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続・となりのヒグマ2020 web

  • 2020年9月30日

人とヒグマ、両者が距離を保ってともに暮らすために、どう折り合いをつけるのか。札幌市の5か所で住民が、草を刈ってヒグマが出にくくする「草刈り活動」が始まりました。草刈り活動ってどう始まるの? どうしたら続くの? 

初回放送:9月19日(土)午前7時55分~ 総合

今シーズンも、北海道各地で人とヒグマの軋轢が起きています。特にやっかいなのが市街地でのヒグマの出没です。家庭菜園のトウキビ、ゴミステーションの生ごみ、墓地のお供え物・・・。市街地にはヒグマを誘引するものがたくさん。
最大の対処法は、ヒグマを山から市街地に出没させないこと。キーワードは「草刈り」です。

「草を刈る」町内会の有志たち

草を刈るのは、ヒグマが身を隠しながら移動に使うヤブを取り除くことです。ことしの札幌市では、地域住民、ボランティア、学生、札幌市のヒグマ対策担当者などが出て、5つの地区で、ヒグマ対策としての「草刈り活動」を実施、広がりを見せています。

  • 5月31日 簾舞地区
  • 6月26日 藤野地区
  • 7月4日 真駒内南町7丁目地区
  • 7月21日 中ノ沢地区
  • 8月9日 石山地区

5か所は、どれもヒグマの出没情報が多い南区の一帯。ヒグマが出てきづらい環境を作って、「人の暮らしとヒグマの距離を保つ」のが狙いです。札幌市のヒグマ出没情報サイトによると、各地区では、草刈り活動のあと9月29日までにヒグマに関する情報はありません。

2020年12月28日追記:札幌市によりますと、この5地区では草刈り活動のあとヒグマの活動期が終わるまで、ヒグマに関する情報はありませんでした。

こうした草刈り活動は、何がきっかけで始まったのか、どうやったら活動が続くのか、2つの地区を取材しました。

 

ケース1 ボランティア+町内会有志

藤野地区の野々沢川一帯の草刈り活動は、6月に行われました。このあたりは、例年、野々沢川にそってヒグマが目撃されてきました。

ここでの「草刈り活動」のきっかけになったのは、環境市民団体エコ・ネットワークとNPO法人・EnVision環境保全事務所の活動です。
このグループは、藤野地区のとなりの簾舞地区で「不要果樹の伐採活動」をことしから始めました。かつての果樹園のサクランボなどが廃業したあともそのままになっていると、実った果実がヒグマを誘引してしまうからです。

果樹を伐採するボランティアの運営をエコ・ネットワークなどが、果樹の持ち主との橋渡しを札幌市が、それぞれ担う形です。
※こちらの活動については、「となりのヒグマ2020」を参照。

グループが次に始めたのが、草刈り活動でした。活動当日には、応募したボランティア15人に、地域の町内会の有志が草刈機を手に参加。札幌市のヒグマ対策担当者も加わって、あわせて25人ほどが出て、野々沢川にそった400メートルの区間で一気にヤブを刈り払いました。

草刈り活動のきっかけを作ったエコ・ネットワーク代表・小川巌さん
「最初は草が生い茂っているのに、2〜3時間草を刈ると、きれいになるのを実感できます。こうした場所は、他にもありますから、草刈りの活動が少しずつ広まっていくといいです」

※エコ・ネットワークでは、ボランティアを募集して放棄果樹を片付ける活動を続けていて、9月27日には、小金湯地区にある営業をやめた大規模な果樹園で、300本のサクランボの伐採活動を始めることにしています。

ケース2 楽しい草刈りで地域イベントに

石山地区の豊平川の河川敷での草刈りは、地域の人たちと酪農学園大学でヒグマの調査に携わる学生たちの手で続けられてきました。7年前、付近にヒグマが出没したことから始まり、今季も、手分けをして、300メートルの区間のヤブを刈り払いました。
この草刈り活動が、いまや地域の夏の恒例行事となるほど続いてきた理由は「楽しみの場」であるからです。

楽しみの一つは、地域のベテランと若者たちとの交流の場になっていること。地域の人たちと学生が、いくつかのグループに分かれて草を刈るため、普段は接しない世代同士がともに汗を流す貴重な機会です。

さらに、草を刈ったあと場所を移して開催される「勉強会」は「ヒグマについて知りたい」という好奇心をくすぐる場になっています。
ことしの内容は、学生たちが寸劇の形で披露した「ヒグマに出会ったらどうするか」と、札幌市のヒグマ担当者が発表した「札幌市内の草刈り活動の広がり」などでした。

参加した地域の人からは・・・。

「山菜採りに行くのでヒグマには注意しているんですけど、ヒグマを研究している人たちの話はとても参考になるんです」
「学生さんたちと話をしながらワイワイやるのは楽しいですよね」

体を動かす草刈りと、気になるヒグマについて「学ぶ場」がセットになっていることで、毎年、活動が続いていました。札幌市も「石山スタイル」として注目しています。

2020年9月19日
追記2020年9月30日

となりのヒグマ シリーズ

0755DDチャンネル となりのヒグマ2020へ
知床世界自然遺産の町・羅臼町で町民あげてのヒグマ対策が始まった!いっぽう、札幌では果樹の伐採ボランティア始動!(2020年6月20日初回放送)

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