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礼文島からの贈り物~杣田美野里のメッセージ

  • 2023年12月13日

取材後記

北の島の冷たい風の中で咲く花々に思いを寄せた写真家の杣田美野里(そまだ・みのり)さん。2021年秋に命を終えるまでの間、礼文島に暮らし、ガイドブックや写真集、エッセイ集など12冊もの著作を遺した。

取材後記

杣田美野里さんとの縁は10数年前まで遡る。私が旭川放送局で勤務していた2011年6月。朝の情報番組「あさイチ」で、礼文島から生中継を行うことになった。現地の案内人として出演してくださったのが杣田さん。リポーターを務めたのが、後に「ラジオ深夜便」で杣田さんへのインタビューを行うことになる村上里和アナウンサー。中継内容は、花盛りを迎えた高山植物群落の様子を紹介しようというもので、杣田さんには、画面越しでスタジオの井ノ原快彦さん、有働由美子さん、柳澤秀夫さんらとおしゃべりしながら、北の島の花々の魅力を伝えていただいた。実は、この中継当日は霧と風とで、かなり寒かったのだけれど、彼女は愚痴一つ言わず、リハーサルから本番までの長時間の仕事にお付き合いくださった。「穏やかな方だな」という印象が残った。
その後、再び杣田さんのことにかかわるきっかけになったのは、2021年秋、村上里和アナとの電話だった。里和さんから聞いたのは、杣田さんの訃報と、亡くなる直前に行ったインタビューを「ラジオ深夜便」で放送するということだった。そして、この「ラジオ深夜便」で、彼女の言葉からあふれていたのは、穏やかさというより、熱さだった。杣田さんの内面にたぎる熱が、インタビュアーの里和さんや、深夜ラジオというメディアが持つ熱とも一体になり、聴いている私の中へと流れ込んできた。
今回の番組作りを振り返ってみると、終始、この時に受け取った熱に支えられていた気がする。日本海からの強い風に吹っ飛ばされそうになりながら花々を撮影している時も、暗闇の中で星空を撮影している時も、杣田さんの本の読者を訪ねて全国各地を旅している時も、冷めることのない熱を携えていた気がする。番組をご覧いただいた皆様にも、この熱が伝わったなら、杣田さんも喜んでくれることだろう。

(札幌局・ディレクター 田辺陽一)

北海道スペシャル
礼文島からの贈り物~杣田美野里のメッセージ

2023年12月22日(金)夜7:57~8:42[総合・北海道]
放送後NHKプラスで2週間配信予定

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