ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ほっとニュースぐるっと道東!
  4. 新生活のお供に!広がるWEB版ハザードマップ

新生活のお供に!広がるWEB版ハザードマップ

  • 2023年4月4日

春、4月。北海道ではまだ桜も咲いていない中ではありますが、2023年度がスタートしました。就職に進学、引っ越しなどなど。新たな生活をスタートさせるタイミングでもあります。そんなタイミングで、ぜひ皆さんに確認してもらいたいものがあります。それが「ハザードマップ」です。地図上に災害のリスクが示されるハザードマップですが、今、デジタルを活用した「WEB版」が各自治体で広がってきています。 (釧路局・島中俊輔) 

スマホで見られる WEB版ハザードマップ

道東・白糠町。海沿いに住宅地が広がるこの町では、千島海溝沿いの巨大地震で最大16.5mの大津波が想定されています。さらに、町役場などがある中心部のすぐそばには茶路川が流れ、洪水のおそれも指摘されています。町では津波や洪水のハザードマップを町内全戸に配布していますが、今進めているのが「WEB版」の取り組みです。

白糠町地域防災課・菊原秀雄課長
「紙ではなくて、スマートフォンやタブレットなど、手元にあるツールで見やすくする、見られるようにするというのが、WEB版ハザードマップ」
「紙はそこに印刷をされてる以上の情報は、なかなか表現ができない。インターネットで見られるようにすることで、1つの基本の地図の上に、任意で津波や洪水、土砂災害のリスクを重ねることができる。あわせて、避難場所といった施設の場所も確認ができる」

避難場所までの距離もスマホの上で計測

白糠町のWEB版ハザードマップでは「津波」「洪水」「土砂災害」のリスクを地図上で重ね合わせることができ、自由に拡大や縮小もできます。さらに町では3月に新たな機能を追加しました。
「距離の計算」「標高の表示」「浸水の深さ」の3つです。
好きな場所の標高や起きうる浸水の深さを表示できるほか、距離の計算もできるようにしました。距離を測れるのは直線だけではありません。例えば自宅から避難場所までの道のりに沿ってクリックやタップをしていくことでその距離を測定できます。

白糠町地域防災課・菊原秀雄課長
「ハザードマップの役割は、これくらいの危険度がある、だから私たちは次にどうしたらいいんだろうという気づき、学びのためのツールと考えている。距離がわかることで、避難準備をする時間を短くしようとか、走ってみようとかを気づき、次のステップに進むことができ、命を守る行動につなげてくれることを期待している」

広がるWEBハザードマップ

この「WEBハザードマップ」の取り組み。白糠町だけでなく、道東では沿岸部を中心に各自治体で導入が進んでいます。
釧路市では2021年に運用を始めました。その後、一時避難場所の情報を追加したり、津波の高さや予想される到達時間を表示できたりするように更新を行っています。
例えば千島海溝沿いの巨大地震に備えて、太平洋側の自治体では津波避難ビルの指定が急がれている中、その数が増えている自治体もあります。紙では一度印刷してしまうと、なかなか情報の更新は難しいですが、WEB版ではすぐにそうした避難場所の追加などを反映できるというのが強みです。

みずからの避難を考えるきっかけに

防災に詳しい専門家はWEB版ハザードマップの強みである「距離の測定」といった機能を、みずからの避難を考えるきっかけにしてほしいといいます。

北海道大学大学院・高橋浩晃教授
「自宅から避難場所まで本当にどれぐらい離れてるのかはなかなかわかりづらいところもあるかと思う。実際に自分の自宅や会社から避難場所まで何メートル離れてるのかを自分で測ってもらいたい。そして、歩いていくにはどれぐらいの時間がかかるのかを実際に歩いてみて確認していただきたい」

そして、高橋教授は、このハザードマップを防災教育の場面でも活用してほしいと話しています。

北海道大学大学院・高橋浩晃教授
「特に学校での防災教育に活用が期待できる。社会の教科に非常に関連するものなので、地図の読み方を学びつつ、防災力の強化につながる。ぜひ小学校、中学校、高校などの学校現場で活用していただきたい」

新生活を楽しむために ハザードマップを見てみよう

春、4月。新しい生活が始まると思うとワクワクしますよね。私(記者)は6歳の子どもが保育園を卒園して、この春に小学校に入学することになりました。入学式を前に1人で通えるかなとドキドキしています。
進学や就職などさまざまな新生活を楽しいものにするためにも、災害の危険性を事前に知る、ハザードマップの確認は重要です。地震や津波、土砂災害や洪水のリスクが視覚的にわかるハザードマップ、この新年度を機にもう1度確認してみませんか。私も子どもに通学路にたくさんの危険があること、避難する場所などを、ハザードマップを見て、実際にいっしょに歩いてみて、教えたいと思います。

(2023年4月4日)

ページトップに戻る