NHK札幌放送局

欧米でアツい“アドベンチャートラベル” 道東からどう発信?

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2023年9月15日(金)午前9時23分 更新

北海道で国際商談会が開幕した体験型の観光ツアー「アドベンチャートラベル」。 地元の自然や文化とふれあいながら数日間にわたってアクティビティーを体験する、新たな観光のスタイルだ。欧米の富裕層を中心にニーズが高まっていて、高い経済効果が見込まれている。
アドベンチャートラベルで外国人観光客誘致の増加を目指す釧路市の取り組みを取材した。
(NHK釧路  梶田純之介) 

アドベンチャートラベルとは?

政府観光局によると、アドベンチャートラベルとは「アクティビティを通じて地域の自然・文化を体験することにより、旅行者自身が、未体験の多様な価値観に触れ、旅行者自身の内面に変化がもたらされる」旅行スタイルだという。いったいどんな旅行なのだろうか。
たとえば、冬の道東を5日間で巡るこちらのモデルコース。

1日目 釧路空港から阿寒湖温泉へ。
    湖畔の森林をガイドとともに歩き、自然保護の歴史を学ぶ。
2日目 専門の登山ガイドなどとともに雌阿寒岳に登頂。
3日目 「阿寒湖アイヌコタン」を訪れ、アイヌ文化に触れる。
    屈斜路湖外輪山の藻琴山に移動し、スノーシューで登山。
4日目 釧路川源流域でカヌーツーリング。
    摩周湖畔に移動し、スノーシューでハイキング。
5日目 鶴居村の牧場で2時間の乗馬体験。
    軍馬生産の歴史を学びながら景色を楽しむ。
    釧路湿原内のビジターセンターを訪れ、野鳥観察。
    釧路空港に戻る。

ただ観光するのではなく、自然の成り立ちや、そこに住む人間の営みに思いをはせながら、アクティビティーを次々とこなしていく。従来の旅行と比べて、旅行者自身の「学び」が深まる点に支持が集まっている。
観光業界からの期待も高い。欧米の富裕層が長期間滞在するため、現地での消費額が大きい傾向にあり、経済効果が大きいとされる。

観光客増加目指す釧路市 課題も

釧路市も、アドベンチャートラベル客の増加に期待を寄せている。
しかし、課題も。欧米における釧路など道東の観光地の知名度の低さである。

中国などアジアからの宿泊客は8割以上を占める一方、アメリカやヨーロッパなどの欧米からの宿泊客は1割程度。
アドベンチャートラベルの盛んな欧米に向けた発信力の強化が求められている。

海外への情報発信の強化を目指す釧路市は、ある人物に白羽の矢を立てた。
香港出身のアーネスト・モクさん(28)と、フィンランドで学生時代を過ごした大川彩果さん(28)である。北海道の雄大な自然に魅了され、釧路市の阿寒湖畔に移住した2人。地域への愛や仕事への熱意を買い、釧路市は2人を「アドベンチャートラベル推進員」に任命した。

2人の強みは、外国人や若者の視点から、英語で情報発信ができること。
9月上旬のある日、2人が取材したのは、阿寒湖畔の「ボッケ遊歩道」。
火山活動の影響で泥から火山ガスが噴き出す「泥火山」や、リスなどの野生動物が住む森林が見どころだ。
アドベンチャートラベルのコースの1つにもなるというこの場所を、いろいろな角度から撮影。

アーネスト・モクさん
「湖の美しい風景もそうですけど、音も楽しんでほしいんですよね。本当に静かな感じで、歩いてたらカサカサと音がするんです。歩いたらもっと楽しめるんじゃないかなと」

英語で発信!

事務所に戻ると、取材した写真を見ながら、どう発信するかを考える。
インスタグラムのフォロワーは1000人あまり。持ち前の語学力を生かし、英語で発信している。

インスタグラムでは、アドベンチャートラベルの旅行客に、本物のコースを目で見て実感してもらえるよう、写真とともに、所要時間や移動手段も説明している。

アーネスト・モクさん
「北海道はアクセスがすごく特殊な場所で、それほど便利でもないんです。ある程度合理的に滞在時間や移動時間も考慮して、これくらいのコースがいいかなという感じで考えています」
大川彩果さん
「お客さんが情報を手に入れるルートがまだ限られています。英語化されていない、アドベンチャートラベルに特化していない、情報が点在しているといった問題点もあります。『ここを見れば地域の情報が集められる』というプラットフォームを作りたいと考えています」

情報発信の強化に向け、2人は釧路市の担当者と打ち合わせを実施。欧米の観光客は現地の独自の文化や歴史を好む傾向があるとして、アイヌ文化の発信に力を入れることを確認した。

釧路市阿寒観光振興課 阿部貴倫 課長補佐
「SNSなどさまざまな媒体を使って情報発信をしていただいて、この地域にアドベンチャートラベルが根付いて地域に有益なものとなることを期待しています」
アーネスト・モクさん
「阿寒だけでなく、道東地域は風景が北欧に似てるという声が多いんです。実は日本ってこういうスケールのでかい自然があるんだよ、とみなさんに知ってほしいですね」

2人は今後も釧路市と協力しながら、SNSの発信や、メディアを招いたテストツアー、それに海外の旅行代理店へのアピールなど、情報発信を積極的に行うことにしている。釧路が世界に誇る“アドベンチャートラベルの聖地”になる未来も近いかもしれない。

2023年9月15日

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