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「謎の風船」どこから?何のため?

  • 2022年6月10日

みなさんからの投稿をもとに取材するシラベルカ。今回はこの春から始めた「シラベルカLINE」でいただいた、ある写真についてです。 「釧路町昆布森海岸に流れ着いた風船の解読をお願いしたいです!中国語でしょうか?どこか遠くの国から釧路へ流れ着いた風船🎈気になって調べてもわかりませんでした。よろしくお願い致します!!」(釧路市・なつみさん) 何ともミステリアスですね。

翻訳してみると・・・

投稿者のなつみさんに伺うと、実際に流れ着いたのは4月末、拾ったのは釧路町昆布森に住んでいる親戚のおばさんだとのこと。その後5月11日になつみさんが実際に見て写真を撮ったんだそうです。おばさんに「なんて書いてあるのか調べて欲しい」と頼まれたものの、SNSに投稿してみたり自分なりに調べても全く分からずじまいで、シラベルカに投稿していただいたとのことでした。
早速、専門の方に翻訳したもらったところ以下のような文面であることがわかりました。

那就希望我们 两年之后还能重逢 一起成为更好的人 是我们的◯◯◯(判読不可能)
(私たちが2年後また再会できることを祈ります。一緒にもっと良い自分に成長しましょう 私たちの○○○)

小郭旭昂 一年又一年 ---永远是你的小杨思晴
(郭旭昂ちゃん 一年また次の一年へ ---きみの永遠の杨思晴ちゃん)
どうやら何かの願い事を風船に託して飛ばしたもののようです。

もう少し深掘りすると・・・

どんな人がどんなシチュエーションで飛ばしたのかもう少し詳しく知りたい!と訪ねたのは北海道大学文学部・中国文化論研究室の武田雅哉特任教授(右)。中国江西省出身の留学生、熊征(ゆうせい)さんにも加わっていただきました(左)。

武田教授には「中国人が空を飛ぶことにどれだけの関心があるのか」をまとめた「中国飛翔文学誌」という著書があります。

(武田教授)
「中国の最初期の文字資料には飛翔の物語や観念が頻繁に出てきます。『空』は中国人にとって願いをかなえてくれるところ、憧れの場所と言えるでしょう。空に飛ばす『凧』は中国が起源で世界じゅうに伝播していったと考えられています。竹の骨組みに紙を貼って熱気球の原理で飛ばす『孔明灯』は吉祥を祝う習俗としてだけではなく観光の目玉としても広く知られています」

なるほど、中国の人と空には昔から深いつながりがあるんですね。
熊征さんには誰が、何のために飛ばしたか、推理してもらいました。

(熊征さん)
「『郭旭昂』は男性、『杨思晴』は女性の名前だと思います。親しい間柄では名前に『小』をつけることがありますが、フルネームにつけることはあまりありません。おそらく中学生や高校生などの子どもではないかと思われます」
「中国ではお祭りなどのイベントの時に願い事を風船に書いて飛ばすことがあります。親しい子ども同士だとすると、もしかしたら卒業式かもしれません。『2年後また再会』とあるので転校か留学で2年間離れ離れになってしまうことになり、再会と永遠の友情を誓って風船に思いを託したのかもしれませんね」

はるか2000キロを旅してきた風船。どんな人がどんな願いを込めて飛ばしたのか、想像してみるのも楽しいですね。

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