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学校の避難訓練~昔といま~

  • 2023年5月10日

かつて学校の避難訓練と言えば、「授業中に非常ベルが鳴る」、「避難指示の校内放送が入る」、「校庭に移動する」、「人数を数える」、「時間を計測して終了」、という内容がほとんどでした。しかし年々大雨や地震などの自然災害が甚大化する中、より実践的な訓練を行う学校も出てきました。学校の避難訓練はどのように進化しているのでしょうか。北海道防災士会道南ブロック代表で、上磯高校の教諭でもある伊藤友彦(いとう・ともひろ)さんに解説して頂きます。

これまでの訓練では被害を防げない
道南は海に面した市や町が多いのが特徴です。近年、高所までの移動を含めた避難訓練に取り組む学校はあるものの、伊藤さんはまだ十分ではないと指摘します。背景にあるのは去年(2022)道が発表した、北海道の沖合で巨大地震と津波が発生した場合の被害想定です。最悪の場合、函館市だけでおよそ2万9000人もの死者が出るというシミュレーションが明らかになったほか、避難者の数は道南全体で最大11万人近くにのぼり、函館市は道内で最も多い「最大7万人」と予想されました。

伊藤さん
道南は、避難訓練に対してもう一歩踏み込んで意識を変えないといけない時代になっています。

先進事例は「地域ぐるみ」
では具体的にどんな訓練を行えばよいのでしょうか。伊藤さんが「かなり実践的」だという函館市の銭亀沢中学校の避難訓練を紹介します。
訓練は、震度6弱の地震が発生し市内全域が停電、水道も止まったという想定で行われました。

この中学校は避難所に指定されているため、体育館には地域の人もたくさん集まってきます。生徒は車いすの人や目の不自由な人、妊婦など様々な役割を務め、配慮が必要な人たちへの対応も学んでいます。

そして、段ボールベッドや簡易トイレの組み立てを学んだり、避難所生活に必要な情報を集めた掲示板を作ったりするなど、数日間の避難所運営ができるような体験型の内容です。

伊藤さん
この訓練は防災活動に取り組んでいる函館市女性会議が主催して、地域の人や市の職員も参加しました。道南でも避難所の多くは学校が占めますので、このように地域と学校が一緒に取り組む訓練は非常に高い効果を生むと考えています。

道南ではことし3月に、伊藤さんが代表を務める北海道防災士会道南ブロックが設立され、各地の避難訓練や避難所体験会の開催をサポートする活動を行っています。起こりうる災害への危機感の高まりとともに、学校の中だけで完結していた避難訓練が地域一体の防災活動へと発展していく動きが道南で広がり始めています。

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