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伊達市長選挙で初当選 堀井敬太新市長に聞く

  • 2023年4月27日

胆振の伊達市に24年ぶりに新たな市長が誕生します。堀井敬太氏(42)。市長選挙への立候補を表明したのは、投票まで50日を切った3月。準備期間が短く、厳しい選挙戦が予想された中、どのように支持を広げたのか? そして、今後、どのようなまちづくりを目指すのか?NHKとのインタビューで語りました。(室蘭放送局  小林研太) 

 

24年ぶりの選挙戦 現職“後継”を破る

4月23日に行われた伊達市長選挙。堀井氏が獲得した票は1万票あまり。地元の道議会議員を4期務めた新人の中山智康氏に3400票を超える差をつけて、初めての当選を果たしました。

伊達市出身の堀井氏。大学院を修了後、東京の監査法人で自治体の政策づくりなどに携わってきました。
堀井氏が立候補を表明したのは3月7日。これによって、無投票となると思われていた伊達市長選挙は1999年(平成11年)以来、24年ぶりの選挙戦となりました。

しかし、相手の中山氏は年が明ける前から活動していて、6期24年にわたり市長を務めてきた菊谷秀吉氏の後継者とされていました。
このため堀井氏は、組織力や知名度の違い、さらには準備の遅れから厳しい選挙戦が予想されましたが、市民の間で急速に支持を広げました。
堀井氏に選挙での勝因や、今後の市政運営への思いを聞きました。

 

選挙戦を振り返って

ーーー選挙を終えて、まずは今、どのような心境ですか。

1万票というすごく大きな票や皆様の力をたくさんいただいて、市長に当選することができました。たくさんの方の負託をいただきましたので、しっかりまちづくりを進めていかなければならないという自覚と責任感をすごく大きく感じているところです。喜びというよりも、今回、選挙に勝ったというのは通過点に過ぎないと思っていまして、人口減少、若い方が大きく減少していることに対して、いち早く政策を打っていく、できる限り食い止めていくという、大きな課題に向けて取り組む必要があるので、喜びよりも責任感を大きく感じています。

 

ーーー選挙戦を振り返って、どうですか。

短い期間でしたけれどもやることは一緒で、着実に確実におひとりおひとりに自分の政策の理念をお伝えし、ほかの皆様のお話を聞く中で、自分の政策をブラッシュアップしていくことしか私はないと思っていました。それに加えて、SNSによる発信であるとか、若い方を中心とした情報の拡散であるとか、そういったことも使いましたけれども、やはり基本は地道にやるしかないという覚悟で毎日歩いてきましたし、またたくさんの講演会や演説会などを実施してきました。

 

ーーー勝因は何だと考えていますか。

今、SNSがあるので情報が拡散しやすいということはありますけれども、それだけでは私の政策や人柄、考えというのはきちんと浸透しないと思っていました。だからこそ、先ほど申し上げたように地道にやるしかないと腹をくくって、積極的に外に出る、歩き回る、たくさん聞いていただく、皆さんのお話を聞く、これを徹底しました。これが勝因かなと思っていますし、そのほかにも私を支援してくださるたくさんの方が、私の考えをほかの人にどんどん伝えてくれたというのが本当に大きな勝因かなと思います。皆さんひとりひとりが命がけでというか、本当に必死になって、私の政策などを広めていただいた結果が勝因になっているかなと考えています。

 

新市長として取り組むことは

ーーー5月1日から新市長となります。まず取り組んでいきたいことは何ですか。

私の公約の中に人口減少対策であるとか、若者や子どもへの支援、ご高齢とか障害になったあとも安心して伊達市で住める体制の構築もあげています。そのほか、経済対策、雇用対策、企業誘致などもあげています。いずれにせよ、やはり何かしらの政策を進めるためには、まずは行政側が変わる必要があると思っています。行政職員の方の働き方であるとか、行政職員が市民おひとりおひとりに向き合える時間を、私はどんどん作っていきたいと思っています。

 

ーーー市役所の職員の意識を変えるということですか。

意識もそうですし、仕事のやり方なども変えていく必要があると思っています。やはり内向きの仕事といいますか、内部管理といいますか、内部向けの資料を作っているとか、そういった時間も非常に多いのが現状です。できる限り職員の方には市民向けの外向きの仕事をしてもらいたいと思っています。
私はいろいろな自治体で職員の方の働き方の業務分析をやった経験もたくさんありまして、大体2割から3割の業務っていうのが定型的な業務であったり、内向きの業務というのがどこの自治体も実は共通の課題でした。恐らく、伊達市も例外じゃないと思っています。だからこそ、そういったこれまでの経験を生かして、どう仕事の働き方を変えていくか、それはすぐに取り組めるのではないかなと思っています。

 

ーーー人口減少対策についての取り組みはどうしますか。

人口減少対策については、出生率の向上であるとか、安定的に子育て世帯が住み続けられるまちという政策と、外から人を呼び込むという政策と2つの柱があると思っています。それは同時にやっていかなければなりませんが、やはり今の経済環境を考えたときに、特に子育て世帯の家計は非常に厳しい状態というのは把握しています。ですので、例えば医療費の無償化、これは公約に掲げていますけれども、こういったことには積極的にチャレンジしていって、できる限り子育て世帯の不安を解消していく政策をまずやっていきたいという思いです。

 

ーーー有珠山の噴火、地震、津波といった防災対策についてはどう考えていますか。

有珠山噴火は、間近に迫っている危機だと考えております。今回、選挙戦の中でも、ある地域の方から「そもそも避難所が近くにない」とか、「避難所はどこかわからない」、「避難所の開設の仕方もちゃんと共有されていない」といった声をお聞きしました。「そもそも避難所はどこなんだ」ということであるとか、避難所がないっていうところは解決していかなければならない課題だと思っています。できる限り早く避難の仕方、そういったものは市民の方に周知していきたい、そういう思いです。

気象台によりますと、現在、噴火の兆候は認められていませんが、有珠山は、20年から30年ほどの間隔で噴火を繰り返してきた歴史があり、前回の噴火から23年が経過したことから次の噴火へ向けた備えの重要性が指摘されています。

 

ーーー伊達市は農業が盛んですが、産業振興について、今、どんなことを考えていますか。

特に農業でしたら、まず直近に対応しなければならないのが資材の高騰や燃料の高騰などで、毎日の事業を継続するのが非常に厳しい状況だと皆様方から大きな声として聞いています。そこに対する対応、これはやっぱり農協と行政と共同で支援していく必要があるというのを大きく認識しています。あと、事業承継や後継者の問題、これもすごく大きな問題だと皆様からたくさん声をいただいています。そこもまさに人口減少対策のところの移住、定住ともセットになるかなと思います。いかに労働力を外から確保するかということも私は重要なポイントかなと認識しています。

 

ーーー北海道電力は、伊達市にある石油火力発電所を設備の老朽化を理由に2023年度中に休止すると発表しました。伊達市への影響について、どう考えていますか?

北海道電力の動向によって、伊達のまちはすごく大きく変わる可能性があると危惧しています。一番大きいところでは、発電所が水を使わなくなることで水道の収入が減るということが影響を受けるところでありますけれども、それ以上に、その関係者の方が伊達市の経済に及ぼしていただいている宿泊であるとか、飲食であるとか、そういった経済波及する部分の影響の方が私は大きいかなと思っています。したがって、経済に波及する部分を含めて対策を打っていかなければならないので、この問題については民間企業との調整事項になってきます。北海道電力と早急に意見交換して今後、伊達のあり方をどうするか、これはもう本当に早急にやっていかなければならない大きな課題だと認識しています。できれば新たな投資をしていただくことで、固定資産税などの税収につなげたいという思いはありますが、民間企業の意向と経営判断というところもありますので、まずは協議調整が早急に必要だという認識です。

 

まちづくりをどう進める?

ーーー監査法人の職員として、まちづくりに関わってきましたが、具体的にはどのようなことに取り組んできたのでしょうか?

本当にさまざまな業務をやってきましたが、1つとしては、自治体の総合計画の策定、全体的なプランニングの支援、またそれを市民の方と一緒に作っていくということに携わってきました。その中で、やっぱり市民の方とどうまちづくりをしていくか、また市民の方も一緒にどうまちづくりを経験しながら成長していくか、これが私たちが支援するときの実はキーポイントになっていまして、市民の方の声を聞き取って政策に落とし込む、それを私はすごく意識してこれまで仕事をしてきました。特に市民という話もしましたけれども、20歳以上の市民ということだけではなくて、私たちがやっていたのは未来を担う高校生であるとか、大学生であるとか、時には中学生、小学生、そういった方々にもまちづくりに参画してもらって、「こういうまちだったら、そのまちに居続けたい」とか、「自分が大人になったら、まちづくりにどういう貢献ができるか」ということを考えてもらう、そういうアプローチでまちづくりを進めてきました。これから子どもも一緒に参画したまちづくりをしようとか、そういったアイデアとか経験などを落とし込んでいきたいなと思っています。

 

ーーー市民からはたくさんの要望があると思いますが、どのように対応していきますか?

すべてのことができるわけではないですし、すべての政策が成功するかといったら、そうではないケースの方が多いと思います。だからこそ、市側から皆様方の声を聞いて、政策を立案するというのはもちろんなんですけれども、できなかったらなんでできないのか、また、やった結果なども正確に迅速にわかりやすく皆さんに開示していくことが、本当に行政と市民の方との信頼を生む。私はそれがキーポイントだと思っていますので、情報を公開し意見をいただく、そういったところを私は重要視しています。

 

ーーー市役所や地域の経済団体の人たちなどと、どのように関係を築いていきますか?

一足飛びで人間関係や信頼は作れるものではないと私は考えています。皆様方と膝を突き合わせて話をする。これが第1ではないかと考えています。地道に皆さんとの対話をすることで、信頼を得ていきたいと思っています。あと、できれば職員の方の提案制度とか、あと市長に対する声を発信できる制度なども積極的に作っていきたいと思っています。今まで組織の中で意見が止まっていたものも、どんどん風通しよく、「本当はこういう業務、非効率だと思うけれど、市長さんどう思いますか?」とか、「こういう業務はこういうふうに改革していきたいんだけど、市長さんどう思いますか?」とか、本当に気軽に言っていただけるような風通しのよい組織にして、おひとりおひとりが自覚を持って前向きに仕事をできる環境を作りたいと思っています。

 

ーーー6期24年の菊谷市政をどう評価していますか?

まず財政基盤が本当に24年前と比べて格段によくなっています。もちろん合併の影響などもありますけれども、大きな功績だと思っています。また、カルチャーセンターなどのハードの部分の建設も、一定程度まちづくりの核として、もうある程度完了しているというところは、すごく大きな功績の部分だと思います。私の前職での先輩は、「この人口規模でここまでのよいハードがあるまちはなかなか少ない」と言っていました。あとは、ソフトの面を充実させていくということと、あと直近の大きな課題である、例えば市役所の庁舎の建て替えや図書館の老朽化、こういったところは対策をしていかなければならないと感じています。

 

ーーー継続すべきこと、変化させたいことはありますか。

具体的にどこを変えるべきか、変えないべきかは、やはり1つ1つ見ていかないと判断ができないところは大きいと思います。ただ、全体的な方針の話で言うと、私の政策の大きな柱である、若い方とか子どもへの支援というところが、この伊達市の今までの取り組みとしてはやや少ない状況かなと私は感じています。そこの部分を強めていきたい。それによって、若い方の定着、定住であるとか、外から移住してきてもらう、こういったところにつなげていきたいと思っています。

 

ーーー最後に市民へのメッセージはありますか。今後の抱負を聞かせてください。

ありがとうございます。今回、私の政策のリーフレットに「継続と刷新」と書かせてもらっています。特に有権者の方々は、刷新というところに目を引かれたのかなと思っています。継続するところはもちろん継続していく。ただ、大胆に変えるところは変えてほしい、そういう思い、有権者の方々の大きな意思の表れが、1万票という結果かなと思っています。ですので、大胆に変えつつも、市民の方への説明ということを決して忘れず、皆様方と伊達のまちを1段2段とよくしていきたい、着実に政策を実行していきたい、そう考えています。

 

ーーー次の伊達市を一言で表すとどうなりますか?

私の政策リーフレットに書いてありますが、「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」としているとおり、子どもの笑い声が増えるような、子どもの笑顔によって市民全体、伊達市全体が笑顔になるようなまちを目指していきたい、そう思っています。

2023年4月27日

 

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