ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. アナブロ
  4. 北のことばお兄さん 「確信犯」の意味編

北のことばお兄さん 「確信犯」の意味編

  • 2024年1月18日

音更町出身の伊林です。今回は「博物館 網走監獄」で撮影です!
北海道内では広い範囲で雪が積もっています。そんな中「あいつ、いつも雪のせいにして『確信犯』的に遅刻してくるなぁ」なんて会話があるかも!?「確信犯」の本来の意味はご存じですか?

 (*この記事は4分半~5分程度で読めます) 

特殊詐欺の犯人は「確信犯」?

特殊詐欺の被害があとを絶ちません。犯人は、自分たちのやることが“悪いこととわかっていて”行為に及んでいます。「犯人は『確信犯』だからな…」などという会話がされるかもしれません。

日常会話で「確信犯」がそのような意味で使われることがありますが、本来の意味は違うんです。

「確信」している対象は

「確信犯」の本来の意味は“行為が悪いとわかっていてする犯罪”ではなく、政治的・宗教的などの信念から正しいと信じて行う犯罪行為や、それをする人のことです。
“行為の悪質性”を確信しているのではなく“政治的・宗教的信念から行為を正しいと確信している”ということです。
ところが、文化庁の平成14年度(2002年度)の調査では「悪いこととわかっていながらなされる行為や犯罪または行為を行う人」と答えた人が、60%近くになりました。

本来の意味が指す行為は別のことばが…

「犯人たちは『確信犯」だからなぁ…」の意味・使い方について、国語辞典の中には“俗用”や“本来は誤用”と解説するものがあります。

(「悪いこととわかっていながら―」の意味について)
【岩波国語辞典】
1990年ごろから、俗に、悪いとは知りつつ(気軽く)ついしてしまう行為の意に使う
【新明解国語辞典】
“近年の用法で、本来は誤用”

では、なぜ“本来の意味”の認知度が落ちているのでしょうか?
文化庁は、まず『確信犯』の「本来の意味の犯罪行為は『テロ』などと呼ばれることが多くなっている」とみています。

残念なことですが世界各地で「テロ」と呼ばれる行為が発生していて、このことばをニュースで耳目にすることが珍しくない状況です。
そして、文化庁は「『確信犯』が本来の意味で用いられることは、更に減っていくように思われる」とみています。

文化庁の考察のように、本来の意味の使用が減り、現在“誤用”とされる「悪いこととわかっていながら―」の使い方が“誤用”でなくなる日が来るのでしょうか。これについては今のところ誰も「確信」を持てないような気がします。

おまけ

番組内でたびたび登場する「文化庁」。京都に移転したことが話題になりましたが、一部は東京に残っています。ということで、少し前に、日本の中央省庁が集まる霞が関へ行ってみました。

地下鉄の霞ケ関駅を出ると、歩いているのはスーツやワイシャツ姿の人ばかり。カジュアルな格好をしていた私は、周囲から浮いている気がしました…。
そして、駅の出入口から歩いて数分、官庁街の一角に茶色い壁のビルが見えてきました。

文化庁と文部科学省・スポーツ庁が入る建物の1つ、旧文部省庁舎です。文化庁の国語課も東京に残っている部署の1つなので、この建物の中にオフィスがあるのでしょうか?
文化庁のホームページによると、1932年(昭和7年)に建てられた鉄骨鉄筋コンクリート6階建ての建物で、国の登録有形文化財に指定されているということです。戦前に建てられたビルだったんですね。
さらに近くに行ってみると、いかつい門構えの玄関が。

ここは、文部科学省関連のニュースの際に映像によく出てきます。ただ、現在は玄関として使われていないようで、本当の玄関は「東館」にあるようです。
道路を挟んで北側には「財務省」があり、その入口前には数人の警備員も。もちろん何か悪いことをしに行ったわけではないのですが、早々に霞が関をあとにしました…。

“ちょっと人に話したくなることばの知識”をお届けするミニ番組「北のことばお兄さん」
放送は、(月)~(木)午前5時59分から1分です。
これを見れば、「『○○○』って、本当はこういう意味なんだよ!」と思わず人に話したくなること間違いなし!

北のことばお兄さんWEBはこちら

ページトップに戻る