札幌のテレビ塔 時計の色はオレンジ色ではなく緑色だった?
- 2023年4月11日
視聴者の皆さんから寄せられた疑問に答えるシラベルカ。 今回は、札幌市の代表的な観光名所「さっぽろテレビ塔」についてです。
「テレビ塔のデジタル時計はオレンジ色ですが、
1982年は緑色で表示されていました。
なぜ、この年は緑色だったのか調べてください(40代男性)」
テレビ塔の時計の文字といえばオレンジ色ですが、調べてみると、確かに今から40年以上前に緑色だった時期がありました。
色の変更にあたって、さまざまな紆余曲折があったことも明らかになりました。
(札幌放送局 波多野新吾)
テレビ塔担当者に取材
かつて時計が緑色だった理由を探るため、テレビ塔の担当者に話を聞きました。
さっぽろテレビ塔 菊池遼太 主任
さっぽろテレビ塔 菊池主任
「確かに短い期間でしたけれども緑色だった時期がありました。
その写真がこちら、昭和56年・1981年の写真です」
今から42年前に撮影されたという写真には、緑色の時計が写されています。
それ以前の写真は、今と同じようなオレンジ色の表示でした。
オレンジ色から緑色に変更された経緯を記した資料も残っていました。
この資料には「白熱灯使用を省エネ対策としてネオン球に取替、消費電力を1/3にします」と書かれています。老朽化に伴って改修工事を行う際、時計を当時の最新設備に交換し、省エネを実現させようとしたというのです。
しかし、この緑色の期間は長くは続きませんでした。
さっぽろテレビ塔 菊池主任
「この緑の電光時計は、わずか約3か月で元のオレンジに戻ることになります」
省エネのため、緑色に変えられた時計が、なぜすぐに元のオレンジ色に戻すことになったのでしょうか。
緑色から戻された理由は
その理由がNHKに残されていました。1982年3月11日に放送したニュースです。
工事の様子を伝えるニュース 1982年3月11日放送
緑色からオレンジ色に戻す工事の様子を伝えるこのニュース。
市民にとって、緑色の時計の評判は決していいものではありませんでした。
「グリーンになってから何時か全然分からないんですね
見えにくくなったねって子どもたちと話していました」
「前は非常に遠くから見えたんですけれど
グリーンになってから駅ぐらいからもう見えなくなりました」
「時計が読みにくい」という市民の声を受けて、緑色の時計はすぐに戻されることになりました。当時の状況について、NHKもなかなか手厳しい表現で伝えていました。
工事の様子を伝えるニュース 1982年3月11日放送
「テレビ塔では、このほど3200個の電球を再び白熱灯に戻す工事を始めています。およそ3000万円かかるこの工事費は、スポンサーの松下電器が負担するということですが、省エネがとんだ無駄づかいとなったようです」
テレビ塔 時計の歴史とは
1959年撮影 当時のテレビ塔には時計が設置されていない
さっぽろテレビ塔の時計は、開業された当初は設置されていませんでした。
時計がつけられたのは、1957年の開業から4年後の1961年。
バス停が近くにあったことから「時計がほしい」という市民の声が上がり、設置の話が進みました。
1961年 テレビ塔に時計が設置された
そうしたなか、当時の松下電器産業が宣伝効果を見込んで時計の設置に動きました。この設置には、“経営の神様”とも呼ばれる松下幸之助氏が深く関わっていたと言われています。
「北海道の新しいシンボルになり、広告の効果は抜群だ」と考えた当時の会社の北海道営業所長が松下幸之助氏に申し出たところ、松下氏が「是非やろう」と決断し、後押ししたということです。
しかし、設置に至るまでにも紆余曲折がありました。
元々はもっと大きくブランド名を表示するという提案が会社側から行われましたが、大通公園は風致地区に指定されていて、広告に制限があります。
結局、ブランド名を小さく表示し、時計を寄贈するという形で決着したのです。
よく見ると、現在も時計の文字の横に小さく「寄贈」と書かれています。
2006年 テレビ塔の時計が現在のLEDに
ちなみに、現在のテレビ塔の時計にはLEDが使われていて、当時は果たせなかった「省エネ」と「見やすさ」の両立を図っているということです。
市民に愛されるさっぽろテレビ塔。その時計はこれからも札幌の歴史を刻み続けます。
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