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【イベントレポート】フレンズミーティング in 道東・斜里

  • 2023年5月17日

こんにちは!「ローカルフレンズ滞在記」制作班・学生アルバイトの谷郁果です。
 
今回は3月11日(土)と12日(日)の二日間で行われた、斜里町でのフレンズミーティングの様子をお伝えします。 

道東を中心に、今回もたくさんの方が集まりました。再会を喜ぶ声や、念願の初対面がかなった様子、新しい出会い……ここに集うこと自体の意味を体感できる瞬間です。

初日のミーティングでは、知床観光船遭難事故について考えていきました。事故が発生した地域のみなさんやメディア側が感じてきたことを聞き合い、明るい未来をどうつくっていくか、ということをテーマにあげ、対話を重ねていきます。

2022年4月23日、知床半島沖で乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU1」が遭難。乗客・乗員全員が死亡・行方不明となりました。
船の安全問題や監督責任も問われる中で、メディアスクラムが浮かび上がってきたことも問題視されています。
※メディアスクラム:集団的過熱取材。事件・事故の発生後、遺族や関係者の下にメディアが押し寄せ、行き過ぎた取材や報道をし、心理的な苦痛を強いたり生活を妨害したりすること

知床観光船遭難事故でのメディアの対応に対して、この日の参加者からも「50人体制ものメディアの人が現地に来た」「いかにはやく情報を出すかというメディア間での競争があったのではないか」「やりたくなくても、上司から言われたらやらなきゃいけないという力が働いていたのでは」という声があがりました。

メディア側の参加者から提示されたのは「メディアは取材で受けとったものや感じたものも含めて、どこまでの情報をどのように世に発信していくかを考える責任がある」「カメラを向けること自体が暴力的な行動だという認識をもつべき」という課題感でした。

地域の側からにじみ出た、メディアへの不信感。そんな中でも、ローカルフレンズのつながりは隔たりを越えた信頼関係があったように思えます。事故からもうすぐ1年が経つ今、再びメディアが押し寄せるのではないかという不安の中で今回のミーティングが開催できたのも、その表れなのではないでしょうか。

ローカルフレンズのつながりだからこそ、メディアやローカルの壁を越えて考えられる。課題感や問題意識を持ち、明るい未来を共に考えていく時間を過ごしました。

印象的だったのは、ピエさんこと三浦隆浩さんの言葉。三浦さんは、知床と北見を拠点にしてネイチャーガイドをしています。
「ローカルフレンズは、事故があった当時の僕らの想いを汲んでくれた。それに感動したんです」「これからもNHKには、地方の“気持ち”を伝えていってほしい」この場にいるみなさんの心の内を代弁するように、はっきりと語ります。
「知床も、斜里も、いいところがたくさんあるから、僕は心配なんてしていません。北海道も、大丈夫です!」この言葉には、拍手喝采でした。

熱いミーティングのあとは、さらに熱い懇親会。ローカルフレンズである塩崎一貴さんのDJと三木奈津美さんの即興ダンス、テーマ曲を歌っているなかにしりくさんのミニライブが行われ、それぞれに思いを馳せる時間を過ごしていきました。

2日目。もう一度集ったわたしたちが再び語り合ったのは、NHKの若手チームのこと。番組の立ち上げから関わっていた瀬田アナウンサーの異動を受け、瀬田アナのように地域を愛すメディア人はどのように育つのかについて考えました。

まずは、「恥や緊張を共有して、地域とメディアの壁をなくしていこう!」という声から、次回のフレンズミーティングではカラオケ大会が決定…!?

そんな楽しいアイデアも出てくる中で、「ローカルフレンズという枠を大切に守っていきたい」「ローカルフレンズが今後も続いていくように、局内で空気感を大事にするような施策を組み込んでいくべきなのでは」という声が。

ローカルフレンズが持つ、特別な雰囲気。それをこれからも大切にしていきたいという地域のみなさんの想い。愛し、愛され、という表現はやや重いかもしれませんが、しかしそれくらいの想いがこの場では感じられたような気がします。

最後は、ローカルフレンズであり、ネイチャーガイドをしている三浦さん、若月識さん・若月愛さん夫妻のもと、スノーシューで冬山歩き。童心に帰るように楽しみながら、歩みを進めていくと、この二日間の集大成にふさわしい、息を呑むほどの美しい景色が広がっていました。

どの写真を振り返ってみても、はじけるような笑顔が並んでいます。たくさんの仲間たちが直接言葉を交わす二日間でした。次回は6月に開催予定です。

文章・谷郁果
写真・小室光大

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