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議員のなり手不足 あなたの町は? 迫る統一地方選挙

  • 2023年2月21日

「月額21万円」 これは全国の町や村の議会議員の平均報酬です。
 住民を代表する地方議会で今、全国的に議員のなり手が不足しています。
 統一地方選挙は4月に迫り、道南でも今年中に18ある地方議会のうち15の議会で選挙が行われます。
地方議会で今、何が起きているのでしょうか? 

地方議会の現状は

地方議会は市町村が住民のために税金を適切に使っているのかをチェックし、議員の側からも提案を行っていく大切な役割があります。
議員は住民の代表としてその役割を担っているのですが、その議員を投票で選ぶ機会さえ失われている地方議会が少なくありません。道南では4年前の統一地方選挙以降、八雲町、森町、松前町、鹿部町、厚沢部町、それに奥尻町の合わせて6つの議会で、立候補をした人の数が定員を超えず、投票が行われなかった無投票での当選となりました。実に道南の3分の1の議会が無投票当選でした。

このうち鹿部町の議会選挙では、定員10に対し立候補者の数が9人と定員を満たせませんでした。町によると、初めての定員割れだったということです。

こうした議員のなり手不足の問題の背景には、人口減少や少子高齢化はもちろんですが、地方議会の議員報酬が低いことも要因の1つと指摘されています。
全国町村議会議長会によると、町や村の議会議員の報酬は全国平均で月額21万円余り(平成30年7月現在)。税金などが差し引かれて手取りはさらに少なくなるため、自身の生活や議員活動に必要な費用をまかなうことも簡単ではない状況です。

町や村の議会議員の報酬がなぜ低いのか。それは自治体の人口規模と関係があります。総務省がまとめた資料を見ると、人口規模によって議員報酬の額に大きな差があることが分かります。政令指定都市が77万円余りにのぼるのに対し、1000人以下の自治体では15万円余りにとどまっていて、実に5倍もの差があります。

出典:総務省自治行政局行政課「町村議会のあり方に関する研究会」

議会の対策は

「このままでは議員になってくれる人がいなくなってしまう」。そうした危機感から、道南の地方議会では対策が進められています。そのひとつが、やはり議員報酬の引き上げです。
道南では八雲町、七飯町、松前町、奥尻町の合わせて4つの議会がすでに引き上げを決めています。また福島町議会でも、現在引き上げる方向で検討が進められています。

例えば、七飯町議会の議員報酬は現在、23万円から28万円となっています(議長などの役職で異なる)。これがことしの選挙以降、一律で5万円引き上げられます。

さらに、人口の規模に合わせて定員を削減し、無投票になることをなるべく避けようとする議会もあります。八雲町議会は21年10月の選挙で定員を16から14に削減しました。また、北斗市、七飯町、森町、松前町、乙部町の合わせて5つの議会も、ことしの選挙で定員を削減することを決めています。

このほか、住民との接点を増やすことで改革につなげようと取り組む議会もあります。そのひとつが知内町議会です。

知内町議会では議会をより身近に感じてもらおうと、5年前から住民が議員と自由に語り合える場、「おしゃべり議会カフェ」を設けています。この日は、町の中央公民館に住民5人と議員4人が集まり、「除雪」をテーマにざっくばらんに意見を交わしました。

この中で住民からは、十分な雪の捨て場がないことや、町内の積雪状況に応じて除雪の対応を判断するためのパトロールを実施することなどの提案が出され、議員は町とも相談して今後どうしていくのか検討したいと答えていました。

参加した町民
「きょうは初めて参加したのですが、意外と議員さんが意見を聞いてくれて、これからの一歩目かなと感じました。町内会長をやっているのですが、何かとうまくいかないことも多くて、ストレスになったりするのですが、きょうは声を出して意見を言っただけでも、ちょっと楽になりましたし、これからの励みになります」

議会側は今後、住民がより参加しやすい開催のあり方を模索したいといいます。

座長を務めた議員
「我々が頭を悩ませているのは、やはり若い人たちの参加がほとんどないことです。若い人たちに参加してもらえるような開催の形にしたいと思っていますし、それが将来的に我々みたいな議員になってもらいたいという希望を持っています。そのためには、こちらが待つだけではなく、逆に若い人たちが集まるときに我々議会から乗り込んでいって、気楽に意見を交換できるような取り組みもやってみたいと個人的には思っています。これから議会でいろんな意見を出し合って、ひとつの方向性を見いだしていきたいです」

また松前町議会では、住民に議会を傍聴してもらい、議会の内容や運営の方法などについて意見を出してもらう「議会モニター制度」を21年4月から導入しています。住民の声を直接、議会改革に反映させることが狙いで、実際、この制度が導入されたことで、議会の一般質問の時間が1時間から45分間へと15分も短縮されました。モニターの住民から「議会を傍聴する人に分かりやすいよう、もっと論点を整理して一般質問してはどうか」と提案されたことがきっかけだということです。この制度は木古内町議会も新年度から導入することを決めています。

地方議会 私たちも関心を

地方議会では、こうしたさまざまな取り組みが行われていますが、人口減少や少子高齢化が進む地方で、議員のなり手不足の問題が一朝一夕に解消されることは現実的に難しいのが実情です。ただ、地方議会は暮らしに密接に関わる課題が議論されるだけに、議会側の努力だけではなく、私たち自身もその活動や役割に少しでも関心を寄せることが必要だと感じます。

函館局 鮎合記者が取材した記事はこちらもどうぞ!
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