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挑戦2024 1粒のチョコにかける ~ショコラティエ 村本賢亮さん~

  • 2024年1月5日

カラフルなひとくちサイズのチョコレート、「ボンボンショコラ」。
手がけているのは、旭川の職人です。いま、新作のチョコレートづくりに取り組んでいます。 2024年にかける、新たな挑戦に密着しました。 

地元の食材を使った絶品チョコレート!

旭川にある創業95年の菓子店に生まれた、村本賢亮さん、36歳。
チョコレートを作る職人、ショコラティエです。

村本さん「チョコレートは温度や湿度の高いところを嫌いますので、
北海道は、作るにも食べるにも、最適な場所かなと思います」

村本さんが作るボンボンショコラには、地元の食材がふんだんに使われています。
こちらは、旭川産の梨を使った逸品。

ほかにも、老舗の酒蔵の日本酒を使った大人の味や
地元の農業高校とコラボで作った みそ風味のものなど、どれも個性豊かです。

素材の味を最大限に引き出す!

村本さんのこだわりは、素材の味を最大限に引き出すこと。
材料となるチョコレートは、カカオの含有量が異なるものを15種類以上使い分けています。

村本さん「チョコレートと素材を近いものを合わせたり、
逆に対照となるものを合わせたりするパターンもありますね」

この日作るのは、旭川郊外の江丹別のブルーチーズを使ったボンボンショコラ。
うまみの強いブルーチーズと合う配合を考えます。
ブルーチーズを温めた生クリームで溶かしてまろやかさを加え、チョコレートと混ぜ合わせます。
選んだのは、甘みのあるミルクチョコレートと苦みが特徴的なダークチョコレート。

1つ1つ型に入れて、冷まして固まれば、ブルーチーズのボンボンショコラの完成です。

番組ディレクター「おいしい。濃厚なんですけど、重たくはなくて、チョコの甘さと
ブルーチーズのコクが合わさって、すごくうまみが増しているように感じます」

ボンボンショコラに地元の魅力を織り込む

村本さんがチョコレートの世界に入ったのは、26歳のとき。
家業の菓子店で、新たな分野を切り開こうと決意。
本場・ベルギーで3年間修業を重ねました。
そこで出会ったのが、ボンボンショコラ。はじめて見るその姿に魅了されたといいます。

村本さん「ひとくちサイズのチョコレートで、宝石のようにキラキラしたものがあったんだっていうのを知らなかったので、本当にすごくきれいだなっていう印象がいちばんありました」

村本さんは、修業中に出会ったフランス人の妻、デボラ・マリノさんと暮らしています。
デボラさんは、グラフィックデザイナー。
村本さんのチョコレートのパッケージデザインを一手に引き受けています。

2人は、旭川や近郊を訪ね歩き、新たなボンボンショコラのヒントを探し求めています。

この日訪れたのは、市内のラーメン店。ショウガラーメンが名物です。

村本さん「僕が小さいころ、かぜをひくとお母さんがいつも『温まるから食べな』って連れて来てくれたんですよね。懐かしいし温まりますし、これだよこれって感じです」

このラーメンにインスピレーションを得て出来たのが、
ショウガとしょうゆを使ったこちらのチョコ。

ラーメン店 店主 水野龍司さん「うちのラーメンと村本さんのチョコ。
人のつながりの味というのがとても魅力的だよね」

挑戦!2024年の新作ボンボンショコラ

いま、村本さんは、新たな挑戦をはじめています。2024年の新作のボンボンショコラづくりです。使うのは、ラズベリー。旭川近郊の愛別町で作られたものです。

そこで選んだのは、カカオの含有量が多い、ダークチョコレート。
ラズベリーの甘酸っぱさが引き立つと考えました。
さらに、ラズベリーや生クリームの量を増やし、柔らかい食感になるように調整します。
仕上げに、ラズベリーのパウダーを1粒1粒にかけていきます。こうして試作品が完成しました。

出来上がった試作品を持って村本さんが向かったのは、
このボンボンショコラのラズベリーを作った農家です。ラズベリー栽培25年の矢部眞美江さんです。

村本さん「矢部さんのラズベリーを使ったチョコレートがやっと完成したので、
今日お持ちしました」

デボラさんがデザインしたパッケージに入れたチョコレートを矢部さんに食べてもらいます。

矢部さん「おいしい。本当に励みになります。
楽しみながら、味を思い出しながら、また収穫したいと思います」

試作品は大成功!
村本さんは、素材の生産者とともにチョコレートを作り上げていきたいと考えています。

村本さん「僕だけじゃなくて、素材の作り手や農家も満足できるような作品にしたいんです。その思いは食べた人にも伝わると思いますし、そこでまたおいしさも僕は変わると思っています」

デボラさん「ラズベリーチョコレートじゃなくて〝矢部さんの〟ラズベリーのチョコレートです」

はじまった2024年。
村本さんは、チョコレートを通じて、地元の魅力を発信していきたいと考えています。

村本さん「まだまだ僕も知らない北海道の素材やこの素材がこうしたチョコに合うというところは、まだまだ分からない部分もあるので、これからも研究をして素材を見つけて、世界に届くチョコレートを作っていきたいなと思います」

取材後記

村本さんが手がけるボンボンショコラは10種類以上あり、一箱に各地の魅力がぎゅっと詰まっていて、チョコレートを通して、旅をしているような気持ちになります。

村本さんとデボラさんは、自宅でもベルギーのボンボンショコラの食べ比べをするなど、日々チョコレートについて研究していて、ヨーロッパで生まれ育ったデボラさんの感性がチョコレートづくりにも大きな刺激になっているそうです。

村本さんのチョコレートは、地元・旭川をはじめ、ことしは、札幌や東京、大阪のイベントにも出店されます。さらに、国際的な大会に出場して、北海道の素材を使ったチョコレートの魅力を世界に発信するのが夢だと話していました。

チョコレートを通じて、人々が笑顔になり、会話に花が咲く。その魅力を改めて感じました。

NHK旭川放送局:深田ひとみ

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