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「幻のそば」浦臼町に食べに来て!

  • 2023年9月14日

猛暑から一転、さわやかな風を感じるきょうこの頃。「食欲の秋」、私の大好きな季節がやってきました!「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当リポーター、坂井里紗です。先日、浦臼町に伺いました。特産のそばが収穫の時期を迎えています。なんでも「幻のそば」と呼ばれるんだとか。

浦臼町で作られるのは「ぼたんそば」。中川清美さんの畑では、もうすぐ収穫です。高いものでは私の顔くらいの高さまで伸びていました。この高さが「幻のそば」となる理由のひとつなのですが。

農家 中川清美さん
「ぼたんそば、丈が長く伸びるそばだから、雨風によって倒伏しやすい。昔は、全道的にも作られていたんだけど、倒伏に弱くて収穫量も少ないということで、ほとんど作付けはなくなっちゃった。『幻のそば』ということで浦臼町で大事に作っていこうと、生産者も頑張って作っていますね。」

栽培に手間がかかるのに収穫量が少ない。ほかの種類に変わっていったんですね。
でも、それでも栽培を続けたくなる理由があるそうです。

農家 中川清美さん
「ほかの品種から見たら、収穫量が半分以下しか取れないんです。それでも味がおいしく、昔から伝統のあるそばなので、収穫量は度外視しても残していこうということで作っているんです。風味で食べるものだから、量より質を大事にして作っています。希少価値のある、伝統のあるそばを守り続けて、みんなに美味しく食べてもらえれば、それが一番そば作りの冥利に尽きるんじゃないでしょうか。」

中川さんも大好きだというぼたんそば。とってもおいしいんだそうです…!私もぜひ食べてみたい…!そんな思いを叶えてくれたのは、「うらうす手打ちそば友の会」のみなさんです。町内のイベントなどで、自慢のそばを提供しています。

そば打ち歴20年の五十嵐政雄さん。流れるような華麗な手つきでそば打ちを披露してくれました!

まずは水回しです。そば粉に水を加え、まんべんなくいきわたらせます。

うらうす手打ちそば友の会 五十嵐政雄さん
「いちばん水回しが大事です。そば粉の粉ひとつひとつに水が均等に入るようにやっています。そうじゃないと、すぐ切れるそばだったり、伸ばすときにうまく伸ばせなかったりするもとになってしまいます。」

ひとつの塊になったら、棒を使って均等に薄く伸ばし、包丁で切っていきます。包丁を倒す角度で麺の太さが決まります。太さは好みですが、五十嵐さんは細めが好きだそうです。

こうして完成したのが、ぼたんそばのざるそばです。とっても香ばしい香り!打ち立てをいただきました。まずはつゆにつけずに。口に入れた瞬間、麺の甘みに驚きました!のどごしも最高です。これが、ぼたんそば…すごい…!とってもおいしい…!ぼたんそばの香りや甘みは、手打ちそば職人の方々からも評判なんだそうです。

浦臼町のぼたんそば、みなさんも食べたくなってきましたか??実は、おなかいっぱい、ぼたんそばを味わえるお祭りがあるんです!

その名も「浦臼ぼたんそば? 新そば収穫祭」

毎年この時期に開催されますが、新型コロナの流行などで中止を経て、ことし4年ぶりに開催されます。道内から手打ちそばの同好会が集まり、浦臼町産のぼたんそばを使って、キノコや天ぷらなど各地の特産品などを盛り込んだメニューを提供します。ことしは9つの団体のぼたんそばを食べ比べることができますよ!

うらうす手打ちそば友の会の顧問で収穫祭の実行委員長、山本要さんも意気込んでいます!

うらうす手打ちそば友の会顧問 収穫祭の実行委員長 山本要さん
「同じ町内で取れたぼたんそばを同じ機械で粉にして9団体が使うんです。だけど食べたら9つの店で微妙な味の違いがある、これが面白いところです。打ち方、タレ、添え物みんな違うんです。おいしいそばは、浦臼に来て食べてください。香りと味を楽しんで欲しいなと思います。」


取材後記

① どうして「ぼたんそば」なの?
「ぼたんそば」と聞いて、「ぼたんって何?イノシシそばってこと?」と思った方も少なくないと思います。農家の中川さんに素朴な疑問をぶつけてみました。

農家 中川清美さん
「そばの花が一面に咲くと、真っ白くなるんですよ。そのときにぼたんの花が咲いているように見えたから、昔の人は『ぼたんそば』っていう名前を付けたらしいです。」

坂井
「そうなんですね。中川さんは、ぼたんの花に見えますか?」

農家 中川清美さん
「ただ真っ白に咲いているなっていう感じで、なかなかそういう感じには見えなかったけど。昔の人はそう見えたんでしょうね。(笑)」

② 坂井、そば打ちを体験!

そば打ち初体験の私も体験させていただきました!姿勢も大事。肩幅に足を開いて、脇を締めて、上から押すように切っていきます。これが難しい!!結構力がいるんです!五十嵐さんのようにリズミカルには到底いきません…。太いのもあれば細いのも出てきてしまって、五十嵐さんのと比べると一目瞭然。(分かると思いますが一応…右が五十嵐さん、左が坂井)確かに難しさもあるのですが、とっても楽しい♪私ももっと練習してみたくなりました。

五十嵐さんは「ばっちりです!」とほめてくださいました。おやさしい…。「自分で切ったやつはおいしいんです」と話してくれました。確かに、なんだかおいしかったです。

③ ぼたんそばの美味しい食べ方
ぼたんそばを最高に味わえる方法を今回取材したお2人に伺うと…。

農家 中川清美さん
「ざるそばでも、一度つゆにつけないで、先にそばだけを食べていただければ、より香りと味が楽しめると思いますよ。それが本来のそばの味。それから、つゆを付けてどんどん食べていただければいいと思います。」

うらうす手打ちそば友の会 顧問 収穫祭実行委員長 山本要さん
「最初につゆにつけないで食べると、そばのおいしさが一番分かる。それから、あとはつけてずるずるっと食べるの。それがそばのおいしさです。」

実際に私もつゆにつけずにいただきましたが、「香りがよい」と言われるぼたんそばの風味を強く感じることができました。そのあと、つゆにつけて食べます。今回、用意していただいたのは、カツオのみでだしをとった、こだわりのつゆ。こちらも、ずずずっといただきました。主張しすぎず上品なうまみのカツオだしが、ぼたんそばの強い甘みを引き立てています。ずずずっといくことで、その風味が口の中いっぱいに広がるんです!最高のぼたんそば体験でした!みなさんもぼたんそばを食べるときにはぜひ参考にしてみてください。

さて、「浦臼ぼたんそば 新そば収穫祭」は9月24日(日)鶴沼公園で開かれます。食べ比べのほか、早食い競争も見どころで、参加することもできるんだとか!ぜひ、新そばを思う存分味わってみてはいかがでしょうか!私も記事を書いていて、ぼたんそばが食べてみたくなってきました…!!

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2023年9月14日

積丹が生んだ造形の世界の巨匠、竹谷隆之さん。地元積丹町での展示会に伺いました。圧倒的な作品の数々の裏には、積丹町での経験がいかされていました。ぜひ、こちらもお楽しみください!
積丹が生んだ「巨匠」造形家 竹谷隆之

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