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「藤丸」再建どうなる? 閉店1年で新会社・村松社長に聞く

  • 2024年1月31日

道東最後のデパートだった帯広市の「藤丸」が閉店して1月31日でちょうど1年。どんな1年だったのか、そして藤丸はいつ、どのように再開するのか。藤丸の再建を目指す新会社の村松一樹社長に聞きました。 
(聞き手:帯広放送局記者 青木緑)

青木)この1年を振り返ってどんな1年でしたか

チーム藤丸は私を含めて6人で構成されています。私以外は30代40代の若者たちと今、このプロジェクトを進めています。

若い人たちと一緒にする仕事、これはやっぱり難易度も高いので、ワクワク、ドキドキ、ヒリヒリする毎日。そんな毎日を1年過ごさせていただきました。

インタビューに応じる村松一樹社長

青木)長かったですか、短かったですか

今振り返ると、長くもあり、短くもあるというところですね。あっという間の1年でしたが、この濃密な1年、1つ1つを振り返ると、長かったなと思っています。

青木)具体的にどんなことが思い出されますか

建物として耐震対応しなければいけないということがあります。それをどのようにその後、利活用して事業を展開していくかということがひとつの大きなテーマなんですが、そこをどのような方策で、これは本当に10以上ある選択肢の中からどう選ぶかということを選択するというところ、ここがいちばん大きな話ですね。

やはりこのすばらしい十勝・帯広、その顔となる中心市街地の価値は、人々が集う、交流する場ということです。そのランドマークであるのが藤丸です。

その藤丸の名前を継いでいくわけですから、市民が集う、交流する、コミュニケーションする、ということをおこなう場所の再開に向けて、いろいろな形でやってきました。

青木)この1年はお歳暮販売など、いろいろな取り組みがありました

百貨店のひとつの機能は贈答品だと思います。お歳暮に向けてうちのチームが垂直立ち上げでECサイトや、ヤマト運輸の協力、日産自動車の店でも受け付けをしました。

結果、(販売)1500個という目標を立てていたんですが、2000個を超えるオーダーをいただき、あらためてお客様の藤丸に対する期待や応援というものを強く感じました。

青木)藤丸の備品を地域の人たちに無料で提供するイベントもありました

これは藤丸の思い出の品を皆さんに持ち帰っていただき、思い出のお裾分け、ではないんですけど、ぜひそれを長く大切にしていただきたいという思いで企画し、多くの皆さんに行列を作っていただいて、品を持って帰っていただきました。

帰るときの笑顔、ご家族で来ていただいた子どもの笑顔や喜んでいる姿を見て、とてもうれしく思うイベントでした。

長蛇の列ができた備品提供イベント

青木)私も11月のイベントを取材し、建物の周りをぐるりと囲むような行列を見て、多くの人の“藤丸愛”を実感しました

思い出のお裾分けということで企画したんですけれど、寒い中での行列を見て、藤丸に対する思いや応援というものを強く感じました。

青木)地域で愛される藤丸の存在というものを今後どうしていくのか、現時点でどのような計画なのか教えてください

先ほど申し上げましたが、このすばらしい十勝・帯広、その顔である中心市街地、ここの価値というのは人々が交流する場、集う場、コミュニケーションする場、笑顔が集まる場所ということですので、できるだけ早くに再開したいと思っています。

大型の商業施設が1つ2つと閉店を決めている中で、いかに早く再開するかというのがニーズとして生まれてきています。いろいろな調整をしなければならないこともありますが、できるだけ早くというところで進めています。

加えて、1月1日の能登半島の地震で、あらためて日本はいつどこで大きな地震が起きるかわからないと、耐震を早めに施すということ、これが安心安全なまちづくりと安心安全に市民が集ってもらうためには必要なことだと、あらためて受け止めています。

青木)この1年だけを見ても計画はいろいろと変更されてきました。建物をそのまま使う、というときもあれば、解体して新しいものを作る、という計画もありました。二転三転、という批判の声もあったと思います。計画を定めるにあたりどのようなことが課題になっているのでしょうか

最初に伝えさせていただいたのは、住居を含めた複合ビルを作りたいというふうに申し上げました。複合ビルの中にはオフィスもあるしクリニックもあるでしょうし、もちろん商業施設があると。

これが我々の最初の理想でした。ただ理想を実現するためには、6年、7年、8年という時間軸が必要になってくる。最初はそれをやりたいと思いましたが、先ほど申し上げたとおり、大型商業施設が1つ2つと閉店を発表する中で、やはり6、7年は待てないというお声を多くいただいて、スケジュール感を短縮する、短縮するためには、理想ではない形で、取捨選択する必要があると。取捨選択するという作業で、最初にお伝えしたものから、第2案、第3案という形で変遷しているということです。

従ってそのときそのときの状況をふまえて、やはり小売業ですので、お客様のニーズ、思い、「そこまでは待てないよ」、「早くに再開してほしい」、そういうことと、じゃあどういうものがそこに必要なのかということを織り交ぜる、それを折り合いをつけるということで、今、話が変化していくということで、マーケットニーズというか、需要に基づいた対応をしているということです。

青木)今も日々、打ち合わせを重ねて計画を検討している段階かと思いますが、私も含めて市民としては、一体どのようなものができるんだろう、ということは気になります

ひとつ言えるのは、「笑顔で市民の皆さんが集える場所」というものを実現したいです。それと時間軸との折り合いですね。これを最大公約数という形で答えを見つけて、そこに向けて決めて進んでいきたいというふうに考えています。

青木)再開まで市民の関心をつなぎとめるために今後どのような取り組みを考えていますか

ひとつは好評いただいた贈答品、お歳暮ですね、これをお中元に向けて、さらに受け付けなどの改善を施して、より購入いただきやすい仕組みを作り、品揃えもより充実させるということをやっていきたいと考えています。

加えて、去年も広小路マーケットなどのイベントに参加させていただいていますが、今年もまた暖かくなりましたら、藤丸の名前でブースを設けるとか、そういうことも検討していきたいと考えています。やはり藤丸という名前を受け継がせていただいていますので、その名前をできるだけ市民の皆様に見ていただく、それをつなげるための取り組みをしていきたいと考えています。

青木)お祭りなどで藤丸の名前を見ることが増えるということですね

そこはご期待ください。

青木)帯広市では大型店舗の閉店が相次いでいますが、どのような中心市街地を作っていきたいか、意気込みを教えてください

私どものチームがやっているのは、我々のスタートとしては、「まずは藤丸を廃虚にしない」というところから始めています。まずは廃虚にしない。

その次は、いかに市民に集っていただく場所にするか、ということです。

廃虚にしないということは、今、第1段階で実現できましたので、次は時間軸といろいろな制限などとの折り合いをつけて、市民が集う、交流がはかれる、笑顔が集まる場所、その実現に向けてできるだけ早く再開したいと考えています。

青木)にぎわいが早く戻るように、という期待を持っていらっしゃいますか

いわゆる実販売というか、人々が集うことが、ネット販売とは違う価値だと思います。それが実現できるのが街なかだと思っていますし、よりそれができる交通網インフラの結節点ですから、それを図れるのが街なかの強み、価値だと思っています。

その価値を生かした形での藤丸の再開につなげていきたいというふうに考えています。

青木)周辺の商店街への波及はどのように期待できますか

まずは今、藤丸が閉店して、とても寂しい状態ですよね。これがにならずに何らかの形で集える場所を実現する。

「廃虚」と「集える場所」とでは180度違いますから、集える場所を何らかの形で我々は実現しますので、それがかならず周辺の商店街、周辺の設備にもプラスの要素として働く、というのが我々の役割だと考えています。

お待ちください、よろしくお願いします。

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