ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. 70MAP
  4. 作り手の愛情 「由栗いも」にゆっくり込めて

作り手の愛情 「由栗いも」にゆっくり込めて

  • 2023年2月16日

いしや~きいも~おいも、おいもだよ♪「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当リポーター、坂井里紗です。寒い日が続いていますが、ほっくほくのサツマイモ、食べたくなりませんか?なりますよね!なってください!というわけで、今回のテーマは「サツマイモ」です。寒冷な北海道はサツマイモの栽培に適していないとされてきましたが、近年、道内でも徐々に生産が行われるようになっています。その中でも、由仁町と栗山町で作られているサツマイモが、地域のブランドとしてじわじわと話題になっているんです。そして今が食べごろらしい…!!

その名も「由栗いも」。由仁町と栗山町の漢字ひと文字ずつを取って名付けられました。これで「ゆっくりいも」と読みます。「ゆっくり」は由栗いもを語るうえで欠かせないキーワードなんです。

由栗いもを作っている「そらち南さつまいもクラブ」です。2つの町の若手農家たちを中心に構成されています。「子どもから大人までおいしく食べてもらえる野菜を作ろう」と考えて栽培を始めたそうです。今は23戸の農家が生産していて、クラブでは町内外のイベントに出展し、由栗いものPRなどにも取り組んでいます。

ほくほくとしながらもねっとりとした食感で、強い甘みとコクが特徴の由栗いも。
そのおいしさの秘密を教えてもらおうと向かったのは栗山町。井澤農園の井澤孝宏さんにお話を伺いました。

その①ゆっくり育てること

由栗いもは植え付けの時期が早く、収穫時期も少し遅い。つまり、土の中にいる時間が長いんです!

そらち南さつまいもクラブ 井澤孝宏さん
「由栗いもは本州よりおよそ1か月早く、5月中旬くらいに植えて、さらに1か月ほど遅く10月に入ってから収穫します。収穫が10月中旬を越えると、霜が降りる可能性が出てきます。サツマイモは非常に寒さに弱い作物なので、霜が降りる前にどうしても収穫しないといけない。なので植え付けを早くして霜が降りる前に収穫をします。本州産に比べてサツマイモ自体が土の中にいる時間が長いということで、サツマイモ自体のおいしさが増すという感じです」

その②ゆっくり寝かせること

由栗いもはなんといっても甘い!ゆっくり寝かせることでデンプンが糖に変わり、甘さが増します。寝かせることが何より大事なんです。

ゆっくり寝かせるのに欠かせないのがこの赤い施設。収穫された由栗いもはこの中で3日間密閉され、30度以上の温度と90%の湿度で保たれます。

この工程がサツマイモを長く寝かせるのに一番大事な工程だといいます。

そらち南さつまいもクラブ 井澤孝宏さん
「サツマイモは割ってしまうと生傷のようになってしまい(右)、雑菌が入りやすくなるんです。しかし、この工程がサツマイモの生傷を“かさぶた”のようにしてくれるんです(左)。かさぶたにすることによって雑菌が入りにくくなるので、長期保管が可能になります。」

由栗いもは収穫して4か月ほど寝かせた今が一番おいしく食べられる時期!ということで、自称・焼きいもマスターの田中誠司さんにおいしい由栗いもを焼いていただきました。

こんがり焼けておいしそう…!ここでも「ゆっくり」焼くことがポイントだそうです。

そらち南さつまいもクラブ 田中誠司さん
「竹串をさしてから30分くらい焼いて、さらに握ったときに全体がくにゅっとなったらおいしく焼きあがっています。家庭のオーブンだと160度の温度で2時間くらいじっくり。温度を低めにして焼くとしっかり甘みが出ます。強火じゃなくて弱火にするところが大切です」

ゆっくりと作られた由栗いもの焼きいも。やわらかく、中は濃い黄色です。いただきましたが、いや~やっぱりおいしい!!濃厚な甘みとしっとりとした食感が楽しめて、皮もパリッと香ばしく焼きあがっています。最高でした!!!!

井澤さんはたくさんの人においしく食べてもらいたいと話します。

そらち南さつまいもクラブ 井澤孝宏さん
「1~2月が一番おいしい時期かなと思います。スイーツにしても料理に使ってもとてもおいしいので、いろんな人に食べてもらいたいサツマイモになっています。一人でも多く由栗いもを食べて“おいしいな”と思ってもらって、さらに作っている生産者の顔も浮かべてもらえたらなと思います。目指すのは地域に愛されるようなブランド芋です。1つの特産品として根付いていけばうれしいです」

今食べごろの由栗いも。さらに堪能できるイベントがまもなく栗山町で始まります。それが「由栗いもフェスティバル」。町内12の飲食店で由栗いもを使ったオリジナルメニューを提供するんです。一足早く、楽しみたい!そんな坂井の願望を特別に叶えてくれたのがこちら…

その名も「由栗いものパフェ」。パフェをメインに提供しているお店で、フェスティバルのために新たに開発しました。由栗いものアイスクリームに甘いシロップにつけた由栗いも、そして由栗いものチップス…。ふんだんに使われています!!この3種類の由栗いものハーモニーがたまらない!焼きいも以外にも由栗いもの魅力を発見できる一品です。

パフェには店の石井さんのこだわりもたくさん詰まっています。

cafe&bar くりとくら 石井翔馬さん
「サツマイモと言えばやはり焼きいものイメージが強いので、全体的に焼きいもをイメージして作っています。一番下のお芋のシロップ漬けの由栗いもの上に落ち葉に見立てたパイを乗せて、表現しています。3種類の加工方法を採用して食感と味でいろんな由栗いもを楽しめるように作っています。由栗いもは、栗山町と由仁町の若手農家さんたちが今、頑張って作って広めているので、町内の飲食店みんなで協力していろんなメニューを提供することによって今後もっともっと有名な特産品になればいいなと思います」

サツマイモ「由栗いも」の魅力については、16日(木)午後6時40分からの「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」でご紹介する予定です!ぜひ甘くておいしいサツマイモを一緒に食べましょう♪

取材後記

味はもちろんですが、生産者や地元の方々の由栗いもにかける情熱や愛情の深さも含め「由栗いもの魅力」を知ることができました。今回の取材でもう一人、とっても詳しく由栗いものことを教えてくださった方がいます。井澤孝宏さんの妻、井澤綾華さんです。取材当日も息子の孝亮さんを連れて笑顔で対応してくださいました。実は、管理栄養士の資格を持ち、料理研究家としても活動されているんです!そんな井澤綾華さんに由栗いもを使ったおすすめの食べ方を聞くと、「コロッケ」「サラダ」「フライドポテト」とのことでした!さらに、スイートポテトなどのスイーツにも適しているんだそうです。ちなみに、井澤綾華さんが編み出した最新メニューは「由栗いもの塩バター焼き」。おいしそう…!レシピを知りたい方は、「そらち南さつまいもクラブ」のFacebookやInstagramをご覧ください!そんな井澤綾華さんも由栗いもを愛情たっぷりに育てていて「普段から子どもに食べさせてあげられるような手軽で身近なサツマイモにしたい。町の人が「おいしい」と言ってくれるものこそ、本当に地域に愛される『地域ブランド』だと思います」と話してくれました。

由栗いもは道内の一部スーパーなどで販売されているということです。また、さまざまな由栗いもを堪能できる「由栗いもフェスティバル」は、栗山町内の12の飲食店で2月18日から3月19日まで楽しむことができます。食べごろの今、いろんな由栗いもを堪能してみては♪

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2023年2月16日

前回は暖かい時期になるとたくさんのアユがやってくる黒松内町で新たに誕生した特産品「鮎燗」をいただきました!寒―い今、体を温めてくれる一杯です。
黒松内町の新たな特産品「あゆかん」とは?

ページトップに戻る