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ことし春先の札幌市、風が強かった?

  • 2022年7月11日

ご自身が暮らす地域でことしは「風が強い」、そう感じた人はいらっしゃるでしょうか? 皆さんの疑問に答えるシラベルカ。今回は札幌の風に関する疑問を調べました。 

今回の投稿は春先に届いたこちらの疑問です。 

「ここ最近は札幌市内の風が、晴れている日もそうじゃない日も強すぎる気がします。 風が強い日が多いのは土地柄なのでしょうか?」 

私は、山々に囲まれた盆地から、4月に札幌市へ引っ越してきたばかりです。その影響もあるのでしょうか。投稿コメントを読みながら、私も「春先に、札幌って風が強いな」と感じたことを思い出しました。この疑問、まずは、風や雨などを観測している、札幌管区気象台に取材しました。

例年どおりだった?! 札幌市の風

話を聞いたのは札幌管区気象台の天気相談所で働く四宮茂晴さん。日頃は、市民から寄せられる天気に関する質問や悩みを受け付けるだけでなく、雨や風、雪などの観測データの分析も行っています。
早速、投稿者の疑問について質問してみると・・・

札幌管区気象台 天気相談所 四宮茂晴さん
「実は、天気相談所にも春先に『きょうも風が強い気がする』といった声や『こんなことって今までなかったのでは』というご意見が数件寄せられました。なので、本当にそうなのかということで少しデータを調べてみました」

なんと、相談所にも似たような疑問が寄せられていたとのこと。問い合わせを受けて4月と5月の札幌で観測した風のデータを過去20年分調べた四宮さん。風に向かって歩きにくくなり、傘をさすことが出来なくなるという最大風速10メートル以上の日が、それぞれの年で何日あるのか調べました。
その結果、ことしの4月と5月では風速10メートルを超えた日が合計20日。去年は23日でことしより多く、ここ20年で見ても、特別多かったとは言えないことがわかりました。

ことしは風が強い日が「集中」していた

それでも、何かことしの特徴があるのではないか。調べをすすめた四宮さんが次に着目したのは、風が強まった日の「集中」でした。下のグラフはことし4月と5月の最大風速について10メートル以上だった日を赤で示したものです。4月10日前後、それに大型連休の期間などに赤い部分が「集中」しているのがわかります。

札幌管区気象台 天気相談所 四宮茂晴さん
「いろいろな見方はあると思うのですが、1日だけ強い風が吹いてもなかなか感じる感覚にはならないと思うので“集中”しているっていうところがポイントだったんじゃないかと思っています。4月に雪がとけて、特に屋外で作業する機会も増えたことで、風が強いと感じる日が多かったのかなと思います」

札幌の地形と強い風の関係?

札幌に来て風が強いと感じた私。そもそも札幌の地形って他の地域と比べて風が強くなりやすいのでしょうか。改めて、札幌管区気象台に聞いてみました。
札幌市で風が強まる時の特徴については、地形からも説明できるということです。
低く平らな石狩平野の東と西には山が連なっています。このため東西に吹く風はあまり強くないのですが、平野を吹き抜ける南南東や北北西の風は、強くなる傾向があります。

そして東に高気圧、西に低気圧がある場合は、南南東の風が。東に低気圧、西に高気圧がある場合は、北北西の風が、石狩平野を縦断するように強く吹きやすくなります。

地域の風を知る!

今回、複数の専門家に話しを聞きに行きましたが、北海道大学の低温科学研究所の渡辺力教授は、自分が暮らす地域の風について関心を持つことが大切だと話してくれました。

北海道大学 低温科学研究所 渡辺力教授
「風っていうのはすごくローカルな条件に大きく左右されてきます。
 同じ地域で狭い範囲であっても、そのときの風向きですとか、障害物があるかないかによっても風って言うのは変わってくる。同じ地形でも、風が吹きやすい方向というのがあるので、住んでいる地域の風がどのようなときに強くなりやすいのか事前に把握しておくことが強風災害への備えとして大切なことなのではないかと思います。」

風は強まれば大きな災害も引き起こします。風に関心を持ち、その地域に吹く風の特徴をつかんで生活することは防災にもつながります。
これから災害に関連する取材をする際にも、地域の風の特徴を意識しながら取材を進めていきたいと思います。
 
札幌放送局記者 髙山もえか/山口琉歌

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