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【ふるさと自慢】 富良野市 「今年で50周年 ふらのワイン造り」

  • 2022年10月19日

富良野市でワインの製造事業が開始されてから今年で50周年を迎えます。現在様々な品種のぶどうの生産が行われ、数多くのワインが製造されています。半世紀に渡る富良野市のワイン造りについて探ってみました。 (2022年9月放送) 

 

富良野市のワインが美味しい理由

富良野市がワインの製造に着手したのは1972年。当時の減反政策により、富良野市でも稲作から畑作への転換が進められました。にんじんやたまねぎなどへの転換が進む中、周囲を山に囲まれた盆地に位置する富良野市では、傾斜地を如何に活用するかが課題でした。
市職員が全国を調査し検討を重ねた結果、ぶどうの栽培が富良野市の気候や地形に適していることが分かりました。富良野市は、冬はマイナス30度を下回り夏は35度を上回るなど、年間で60~70℃の寒暖の差が生じる世界的にも珍しい気候です。寒暖差が大きいこと、雨が少ないこと、日当たりがよく水はけがよい傾斜地という点でもぶどうの栽培に適しています。寒冷地でのぶどう作りでは、冬期間は雪で木の幹を覆うことで寒さから木を守る必要がありますが、富良野市では道内の他のぶどう生産地に比べて積雪量が少ないため、低い位置に幹をはわすように仕立てる独自の栽培方法を採っています。

2種類のぶどう栽培から始まった富良野市のワイン造り

ワイン造りを開始するにあたり、100種類を超える品種の試験栽培を行いました。寒冷地向けの品種だけでなく、当時メジャーと呼ばれた品種にもチャレンジしましたが、50年前の気候と技術では育てることができず、「セイベル5279(白ぶどう)」と「セイベル13053(黒ぶどう)」の2種類の栽培から始まりました。1972年に開始したワイン製造は、1978年1月にふらのワイン赤・白の2種類が製品として日の目を見ることになりました。また1986年には研究所のオリジナル品種「ふらの2号」が開発されました。

気候変動と向き合うワイン造り

富良野市ぶどう果樹研究所では、2000年頃から温暖化の影響を見据えた新品種の研究を進めてきました。技術の進化と温暖化により、それまでは品質の維持が難しかった品種の栽培ができるようになりました。一方で新しい病気の発生などの弊害もありますが、環境変化に対応した最適な品種の開発や研究を日々行っています。
富良野市でぶどうを生産している農家は現在21軒。市では、工場直営の畑とあわせて、年間約300トンのぶどうが生産され、そのうちの95%がワインの原料となります。これは720mlボトルのワインを約30万本生産できる量です。

編集後記

撮影会場となったふらのワインぶどう祭りは1987年から続くイベントで、今年は9月4日に開催されました。会場ではふらのワインのほかワインと相性の良いグルメやスイーツも堪能でき、またぶどう踏みの実演会やぶどう畑見学ツアーなども行われています。
今回ワイン造りに携わる方々の熱意を強く感じました。私も実際に購入して、芳醇な香りと繊細な味わいを堪能しました。皆様も是非ふらのワインをご賞味ください。

旭川放送局 高野陽平

 

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