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ホスピタリティーあふれるマラソン

  • 2023年11月8日

9月24日、「オホーツク網走マラソン」が開催されました。このマラソン、実は全国のランナーが集まるインターネットサイトの参加者が満足度を評価するランキングで、昨年度に平均94.8点をマーク。年間ランキング1位に輝いたんです。ことしも国内外から集まったランナーたちがオホーツクの雄大な景色を楽しみながら走り抜けました。
私も取材してきましたが、マラソン取材は道路の通行規制がかかるので、1人ではすべてを取材できないんです。なので、今回は大会後に取材した内容も盛り込み、ニュースではお伝えできなかった部分、特にエイドと呼ばれる補給食を中心に、このマラソンの「網走らしさ」をたっぷりとお伝えしていきます。(網走支局・佐藤公哉)

ことしで9回目となるこの大会。42.195キロのフルマラソンに加え、3キロと5キロの合わせて3つの部門で競われました。コロナ禍を経たことしは中国やアメリカなど海外からのランナー42人も参加。下は小学4年生から上は84歳まで、なんと2520人ものランナーがエントリーしました。

3キロ部門と5キロ部門は短い距離なので、ランナーたちは全力で駆け抜けます。3キロの優勝タイムは9分19秒。100mを18秒余りのペースで走り続けたことになります。すごい速さですよね。そしてフルマラソン。タイムが3時間を切るような本気のランナーもたくさん出場しますが、アニメや映画のキャラクターのコスプレをしたランナーや、ひまわりのかぶり物をかぶったランナーなど、記録よりも記憶に残るようなランナーも大勢参加。市民マラソンのだいご味があふれる大会となっています。見ているだけでも楽しいですよ。

ここからはランナーたちがコースの途中で味わうことができる補給食、「エイド」を紹介していきます。フルマラソンのランナーたちは網走刑務所の前を出発。オホーツク海に突き出した能取岬を目指し、オホーツク海を右手に望むコースを走ります。この序盤で待っているのが「幻のカニ」とも言われるイバラガニの鉄砲汁。漁業関係者の好意で提供されたものです。道路が規制されているため私は取材できませんでしたが、鉄砲汁を飲んだランナーたちの表情は容易に想像できます。

その後、ランナーたちは能取岬灯台を折り返して平地へ入ると、今度は網走特産のしじみ汁と長天(揚げかまぼこ)の登場です。しじみ汁はランナーたちに毎回好評の人気メニュー。長天もコース全体の3分の1を過ぎて小腹が空いてきた時にちょうどいい1品です。ほかに網走産の小麦を使ったベーグルも。地元の大学生ボランティアの「頑張ってくださーい!」というエールとともに、ランナーを癒やしてくれます。

そしてもう少し進むとお待ちかね、あばしり和牛のステーキがお目見えです。ここは取材可能なのでランナーたちの生の声を聞くことができます。こちらから聞かなくても「これが食べたくて走っています」「これを楽しみにしてきました」と話してくれるランナーが毎回、必ずいます。やはりお肉の力は絶大ですね。なんといってもあばしり和牛のステーキ。マラソンを走っていない私も食べたくなります。

そして最後は友好都市の山形県天童市が提供してくれる高級ぶどうのシャインマスカットです。私は取材できませんでしたが、甘くてジューシーなシャインマスカットはランナーからの絶大な支持を集めていることでしょう。一度取材してみたいものです。
シャインマスカットを食べ終わると、まもなくフィニッシュ。かつて網走刑務所の農場だった場所に咲いているひまわりたちがランナーを出迎えます。オホーツクの美しい景色に、補給ポイントでの秋の味覚。ランナーたちは網走を満喫しつつ、42.195キロを走り抜けていました。

3キロ部門に参加した大会最年少・小学4年生の女の子は「初めて走ってつらかったけど、目標タイム以内で走れました」と満足げでした。
新婚旅行で長野から訪れ、夫婦でフルマラソンを完走した男性は「42キロを走りながら景色もご飯も楽しめて、とてもいい大会でした」と話していました。2人は「新婚旅行中」と書かれたナンバーカードを背負って走っていました。本人たちはもちろん笑顔でしたが、ナンバーカードを見た周りのランナーもきっと笑顔になったことでしょうね。
また、東京から参加した女性は「おいしいものがたくさん食べられました。地元の人の応援がとても温かくて最高の大会だったので、また来たいです」と満面の笑み。昨年度の満足度ランキングが1位だっただけあり、聞く人聞く人、皆さん笑顔だったのが印象的でした。

「オホーツク網走マラソン」の主役はランナーたちですが、大会を陰で支えたのは1091人もの市民ボランティアです。中でも特筆すべきは網走にキャンパスがある東京農業大学北海道オホーツクの学生たちです。400人近い学生がボランティアとして登録し、ランナーに声援を送っていました。もはや学生たちの力なくして大会は成り立たないかもしれません。
大会に参加したことがある人の話によると、多くのマラソン大会は制限時間が5時間ほどですが、この大会は制限時間が6時間半あるところも市民ランナーにとっては完走しやすくありがたいということでした。さらに制限時間ギリギリになっても、市民やスタッフが声援を送ってくれるのも大きな特徴の1つだと言っていました。
私はマラソン大会に出たことがないので知りませんでしたが、ほかの大会では制限時間近くなると片付けが始まったり、人が少なくなって寂しいフィニッシュを迎えたりすることもあるようです。こうしたホスピタリティーも網走の良さだと話してくれました。景色や食も大事ですが、やはり疲れ切ったランナーの心にいちばん響くのは“温かい応援”なのかもしれません。

大会は来年、10回目を迎えます。網走らしい“温かい応援”を忘れずに運営してもらえたら、来年もきっといい大会になると思います。私も来年また多くの笑顔をカメラ越しに見ることができるのを楽しみにしています。

ニュースはこちらから👇
オホーツク網走マラソン 約2500人がエントリーし汗流す

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