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どうなってますか? 札幌 地下鉄の地震対策

  • 2023年3月16日

視聴者のみなさんの疑問に答えるシラベルカ。 今回は、地下鉄の地震対策に関する話題です! 

50代女性からの質問
『地下鉄に乗っているときに大きな地震が来たらどうなりますか?
 車両から避難できるのでしょうか?』

実は、複数の方からこうした投稿をいただきました。
いつ起きるか分からない大地震に事業者はどう備えているのか、
そして乗客の私たち自身もどうやって身を守ればいいのか、シラベてみました!
(札幌局カメラマン 濵本航大)

利用者もイメージわかない!? 緊急時の対応

1971年に開業した札幌市営地下鉄。
今では1日あたりの利用者がなんと約50万人!
札幌市民の生活には切っても切れない関係となっています。

利用者の皆さんに地震への不安はないか、聞いてみました。
すると…。

〈70代女性〉
「地下鉄で地震に遭ったらどうしようって考えたことなかったですね」
〈60代男性〉
「怖いですよ。誰も遭遇したことがないからね。暗いし不安じゃないですか」
〈30代男性〉
「地下なのでどうしようもないので、助けを待つしかないですよね」

大半の人が、地下鉄を乗車中に被災することについてあまりイメージがわかない様子でした。とはいえ、大地震などの緊急時には車内はパニックになることも想定されます。
鉄道事業者はどう安全を守ろうとしているのでしょうか。
さっそく、地下鉄を運営する札幌市交通局を訪ねてみました。

揺れの大きさで臨機応変に対応!

お話を伺ったのは地下鉄の安全管理を担当する菅原純弥さん。
説明によると、地下鉄が走っている際に地震に遭遇したら揺れの大きさに応じて徐行や停止といった対応するよう決まっているとのこと。

札幌市交通局 高速電車部 業務課 安全推進係長 菅原純弥さん
「もしも地下鉄が運行中に地震が発生した際は、震度に応じて徐行運転を行ったり、緊急停止をしたりというような安全措置をするよう定められています。安全に停止できるよう、指令所という運行を管理する部署には大きな揺れが来ることを事前に察知する“緊急地震速報装置”があり、できるだけ揺れはじめる前に車両を止められる仕組みになっています」

市営地下鉄にある南北線・東西線・東豊線の3つの路線。
そのすべての路線の運行を「指令所」が一元的に管理しています。
もし大きな地震が起きたら、この「指令所」から走行中の車両に徐行や停止などの指示が伝えられます。

例えば、震度3~4程度の地震であれば、減速して次の駅に進むよう指示が出されます。
また、震度5弱以上の大きな揺れが起きたり、緊急地震速報で激しい揺れが想定されたりした場合は直ちに停車させることにしています。駅と駅との間に停車した場合は、揺れが収まったことを確認してからゆっくりとした速度で次の駅に移動し、乗客を避難させるということです。

ブラックアウトのときは・・・

では、緊急停車したあとブラックアウトや故障などで車両が動かなくなったらどうするのでしょうか。乗客はトンネル内を歩いて避難することになりますが、そのときに使われるのが「非常はしご」です。

非常はしごは先頭と最後尾の運転席横に備え付けられていて、車両が動けなくなった場合、最寄り駅から駅員が駆けつけ、このはしごを使って乗客を車外に誘導することになっています。

真っ暗な中でも安全に避難できるよう車内には明かりをともすための非常用電源が備えられているほか、乗務員のバッグには常に懐中電灯が入っているそうです。
また、札幌市交通局では年に1度、地震や火災を想定した避難訓練を行っていて、万一の事態に備えています。

札幌市交通局・菅原純弥さん
「乗務員や駅員はさまざまな緊急事態に対応するための訓練を定期的に行っています。もしも災害が発生したときにはお客様を安全に避難誘導できるよう態勢を組んでいるので安心して利用してください」

万一のとき 私たちがすべきこと

一方、乗客となる私たちにはどのような心構えが必要なのでしょうか。
鉄道の安全対策に詳しい関西大学社会安全学部の安部誠治教授にお話を伺ったところ、開口一番に言われたのが「地下鉄はすごく安全な構造だから怖がらなくていい」ということでした。
たしかに地下鉄は固い地盤を通っていますし、トンネルの構造も強固です。とくに札幌市営地下鉄のトンネルは阪神・淡路大震災のあとに補強工事が施されたので、震度7の揺れがあっても耐えられるということです。
そのうえで安倍教授は、パニックを起こしてやみくもに車両の外に避難することの方がかえって危険だと指摘しています。

関西大学 安部誠治教授
「車両に電気をとるものが下に張って線路に沿っている場合があるので、これに触れると大変です。駅のあいだで列車が止まったときには慌てず、乗務員の指示にしたがって次の行動をとることに尽きると思います」

また、安部教授は、乗客の混乱を生まないためにも、乗務員や駅員からの迅速な情報提供が欠かせないと強調していました。

関西大学 安部誠治教授
「なるべく早く正確な情報を乗客の側に届けるということが緊急事態ではものすごく重要なことです。情報伝達が遅れてしまうと最悪の場合、列車を自分たちの判断で降りてしまうということにもつながりますので、正しい形で乗客に伝えるという訓練も必要だと思います」

まとめ 「安全確保のポイント」

地下鉄で地震に遭遇したときの対応についてまとめると、以下の通りです!
〇冷静さを保つこと
トンネルは頑丈!まずは落ち着いて揺れが収まるのを待ちましょう。
〇車外への避難は乗務員の指示に従って
トンネルの中は反対方向の列車が走ってきたり、高圧電流が流れている箇所があったりして危険がいっぱいです。乗務員や駅員の指示があるまで車両から出ないで下さい!
〇避難するときには助け合って
乗客のなかには体が不自由な方や高齢者など介助もいるかも。避難するときには思いやを持って助け合いましょう!

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