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南富良野町長選挙で初当選 高橋秀樹新町長に聞く

  • 2022年4月7日

町発注の工事をめぐる官製談合事件で町長が逮捕され辞職したことに伴う南富良野町の町長選挙が5日に告示され、前副町長の高橋秀樹氏(59)が無投票で初当選しました。 今後の町政にどのように取り組むのか。インタビューしました。 (聞き手:NHK旭川放送局 海野律人記者)

まちづくりへの思い

まず、今後のまちづくりへの思いを聞きました。

高橋新町長
今回、立候補表明が非常に遅かった。基本的には副町長の任期が3年半まだあるなかで、自分としてはそれを全うさせてもらいたいという思いでいた。しかし、さまざまな事情のなかで、最終的に立候補を決意するに至った。まずはやはり、リリーフというわけではないが、いま町政として、町として抱えているさまざまな課題にしっかりと取り組んでいきたいというのが1つの動機なので、現時点ではそういう思いのなかで、まちづくりを進めていきたい

高橋新町長
どの町村も抱えているのは人口減少、それによっての過疎化、そして少子高齢化への対応。これがどうしても最初に出てくる課題で、南富良野町もそれは同じ。ただ、この人口減少問題は、社会増減あるいは自然増減いろいろ事情はあるが、そう簡単に人口を増やすと言っても策はない。そのなかでどうやっていかに町の機能を維持していくか、そこが非常に大きな課題だと思う。人口増は難しいが、しかしそのなかで歴史、伝統、文化をしっかりと残していくのがいまの町の方向性ではないか。いま、道の駅を核としたいろいろな取り組みも進めているので、基本的にはそういう方向だと思う

人口減少への対応は

直面する人口減少、過疎化に対して、さらに聞きました。

高橋新町長
最低限、町を維持していく。地域のコミュニティーを維持していく。その部分については、なんとか維持するような方向で、できることに取り組んでいくことだと思う。南富良野町は5市町村に囲まれているが、例えば大きな市がすぐ近くにあるわけでもない。旭川市の近くにあるのであれば、その住民に少しでもこちらに住んでいただくような施策はできると思うが、それも難しい。少しずつ、例えば今回の道の駅もそうだが、整備することによって交流人口を増やしていく。そのことによってまた新たなビジネスが始まり、そのことによって雇用、そして定住人口が増えていく

人口減少対策として、高橋新町長は、子育て支援やアウトドア振興に力を入れる考えを示しました。

高橋新町長
例えば医療費無償化、それから学校給食費の負担軽減。そうやって経済的負担を少しでも減らしていくことで、子育てしやすい環境を作っているし、共稼ぎが非常に増えてきた状況のなか、『放課後子ども教室』だけではやっぱり足りないということで、昨年から『放課後児童クラブ』も開設した。そういうところは他町村よりも充実していると思うし、こうした取り組みで子育てしやすい環境、共稼ぎもしやすい環境を整え、そこに魅力を感じて住んでいただける人を増やしていかないといけない

高橋新町長
町内には『かなやま湖』があって、カヌーが体験できる。幻の魚・イトウも生息している。そういったアウトドア、また落合地区では空知川のラフティングに非常に人気がある。トマムや富良野からたくさんの人がラフティングに来ている状況がある。こういった“資源”に着目して、ラフティングやアウトドア、サイクリング、バックカントリースキー、冬も含めていろいろなメニューがあるので、アウトドア体験を通じてしっかりとアドベンチャーツーリズムの形で観光客を呼び込んでいく。道の駅を拠点として展開することでさらにアウトドアガイドがもっともっと集まってくれば、人口増にもつながってくる

コロナ禍 町の経済は

長引くコロナ禍。地域の経済は影響が続いています。地域を守る取り組みが求められています。

高橋新町長
町内のお店は町民にとってみれば大事な憩いの場で、これはなんとしても残していきたい。町もこれまで、いろいろな支援をしてきたが、まん延防止等重点措置が終わり、お店も再開するなか、本当にお客さんが戻っているのかが一番、気がかりになっているところ。商工会とも連携を取りながら、どういった対策がいいのか、また新たな対策が取れるのか。お店を残していくために考えなければいけない

高橋新町長
インバウンドの問題は南富良野町だけではなく国全体の問題。国レベルの話であり、私どもの町だけでどうにかできるものでもない。ただ、日本国内の旅行消費は、7割は国内のお客さん。インバウンドによる消費は3割だとよく聞く。しっかりと国内のお客さんをターゲットにしながら、頑張っていくしかない

官製談合事件と再発防止策

今回の町長選挙は、官製談合事件がきっかけでした。
逮捕された池部彰前町長を副町長として8年以上、支えてきた高橋新町長。事件をどう受け止めるのか、さらに再発防止にどのように取り組むのかー。

高橋新町長
やはり副町長をやっていて、組織のトップにそういう出来事があったときに、責任はあるのは当然のこと。町民の皆さんに対して社会的に当然責任があると考えている

事件の再発防止策は、組織としてきっちりそういうことが二度と起きないように対応する。そしてそれをしっかりと町民の皆さんにお示しする以外に方法はない。まずは具体的に再発防止策をしっかりやっていくことだと思う。そしてそのことに対する丁寧な説明と、やはりもう二度とこういうことは起こさないということを、町民の皆さんにしっかりと伝えていくことだと思う。それ以外に方法はない

高橋新町長
入札予定価格の事前公表によって、予定価格に対する不正なアプローチをなくす。これを2年間くらい試行でやってみたい。そこが1つ大きな取り組みだと思う。情報管理もしっかりとやっていこうということで、あとは入札の運用の厳格化。一般競争入札、指名競争入札、そして随意契約、これは地方自治法に沿ってちゃんと運用されるべきだが、ここのところもしっかりと法令に従って厳密に適用させていく。いろいろな再発防止策を組んでいるが、外部の方の意見も聞く必要があるのではないかとも感じるので、必要があればそういう対応をとっていきたい

まずは特別職の人事、それから空席となっている課長職の人事を決めたい。再発防止策の取りまとめの中心は副町長になると思うので、その人選もした上でしっかりと私から引き継いで取りまとめてもらうということになる。もう少し時間はかかると思う

JR根室線 一部区間廃線

JR根室線の富良野・新得間について、南富良野町を含む沿線自治体は、鉄道の存続を断念し、バス輸送に転換する方針を決めました。地域の足をどのように守っていくのか、問われています。

高橋新町長
鉄路は町の歴史で発展の歴史でもある。鉄道の利用状況や、ご自身が乗る乗らないということは別としても、『鉄路がなくなる』ということに対する寂しさがあると思う。鉄路がなくなることで、直接、人口減少やなにかの事業に大きな打撃を受けるとかはあまりないと思うが、“なくなりっぱなし”となれば、それはとんでもない影響になる。バスに転換していくなかで、ピンチをチャンスに変えていく必要がある

高橋新町長
いまの鉄路は非常に不便な状況。逆にバス転換することによって利便性を上げていきたい。町の幾寅地区では、札幌や釧路に行く場合、JR石勝線のトマム駅を利用する。いまは車でトマム駅に行って、そこから列車に乗っている。これからのバス転換で、トマムと南富良野町、あるいはトマムと富良野市を結ぶルートも案として示している。国道38号線の富良野・新得間のバスと合わせて、こういったトマム・富良野間のバスがもしできれば、トマムや富良野に来る観光客をなんとか、バス、公共交通でつなぐことによって、南富良野町がハブとなってまた1つ大きなウェーブができる。バス転換はまちづくりとしっかりと連動させ、これから町民の皆さんにも説明しながら、ご意見をいただいた上で、詳細を詰めていくことになる

町民に伝えたいこと

最後に、町民に対して何を伝えたいか、聞きました。

高橋新町長
私が町長になると、政策の進め方は大きく変わってくると思う。また、変えなければいけない。町民の皆さんからしっかりご意見を伺い、それをしっかりと政策にまとめていく。パブリックコメントの形で町民の皆さんに意見を求めていく。そういうことをしっかり積み上げて、政策を具体化していくというのを少し、私はやってみたい

高橋新町長
そういうことによって、政策もより町民の皆さんが関わる形になる。行政の発案型というか主導型、行政が主導しないといけないこともあると思うが、もう少し町民の皆さんに提案していただいて、それを政策に結びつけていくということに取り組んでみたい。町民の皆さんからダイレクトに言っていただいて、それを政策として実現していく。そのことによって行政サービスを、町に対する要望も含めて実現していける。そういう形に少しでも近づけていきたい

町民の皆さんは、本当に複雑な気持ちのなかで、今回の町長選挙を見ていたのではないかと思う。私は今度は町長としてしっかり町政に取り組んでいかないといけない。皆さんの声をしっかりと町政に反映させる。当たり前のことだが、そこに尽きると思う。そういった姿勢でこれからも町政を進めていきたい

2022年4月7日 記者 海野律人

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