ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. 70MAP
  4. 神恵内村の春を郷土料理の「カレー」でいただく!

神恵内村の春を郷土料理の「カレー」でいただく!

  • 2023年4月27日

こんにちは!「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当リポーター、坂井里紗です。今年は桜が咲くのが早いですね~。お花見には行けていませんが、町を歩くとちらほらと桜の木を見つけてあたたかな気持ちになります。さて今回の「ななまるマップ」は、春にピッタリな花!…ではなく、「料理」を探しに行きました。それがこのカレー。実は、肉の代わりに今が旬の魚「サクラマス」が入っているんです! いったいどんな味がするんでしょう…!!神恵内村に行ってきました!

伺ったのは、村内にある民宿きのえ荘。迎えてくれたのはこの民宿を経営する池本美紀さんです。笑顔が素敵でとってもキュートな方でした!生まれてからずっと神恵内村で暮らしていて、子どものころからサクラマスカレーを食べていたといいます。

民宿きのえ荘 池本美紀さん
「サクラマスカレーはおじいちゃんおばあちゃんの世代くらいから食べられています。村ではほとんどの人が知っていると思います。子どものころ食べていたので懐かしの郷土料理、懐かしの家庭料理ですかね。」

民宿では提供していませんが、特別に作っていただきました。まずはサクラマスの下処理。うろこをはがして頭を落とし、三枚おろしにします。ハラスの部分を切って、一列に並んでいる骨をピンセットで取っていきます。この骨を抜く過程がポイント。ここを怠ると、骨が残ってしまい食べづらくなってしまいます。このひと手間がおいしさの秘訣です。

使う野菜は家庭によってさまざま。今回はカレーの定番、玉ねぎとにんじん、じゃがいもを使います。隠し味にはケチャップとソースを入れ、ルーを入れて煮込みます。肉の代わりにサクラマスを入れる以外は普通のカレーライスの作り方です。十分煮込んだら、最後に皮つきのままサクラマスを入れて、火を通します。

民宿きのえ荘 池本美紀さん
「私の母もサクラマスの皮をつけたまま入れていました。きっと皮と身の間に栄養があるからだと思います。最後に入れるのは、混ぜれば混ぜるほど身が砕けて細かくなってしまって、それはそれでおいしいんですけれど、ちょっと身の感じを残したいというのがあります。家庭によって一度、素揚げしてから入れたり、カレー粉や小麦粉をまぶして焼いたりという方もいると聞きますね。」

こうして完成したサクラマスカレー。いただきました!サクラマスの身がふわふわとしていて、食感がとてもいい!味の主張が強くなく、カレーの風味を押しのけない程度に絶妙な味わいを感じられます。皮も口に残ることなく食べることができます!とってもおいしい~!数ある魚の中でも「サクラマス」を入れる理由が分かった気がします。なんといってもカレーに合います!

民宿きのえ荘 池本美紀さん
「最初に『魚のカレー』と聞いて浮かんだ印象は、食べてみて全然違ったんじゃないですか?私が高校生くらいまではうちでも作ってくれていたんですけど、お肉が手に入るようになって、だんだんお肉の方が当たり前のようになっていきましたよね。やっぱり骨を抜くなど手間がかかるし、肉の方が簡単ですもんね。」

なぜ肉ではなくサクラマスを使っていたのか。神恵内村でサクラマスカレーが広まった背景には村ならではの事情がありました。

民宿きのえ荘 池本美紀さん
「ずっと昔、村では道路が発達していなかったので、船で来るか山を越えるかしか交通手段がなく『陸の孤島』と呼ばれていました。海がしけると船は来られないし、山を歩いてきても何日もかかっちゃうので、なかなか新鮮な肉が手に入らなかった。そこで当時、村で手に入っていた魚を貴重なたんぱく源としてカレーライスに入れていたって聞いています。今よりもサクラマスはとれていたと思います。くせがなく、身もふわふわしていて食べやすかったから広まったんじゃないでしょうか。」

しかし、交通網が発達してくると肉も簡単に手に入るようになり、サクラマスカレーを食べる機会も減っていったそうです。
そこで、池本さんは村の郷土料理を忘れないでほしいと、仲間とともに村の魅力を広める団体「神恵内村魅力創造研究会」を立ち上げ、村内外へのPR活動を始めました。2014年からは、サクラマスが旬を迎える5月にイベントを開き、サクラマスカレーを提供。たくさん持ち帰ろうと鍋を持参する人もいたんだとか!さらに、池本さんは去年からサクラマスカレーの缶詰を発売しました。辛口と甘口がありますが、甘口はすでに完売。辛口も残り少ないそうです。現在は、ことしとれたサクラマスを使ったカレー缶を作っていて、7月から販売する予定です。

サクラマスカレーの缶詰を販売している村内の道の駅で、人気ぶりを教えてもらいました。

道の駅「オスコイ!かもえない」山内美雪さん
「観光の方がこちらの商品に目が行くようで、買っていかれる方が多いですね。お土産商品として人気ですね。」

カレー缶に入っているサクラマスは、池本さんが一匹ずつ丁寧にさばいています。現在、神恵内村でサクラマスカレーを提供している飲食店はありませんが、池本さんはこの缶詰に「郷土料理として忘れないでほしい。子どもたちにも伝えていきたい」との思いを込めています。

民宿きのえ荘 池本美紀さん
「ずっと食べないと存在をすっかり忘れていて。食べないと忘れてしまうものですね。皆さんに幅広く知ってもらうには、やっぱり持ち運びできるお土産があったほうがいいねっていうことで試行錯誤を重ねました。缶詰だと人にも渡せるし最適だねっていう思いで作りました。郷土料理としてこの村で食べられていたんだよっていうのを忘れないでいてもらいたいっていうのと、人口は少ないけれどこういう村があるよっていうのを一人でも多くの人に知ってもらって、来てもらいたいなっていう思いで続けています。」

今の時期だからこそ食べられる神恵内村の郷土料理「サクラマスカレー」。27日(木)午後6時40分からの「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」でご紹介する予定ですのでぜひお腹をすかせてご覧ください♪

取材後記

サクラマスカレー、本当においしい!大盛で3杯いただきました!ごちそうさまでした!村では学校の給食で年に1度サクラマスカレーが提供されていて、子どもたちにはサクラマスカレーが地元の味として認知されています。池本さんも「神恵内のお年寄り、年配の方たちから村のことを聞くのは私たちの世代。私たちが聞いて、子どもたちに引き継いでいかなきゃいけないと思っています。サクラマスカレーも子どもたちに伝えていきたい」と語っていました。そんな思いから、イベントなどで提供するときには子どもたちが食べやすいよう甘口で作っているんだそうです。
神恵内村ではことし、例年より早く4月からサクラマスがとれ始めています。サクラマスカレーのほかにも、たくさんのサクラマスの加工品がたくさんあります。地元の漁協の女性部が作ったオイル漬けに、ふるさと納税の返礼品になっている厚切りステーキなどのセットなど。いずれも5月上旬には道の駅での販売とふるさと納税の受け付けの開始を目標に準備を進めているということです。さらに、池本さんの民宿ではハラスも加工していて、こちらは道の駅ですでに手に入るそうです。旬の味をぜひ神恵内村でそしておうちでお楽しみください♪

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2023年4月27日

前回取材したのは、今一番熱いスポット、北広島市のFビレッジ内にあるアンテナショップ「HUB」。店に関わる地元の人たちの「熱い」思いを取材しました!
北広島市で北海道を旅して!Fビレッジにオープン

ページトップに戻る