鹿部町 詐欺被害防止へ 駐在所員の手作り防犯マニュアル
- 2023年6月2日
あとを絶たない特殊詐欺被害。去年、道南では被害額が過去10年で最悪になりました。こうした中、被害撲滅を目指して地域に根ざした防犯活動を続ける警察官を取材しました。
鹿部町にある鹿部駐在所の竹本恵一さん(48)。学生時代に恐喝まがいの事件に巻き込まれたことから交番に相談に立ち寄った際、警察官の暖かい対応に感動したといいます。そして、「住民に寄り添った仕事」がしたいと警察官になりました。以来20年以上、地域警察官の道を歩んできました。
竹本さんの最も重要な仕事は、特殊詐欺の被害を防ぐことです。これまでにも町内で詐欺の未遂事件が起きるなど、いつまた事件が発生してもおかしくない状況が続いています。
そこで、竹本さんは、住民に被害から身を守ってもらおうと、特殊詐欺の手口をまとめたマニュアルをつくり、町内におよそ1800ある全世帯に配ったのです。
例えば、このページ。悪人風の男性が電話をかけている写真を入り口に、名義貸しを持ち出す手口の詐欺に注意するよう、分かりやすくまとめています。悪人風の男性役はすべて竹本さんが演じていて、住民が興味を持って手に取り、読んでもらえるような工夫が施されています。「住民一人ひとりに詐欺に対する抵抗力を養ってほしい」という思いで、仕事の合間を縫って作ったといいます。
竹本さんは町内各地を回る際に、訪問先で自作のマニュアルを見せながら、詐欺の電話が来てないか聞いて回ります。
町の住人に竹本さんの仕事ぶりについて聞いてみました。
「細かいところにものすごい配慮していただけているのがありがたいです。冊子を読んだら注意しなければならないことがよく分かるので、本当に助かります」
「竹本さんはいままでに赴任した警察官のなかで一番ですね。町のことを考えてくれていると感じます。本当にありがたいです」
住民にも慕われる竹本さん。特殊詐欺などの防犯活動の原動力には、自分を育ててくれた祖母の存在があるといいます。
「私がおばあちゃん子だったこともあり、祖母が詐欺の被害に遭ったと考えると、とても我慢できません。毎日のように詐欺の被害が出ている現状を見て、高齢者の方が被害に遭わないように、警察官として方策を練らなければならないと感じています」
竹本さんはこれからも住民といっしょに、被害のない街づくりを目指します。