生活をのぞき込む‘‘ことに焦点を当てた内容にしました。

―他に工夫された点はありますか?

移動するのもコロナのリスクが高まると思い、撮影場所も、なるべく局外での撮影にならないようにプランニングしました。撮影場所は、ちょうどNHK札幌拠点放送局が旧会館から新会館に引越しする準備期間のタイミングだったこともあり、旧会館と新会館の各スタジオや、引越しの関係で使っていない会議室や廊下・階段などで撮影しました。

―今回も芸人さんや劇団員の方を多くキャスティングしていましたね。

やはりコロナ禍の中で、公演の機会が失われていたこともあり私としても何か貢献したかったですし、もともと、ラジオドラマ「FMシアター」を制作した時からの縁もあって、劇団員の方にもお声がけさせていただきました。さらに、日常の生活を覗き見るという内容のドラマだったので、むしろ、日常性の強い演技が期待できるのではないかと思いました。

―札幌の演劇界からの反響はどうでしたか?

出演者からの「ドラマ出れて嬉しかった」だけではなく、演劇のファンからも「劇団員の演技が久しぶりに観れて嬉しかった」という声ももらいました。よく演劇を見に行くのですが、「3rooms観たよ」とか、いろんな方からも声をかけてくれることが増えたのは嬉しいです。

―やはり、演劇とテレビドラマは違うものでしょうか?

全然違いますね。テレビドラマは演技者が「点」ですが、演劇は舞台の全体、「空間」を見せるんです。演劇は、笑い待ちの時間とかもあったりしますし、メインで動いている役者以外の役者も演技をしていて、それが演劇の面白さだと思います。一方、テレビドラマは、言わば、注目ポイントはここです、とカメラで切り取って視聴者に見せるものですから。
3roomsは、その点、演劇に近いところがあります。通常のテレビドラマは、1画面を映すのですが、3roomsは3人のそれぞれ部屋など、3画面を映したりするんですよね。そうすると、メインで芝居している人以外の2人の表情も、同じ画面で見て楽しむことができます。そこが面白いポイントだったと思います。

―もともとドラマ志望だったのでしょうか?

はい。この約1年はずっとドラマに関わっていました。3rooms以外にも、ラジオドラマとかも制作していました。
ラジオドラマはFMシアターの「漆黒に落ちる」とか「土方さん、さようなら」をつくりました。

―学生の時から、映像制作に携わっていたのでしょうか?

アパレルのPVとか、ミュージックビデオ、結婚式の映像などの1~3分ぐらいの短い映像作品をつくっていました。

―映像をつくりはじめたきっかけは何ですか?

学生の頃、世界を旅したんです。だいたい50ヵ国ぐらいに行きました。その旅した時の写真とか、映像をストックフォトサイトや、SNSに投稿したら、それらを見た人から、個人で頼まれることになったりしたのがきっかけです。そのうちにサークルの紹介映像をつくってほしいと頼まれたりしていろいろ制作し始めました。

―旅が好きなんですね!

知らないものみるのが好きなんですよね。いちばん印象に残っているのは、ヨーロッパのスロベニアです!自然もすごくよかったですが、さらに、車に乗せてくれたり、家に泊めてくれたり、人の温かさに触れることができました。街に活気があって、すごくよかったです。
あとは、南米もよかったです。南米の中でも特に、アタカマ砂漠は、星が見えるとかではなく、星しか見えないぐらいの、綺麗な星空を見ました。感動しました。

―なぜディレクターになりたいと思ったのですか?

映像をつくっているうちに、もっと長い作品をつくりたいと思ったんです。映画も興味ありますが、日本各地の地方ならではのものもつくってみたいとも思い、NHKならそれができるのではないかと思い志望しました。今は北海道の地域発ドラマをつくりたいと思っていて、つくって終わりではなく、視聴者の皆さんに見てもらう仕掛けや工夫も同時に考えることが必要と感じています。

―ドラマ以外で最近担当した番組は?

先日は「ほっとニュース北海道」内のコーナーの、生活者の皆さんからの疑問質問を調べてリポートする「シラベルカ」にも携わりました。「北海道の天気予報はなんで北から発表されるの?」という疑問に答えるという内容でした。もっと、生活者の皆さんにシラベルカに親しんでもらいたくて、WEB記事もちょっと面白く読めるように文体など工夫して書いてみました。
シラベルカの制作を通して思ったのは、視聴者の意見や疑問がベースになっていたり、それを前面にだしているような番組のほうが、視聴者のリアクションを得やすい、視聴者が求めているものかもしれない、ということでした。視聴者がどんな番組を求めているのかという意見をもっと聞いてみたいと思っています。

―今後は、どんな番組を担当する予定でしょうか?

今後はまたFMシアターとかもやりたいですし、あとはドキュメンタリー番組も担当する予定です。ドキュメンタリーの取材では、聞きたいことも聞けないことってあるんですよね。まず電話をして、取材させてほしいと依頼をするのですが断られたりも。断られても直接行ってみる。直接行って断られても、また行ってみたりしています。それでも断られることもあるんですが…

―断れても、粘り強く挑戦するんですね。

そうですね。ドラマはもちろん、ドキュメンタリーなど「さすがNHK!」と言われるような番組もしっかりつくっていきたいと思っていますので。

―ドキュメンタリーと、ドラマでは、それぞれの良さがありますよね?

そうですね。「シラベルカ」のように生活者の皆さんが知りたいことに応えるコンテンツが求められていると感じる一方で、やはり、メディアの役割として、皆さんが気づいてないことを気付かせる、見たくないことも見せる、ということも大事だと思っています。その方法として、ドラマで描くべきか、ドキュメンタリーで届けるべきかは、そのテーマや題材にもよると思うんです。
今回の3roomsの第2話「最期の生配信」では、「ネットのコミュニケーションは薄いから、リアルのコミュニケーションを大事にしなさい」とかよく言われていますが、私は、本当にそうなのだろうか?世代感の違いもあるのでは?と疑問に思っていたんです。そこから、ネットのコミュニケーションでも救われている人もいるよね、ということを伝えたくて制作しました。第3話「ソコからの脱却」も、“布団から出たくない”とか、誰にでも起こり得ることを、そういうこともあるよねと、人の多様性ということも今回ドラマを通して伝えたかったんです。

―地方局でドラマを制作する意味とは?

地方ならではの題材でつくることができることだと思います。こないだ、関東在住の方に、北海道がこんなに広いとか、いろんなものがあることを知らなかったと言われたんです。事実だけでは現実を知ってもうことの限界もあるんだなと思いました。
例えば、北海道の自然ってすごく厳しいって、気温の数字など頭の中や事実ではわかっているけど、ドラマ「北の国から」とか観ると、もっとリアルに伝わってくると思うんです。

―ラジオドラマのおもしろさは?

つくるときの頭の使い方がテレビと違うので、面白いんです。ラジオドラマは、目に見えないので、どうリスナーの頭の中に見せるかというのを工夫します。例えば、‘‘机に手を置く‘‘動作は、テレビだと一瞬でわかるけど、この動作も説明が必要だったりします。音だけという制約の中で、どう面白い仕掛けができるかを工夫しながらつくるのが面白いです。以前、あるラジオドラマでは目が見えないのと同じようなシチュエーション(舞台設定)で制作してみたんです。ドラマの舞台を真っ暗な炭鉱にして、ゴトッという音がしても、主人公も見えないので、聴いているリスナーも「なんだ?」って主人公と同じの反応になる、追体験するのも面白いんじゃないかと。試行錯誤しながら制作しています。

―最近では、ポッドキャストなど音声コンテンツも若者の間で人気ですし。

そうですね。忙しい若い人たちには“ながら”聴きにニーズがあるんでしょうね。ただ、個人的には、ラジオドラマは、聴きながら他の作業する(聴き流し)音声コンテンツにはマッチしないと思っているんです。やはりドラマは没入・集中したほうが楽しめると思いますので。いまの時代、コンテンツが増えすぎていて、‘‘何かしながら何かする‘‘ことが当たり前になってきていますが、NHKのコンテンツ全般は、情報量が多いと思うので、ラジオドラマだけではなく、テレビ番組も含め、テレビの前やスマホなどを手にある程度前のめりになって観たり・聴いたりしていただきたいと思っていますし、私はそういうものをつくり続けたいと思っています。とは言いつつ、片手間でも楽しめるようなコンテンツも人気があるので、その辺との融合がNHKにも必要と感じています。

門脇 陸 ー Kadowaki Riku
2019年入局。札幌拠点放送局(2019~)
趣味は素潜り。
NHKで好きな番組は「プラネットアース

■Do!その他の記事はこちら

NHK北海道地域職員採用サイトはこちら

ページトップに戻る