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親子で歩んだ18年間 父から息子へ送るエール

  • 2024年1月12日

去年のドラフト会議でプロ野球・巨人から育成6位で指名された旭川明成高校の千葉隆広投手。その千葉投手を支えていたのが高校の野球部の監督で、父の広規さん。プロ1年目にかける千葉投手の思いと広規監督が息子に送るエールとは。(旭川放送局  山中智里)

夢だった“プロ”の世界  地元からの熱いエール

千葉隆広投手
「わくわくしかない。いろいろな選手がいるので、それぞれ意見を聞いたり、競争し合ったり、刺激になることがとても多いので、そういう環境で野球ができることに関してとても楽しみ。自分自身負けず嫌いなので、勝負することを楽しみながら頑張りたい」

旭川明成高校の千葉隆広投手は去年10月のドラフト会議で巨人から育成6位で指名。小さい頃からの夢だった“プロ”の世界への切符をつかみ取りました。

千葉投手を支えているのは野球部の監督で父の広規さん。小さい頃から千葉投手に野球を教え、18年間、二人三脚で歩んできました。

千葉広規監督
「高校で行くのか大学で行くのか、どういう経緯をたどったとしてもプロの道に進んでくれたらとてもうれしいと思っていたので、まずはほっとしたというのが一番の感想」

指名を受けたあと、千葉投手の地元・鷹栖町では小学生の時に所属していた野球少年団の関係者による激励会が開催されました。“隆広を応援したい”とドラフトで指名されたときから次々に声が上がって開催されたこの激励会。会場にはおよそ100人もの人が集まり、熱いエールが送られました。

少年団時代の監督  沓村豊和さん
「チームの中の絶対的エースで、この子はプロ野球選手になるという印象は小さいころからあった。いつも笑顔を絶やさないようなみんなに愛されるような感じの子なので、これからも同じように頑張ってもらいたい」

千葉隆広投手
「小さいころから温かく応援してくれていて、今回の激励会でそのことを改めて感じた。鷹栖町の皆さんが、のびのび野球ができる環境をつくってくれたからこそ、ここまで来ることができたと思うので、これからも鷹栖町出身ということを誇りに思って頑張っていきたい」

親子二人三脚でこの冬も成長

千葉投手は去年夏の北北海道大会の決勝に旭川明成高校のエースとして先発しましたが1点差で惜敗。甲子園には届きませんでした。その悔しさをバネに、この冬も父の広規さんと一緒に練習を続けてきました。

広規さんは千葉投手の夏からの変化について、練習時、こんなひとことを笑いながらつぶやきました。

千葉広規監督
「太ももとかずいぶん大きくなったな。体重は過去一太っている」

身長1メートル75センチの千葉投手。この冬は下半身を中心とした筋トレを行ったほか、走り込みも欠かさず行った成果もあり、体重は81キロまで増えました。食事もバランスのよさを心がけたといいます。

千葉隆広投手
「夏から体重が5キロ増えた。おにぎり6個と弁当箱2つを毎日食べていて、これからまた夜ごはんも食べる予定。自覚はなかったが、制服のズボンを履くときにきつく感じたり、会った友達に『大きくなった』と言われたりするところで自分の成長を感じた。ある程度の筋肉や筋肉量、そして使っていてもそのままずっと力を出し切れる力が大切なので、そういう部分で体の大きさは大事になってくると考える」

息子から父へ、父から息子へ   最後のエール

広規さんの指導のもと大きく成長した千葉投手。親子で頑張ってきた生活はまもなく区切りを迎えます。広規さんと千葉投手のお別れの日が近づくこの日、親子で離れるさみしさを聞いてみると、2人は満面の笑みでこう答えました。

千葉広規監督
「全くない。出て行った以上、帰ってきてもらっても困るので(笑)。しっかり向こうで頑張ってもらいたい」

千葉隆広選手
「さみしいとかはない(笑)。帰ってきて父にいい報告をするというよりは、そういう報告がニュースなどで北海道まで届くように頑張りたい」

入寮日のこの日、旭川空港には、千葉投手の元チームメイトなど多くの人が見送りに訪れました。いよいよ出発のとき、千葉投手を見送る広規さんの表情は、晴れやかで、それでもずっと一緒にいた息子と離れる切なさも少しにじんでいました。

いよいよ親元を離れ、憧れだったプロの世界での挑戦が始まることし。親子二人三脚で歩んできた18年間を糧に新たな挑戦が夢の舞台で始まります。

千葉隆広選手
「一番近くで野球を教えてくれた父のおかげで、ここまで成長することができた。今までは大きく頼っていた部分があったが、ここからは自分がどう成長していくのかを見守っていてほしい。そして、頑張って家族に恩返ししたいと思う。10年20年後に18歳で巨人に入団したときに、こういうことをやっていてよかったという、これからの土台となるような1年にしたい」

千葉広規監督
「自分の持ち味を失ってしまうことが一番だめなことなので、自分らしさを忘れずにやってほしい。そして、やるからには一番上を目指してそこに向けて今何が必要なのかを見て考えて、一番良い景色を見せてほしいなと思うので、ぜひ頑張ってほしい。1軍で活躍して成果があったときに初めてお祝いかな」

取材後記

夏の大会から継続して取材させてもらいましたが、最後の目標をかなえるまでお祝い事をしないなど、たとえプロ野球選手になったとしても“ゴールではない”と特別なことを行わないのが千葉家のルール。千葉投手がプロの世界で活躍することへの家族の期待や思いが詰まっていたと感じました。私も大学進学時、18歳で親元を離れましたが、そのときの気持ちと重なりました。期待と不安を胸に飛び立つ息子、それを近くで見守る父親。これから本格的にプロの世界での練習が始まり、大きな壁にぶつかったり、自分で考えることが重要になったりと、今までとの違いに混乱するときもあると思いますが「野球が好きな気持ちは絶対に負けない」という千葉投手のことばを信じて、これからの活躍を応援していきたいと思いました。

2024年1月12日

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