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投票率考えてみた。〜Z世代が主役の未来〜 座談会①~前編~

  • 2021年10月15日

今月末に差し迫る衆院選に合わせて、北海学園大学の学生の皆さんとNHKの若手職員で発足したプロジェクト、「投票率考えてみた。〜Z世代が主役の未来〜」
先日、初めての活動が北海学園大学で行われました。選挙や政治に対する本音から、若い世代が政治参加しやすい未来を一緒に考えていきます。この内容は、前編・後編でお伝えします。

「現状を変えたい」思いで集まったZ世代

プロジェクトが始まって最初の大事な回。集まったのは、政治に興味のある北海学園大学の法学部に所属する学生とNHKの若手職員あわせて14人です。
新型コロナウイルスの影響で、対面での学習の機会も少なくなるなか、「同じ世代だからこそ現状を変えたい」という思いで集まってくれました。

「自分が知らなきゃいけないこともまだまだたくさんある。プロジェクトでたくさん話しあって、自分の考えを持てるようにしてそれを周りに発信していきたい」

「人に話せるほど政治に詳しくないが興味があるし若者の声が反映されないことは問題。このプロジェクトは改善していくきっかけの1つにしたい」

若い世代と選挙の問題は、NHKとしても他人事ではありません。
10代・20代の若い世代に選挙のコンテンツが届かない悩みは私たちも一緒。NHKからも部署を横断し、選挙取材に携わる機会の多い記者だけでなくカメラマンや放送管理からも職員4人が参加しました。

学生の事前アンケートでは

世間では、「若者の政治離れ」というけれど、そもそも彼らは選挙や政治をどう感じているのか。活動が始まる前に参加する学生には事前にアンケートを行いました。
「なぜ投票率が低いと思うか」については、「日々の暮らしで精いっぱい」「政治関連の情報を理解するのが難しい」といった選挙や政治へのハードルの高さが挙げられた一方で、「自分が選挙に行っても変わらないと思っている」「現状に不満がない」といった根本的な意識に対する意見も寄せられました。さらに、「選挙や政治がわかりやすいかどうか」尋ねたところ、9割の学生が「わかりにくい」と回答。
若い世代が投票や政治参加に踏み出せない壁がどこにあるのか、どうしたらつなげていけるのか、みんなで考えてみようと2グループに分かれてさらに深堀りしました。

選挙と政治、理解するのに一苦労?

まずは、率直に話したのは大半が答えた「選挙や政治のわかりにくさ」について。
開始早々声が上がったのが、訴える政策や投票できる立候補者がそもそもわからないという問題。そのうえで、街中を回る選挙カーや街頭演説といった従来、選挙のなかでなじみの深いものが若い世代にとって遠い存在になりつつあることがわかりました。また、政治家は政策の議論よりもお互い批判ばっかりしているイメージがあるとの声も。一方で、政治家は批判することも仕事の1つであることや、せめて公約ぐらいは自分たちで比較するべきなのではといった声も学生の中から挙がり、「わかりにくい」の一言で、私たちと政治をつなぐ手段を断ち切ってしまっていいのだろうかという学生たちの戸惑いも感じました。

わかりにくい、わかりやすい以前の問題?

一筋縄ではいかない私たちと選挙の問題に、頭を抱える学生とNHK職員。どうしたら若い世代の投票率が上がるのでしょうか。先ほどの「わかりにくさ」を踏まえ「打ち出している政策がわかりやすければ上がる?」と職員が問いかけてみると、さらに渋い表情の学生たち。別のところに引っ掛かりがあるようでした。

「子供の頃って政治は大人がするものだと思っていた。だから投票権のない小さいころから選挙を知っておかないと意味がないと思う。一度定着してしまったイメージを変えるのってなかなか難しいから」

「教育の場で投票すべき理由がちゃんと教えてもらえていない気がする。記憶をたどってもあやふや」

「中学生で選挙を勉強したとしても、あと6、7年後のことだよなって関係ないよなってやりすごしちゃうから。継続性が必要だと思う」

住民票を移していないことや、ネットを使って気軽に投票ができないことも投票を遠のかせている要因としてあげられましたが、その場しのぎではなく、投票率を継続的にあげていくためには私たちの世代に根付いた意識や深いところに、知りたい答えのヒントがあるのではないかと学生たちの中で一致しているようでした。

いきなり選挙権渡されても困ってます

「18、20歳からいきなり選挙権渡されても、いままで20年間知らなかったことをぽっと渡されてもなかなか行きづらいよね」

投票できる大事な権利を持てたとしても、現状では行動に移しにくい。この言葉も若い世代の本音を表しているように感じました。

実は耳の痛い意見もありました

「政治家のスキャンダルや悪い問題ばかりで、知りたいニュースをやっていない」。話の途中、印象に残った学生の意見です。こうした報道への指摘は複数の学生から上がりました。ニュースの作り手側である私たちもわかりにくさを加速させているのではと、はっとさせられた場面でした。

NHK記者が感じたこと

1班の一員として活動してみて、学生と同じ目線で、難しい問いにモヤモヤしつつあれこれ考えました。話してみて思ったのが、街頭演説やポスター、若い世代の感覚と離れた選挙活動など課題は多いけれども、「関係ない」と突き返して不満ばかり言うだけじゃだめだよね!という思いは私たちみんなが持っていること。ほかの10代・20代の子も同じなのではないでしょうか。「若者の政治離れ」という言葉も若い世代が自ら選挙や政治に距離を置いているイメージを持ちますが、果たしてそうなのか疑問がわいてきました。
また、NHKの記者として知りたいときに知りたい選挙のニュースがやっていないという言葉は久々に衝撃を感じる瞬間でした…。話すには時間が足りなかったので、別の機会に意見やアドバイスをもらって深堀してみたいとも感じています。
「若年層の投票率の低さ」を解決する綺麗な答えには今回たどり着きませんでしたが、今後取材・発信を重ね、私たちなりの提案が出せたらいいなと思います。今後の報告にご期待ください!

2班ではどんな意見が出たのか、後編へ続きます。

この記事を書いた人

NHK札幌放送局  前嶋紗月
事件取材を担当し現在、自然科学や医療を中心に取材しています。
札幌に来て3年目、日に日に増してスキーや山登りなど北海道の魅力を感じています。

2021年10月15日

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