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暴風雪と向き合う街、留萌市の除排雪対策の今とこれから

  • 2024年2月9日

毎年、冬の時期に暴風雪に見舞われる日本海側の留萌市。海沿いの街らしく、雪を伴った強い風が吹き、ところどころで吹きだまりが発生します。そして、その降り方は年々強まり、去年12月には、積雪が平年の3倍を超えるなど、人々の日常生活に大きな影響を与えました。積もった雪で道路は狭まり、路線バスは運休を余儀なくされました。都市機能を維持するのに不可欠なのが、すばやく的確に行われる除雪と排雪です。留萌市は、近年の暴風雪と正面から向き合い、対策をとり続けてきました。その対策の今とこれから。留萌市の担当者や除排雪事業者を取材して見えてきた今後の対策で必要なことは何か、リポートします。(取材:旭川放送局  田谷亮平・留萌支局  土田史世)

近年、強まり続ける暴風雪

「もう3時間以上も雪かきを続けています。本当に今年は異常だ。
毎日、明日は降らないでくれと祈っています」
「もういい加減、いいです。もう勘弁してほしいです」

留萌市は、日本海側の地域特有の強い風に加え、降雪量も年々増加。去年12月には、積雪が平年の3倍を超えたほか、12月18日の午後4時までの24時間に降った雪の量は、74センチに達し、観測史上最も多くなりました。路肩に積み上げられた雪で道幅は狭まり、行き交う車がすれ違うこともできない状態に。渋滞も発生したほか、地域に欠かせない公共交通機関の路線バスも、通行ができないため、運休になる日が増えました。高齢化が進む地域の“市民の足”が機能せず、病院やスーパーへの行き来が困難になりました。

 

留萌市の対応策は

留萌市で除雪と排雪を担う、都市整備課の前田和宏課長は、令和3年度の大雪で都市機能がマヒしたことを目の当たりにし、年々増え続ける大雪に対応しようと、検討を重ねてきました。

留萌市都市整備課  前田和宏課長
「従前の理屈や経験が必ずしも通用しない雪の降り方になってきているので、そこをどれだけ想定範囲を広げられるかが大事になってくる」

地域や事業者と検討を重ね、2つの連携策を推し進めてきました。

 

連携策①事業者連携

その1つが、除雪と排雪を実際に担う事業者同士の広域連携です。留萌市では、市内を8つの地域にわけて、それぞれ別の事業者が担当しています。1つの事業者が1つの現場を担うため、地区の中では業務の連携が取りやすい分、他の地域との連携はほとんどありませんでした。ことしは、8つの事業者で1つの組合をつくり、地区ごとの作業の進捗な雪の降り方の情報の共有を始めました。横の連携を深めることで、作業が遅れている地区には、スムーズに作業が終わった地区から応援を送れるようにしたのです。事業者も、手応えを感じています。

堀健巧業株式会社  佐藤博代表取締役社長
「人手がなんぼあっても足りないですよね。ただでさえ人がいない状態ですからね。組合化することによってスケールメリットが大きくなりますので、その分、他のところから応援態勢とることができますので。うまくいっていると思っています」

 

連携策②管理者連携

そして、もう一方の連携策が、排雪を担うトラックの移動ルートを確保するための連携です。留萌市の雪捨て場は2か所です。ここに、除排雪した雪をトラックで運んで捨てていきます。しかし、雪捨て場までの道路で路肩に雪が降り積もったりして、道幅が狭まると、渋滞が発生し、排雪のためのトラックが往復する回数が少なくなります。そこで、留萌市は、国道を管理する国と、道道を管理する北海道と連携し、雪捨て場までの道をまず最優先で一気に除排雪することにしました。これにより、トラックの運搬や行き来がスムーズになり、除排雪の回数を増やすことに成功しました。

 

それでも限界が・・・

しかし、それでも連日のように大雪が降り続けると、対応には限界があります。除排雪用の重機や人手が限られているからです。市は、生活道路や歩道などは、地域住民の協力は不可欠だといいます。そこで、市が用意したのが、排雪のためのダンプカーを無料で貸し出す制度です。市は、ことしから、地域の3軒以上の共同の排雪を条件に、この制度を始めました。トラックに雪を乗せるのは、自力か、他の重機の利用が必要ですが、ダンプカーは運転手もついていて、地域にたまった雪を捨てることができます。

留萌市都市整備課  前田和宏課長
「共同の通路とか含めてということで、ここに雪を山にしているんだよねと。事前に下見をして調べる必要はあるのですが、これを排雪できれば、道路の空間も確保できます。地域と共同して除排雪を行うという意味では、いい制度かなと思っています」

 

地域にあった持続可能策を

年々、人々の想定を上回り、地域を襲う暴風雪。災害を未然に防ぎ、地域住民の生活を守るためには、重機や人手を増やす必要もありそうですが、前田課長は、人口減少社会を踏まえ、その地域の実情に合わせた対策を検討することが重要だと言います。

前田課長
「いかに対策を持続していくかというのが大事。置かれている社会状況とか、人口減少社会であるなかでどうやって対応していくかというのがむしろやらなくてはいけないことだと考えています。持続できる体制づくりをつくっていくこと、それを次の世代につなげていくということが大事だなと考えています。より現実的なところに視点を起きながらやっていくことが大事ですが、非常に難しい案件だと思います」

地域の暴風雪対応の模索は、限られた人とモノで知恵を絞りながら、今後も続いていきます。

2024年2月9日

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