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隣町へお宝を探しに! 個性派花屋と技の光る工芸品

  • 2023年7月3日

道内に30組ほどいるローカルフレンズのみなさんから最新のローカル事情を聞く「ローカルフレンズニュース」。上川郡上川町でカフェを営む絹張蝦夷丸さん。とある“ツアー”を開いているようです。

隣町の友人を訪ねるツアー!

そのツアーの名前は「マジ友達」。目的は、ただ仲良くなること。上川町やその周辺の地域に暮らす仲間たちと共に、隣町の友人のもとに出かけています。

今回は、上川町から車で30分の比布町へ。この町で見つけた、個性派の花屋と技が光る美しい竹細工をお伝えします。

この日のツアーに集まったのは、地域おこし協力隊や木こり、農家……なんともバラエティ豊かな総勢10名の仲間たち。比布町に到着してはじめに向かった農業用ハウス。

超レアなお花が手に入るディープスポット

いちごで有名なこの町、美味しいいちごが食べられると思いきや、中へ入ると色とりどりのお花がびっしり。

カリブラコアという品種の中でも日本全国的に入手困難なお花は、埼玉県で新しい花の色や特徴を追求している生産者から仕入れたそう(写真右のお花)。
さらには道内で2か所でしか取り扱っていない愛知県のリーフプランツなど、驚くほどマニアックなお花や植物の数々。お花マニアにはたまりません(写真下)。

この一味変わった花屋を営む、畠山俊(はたけやま・しゅん)さん。旭川でケバブの移動販売をしていましたが、農家になろうと一念発起。たどり着いたのが比布町でした。

その後、比布町の役場から「花はどうか」というお誘い。なんと畠山さんは「花っすか!やります!」と二つ返事で花農家への道へと進むことに。最初は花の名前もおぼつかなかった畠山さんですが、妻の愛さんと一緒に花の魅力にどっぷりはまっていきました。

こうして、全国の先駆的な花の生産者とも次々と友達に!
ついには花農家でありながら、他では手に入らないようなお花がそろうお店まで営むようになりました。

「熱量が合えばつながって、信頼してもらえれば一緒にやれる時代」「グイグイこの路線をいきたい」と畠山さんはいきいきと話してくれました。

海外でも評価される 高品質な竹細工

続いて一行が向かったのは、山の中にあるギャラリー。

かごやバッグにオブジェ、これら工芸品の数々は比布町で育つ千島笹でつくられています。

千島笹を燻して生まれる独特の風合いと、手に取ったときのなめらかな仕上がり。実用品として、また海外ではオブジェとして。この知る人ぞ知る逸品を手掛けるのは近藤幸男(こんどう・ゆきお)さんです。

北海道興部町出身の近藤さん。28歳の時に竹細工の修行のため京都へ。その後各地で30年、技を磨いたのちに北海道へ戻ってきました。京都で培った伝統技法と比布町の千島笹の特徴を掛け合わせ、この町で作品作りを続けています。

ですが、後継者がいなかった近藤さん。このままではこの技や作品が途絶えてしまうのかも……そこへ去年、弟子入りを志願する夫婦が現れたのです。

東京で大工をしていた野村俊也(のむら・としや)さんと会社員をしていた野村奈緒美(なおみ)さんご夫婦。仕事のかたわら、ねじの一種であるナットを削って指輪を作っていた俊也さん。奈緒美さんは、籐(とう) を編んで指輪などを入れる小物入れをつくっていたという手先の器用さ。

いつか北海道で竹を使った仕事をしたいと、ネットを検索してたどり着いた近藤さんの作品。すっかり惚れ込み、さらに近藤さんが後継者を探していると知った二人は、竹工芸の世界に飛び込む決意を固めました。

「気持ちが昂ってしまって 近藤さんに直接連絡しちゃいました」「早く、誰よりも先に!って気持ちで」

近藤さんも、東京にいる二人と連絡を重ねていくうちに彼らの本気度に気づかされます。

「夫婦二人とも、(竹の)かごをやりたいという気持ちが伝わってきました」「ここに引っ越す前までに知識を吸収していたんです」

そして、今年3月に夫婦は比布町へ移住。さっそく近藤さんのもとで修行をはじめ、基本となる竹ひごづくりを学び、さらに作品を編む工程にも挑戦し始めているとか。

「(成長が)早いですよ」「(他の人では)こんなに早くはマスターできないと思う」と、弟子二人の成長スピードに驚く近藤さん。

師匠と弟子夫婦の夢は、比布町の千島笹工芸を世界にもっと羽ばたかせることだと、仲睦まじい様子で話してくれました。

上川町の絹張さんたちが比布町を訪ねて出会った、初めて見る花や美しい工芸品、そして個性の光る花屋さんご夫婦と、師匠と弟子夫婦。すぐ隣の町でも、まだまだ知らない宝があり、ツアーを通して友達が増えていく。次は、どんな人と友達となり、どんな宝を見つけるのか、ますます目が離せません。

2023年6月29日放送 ローカルフレンズニュース

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